旧版:失われし神々の系譜
時は、シオン達が撤退した時間へ遡る――
「アレス様、戻りました」
デフテロスに連れられ、シオンとレグルスが姿を現す。
―来たか、お前達―
「…申し訳ありません…アレス様…射手座が、奴等の元へ……」
シオンが跪き、頭を垂れる。
―ふ…構わぬ。時間稼ぎにはなったからな…お陰で『彼等』が目覚める事が出来た―
「彼等…!?まさか……!!」
驚きの声を上げるシオンの背後に、四人の影が現れる。
『はぁ~、これで自由に動けるのね?』
『本来の肉体では無いとはいえ…少々勝手が違うのは、仕方ありませんか』
『ふん…何でも良い。今回こそ、連中の心臓を抉ってくれる!!』
『……アレス様、ご命令を』
四人の声に、アレスは血色の目を細めながら宣言した。
―デイモス、キュドモス、お前達はアスガルドの地へ行け…『あの時』のように、連中に邪魔をさせるな―
『ふん…腕慣らしには丁度良い』
『お任せ下さい』
デイモスとキュドモスはそれぞれ返事をすると、霞のように姿を消した。
―お前達は、我と共に来い―
『アレス様、それでは……』
ケレスの声が歓喜の色に染まる。
―いや、今回は『挨拶』だけだ―
アレスが、闇からゆっくりとその姿を現す。
「そろそろ、アテナに顔を見せた方が良いだろう?」
アレスは、くすりと嗤った。