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旧版:失われし神々の系譜





―…ついに、時が来た……―






――見渡しても、暗い闇しか無いその空間に『それ』はいた。





―我が願望が、果たされる時が来た!!―





闇とは別の…蠢く影が、おどろおどろしい声を発しているのだ。






――やがて、その影の元に人が集まり始める。





―来たか…我の忠実な狂闘士(バーサーカー)よ―



『はっ、我等が主よ』


その人物達は『主』の声に応じ、一斉に跪く。



――年齢や体格に差はあるが、彼等は共通して、血の如くまがまがしい光を放つ鎧を身に纏っていた。




―狂闘士達よ……お前達に、命令を与える―




彼等は、静かに次の言葉を待つ。





―我が願望を阻む者の抹殺……すなわち、―







天馬星座と、女神アテナの命を、我に捧げるのだ!!






「貴方の心のままに…我等が主……」
頭を垂れたまま、血色の翼を有する鎧を纏った男性が言った。



――彼らの『主』の名を








――アレス様――







聖域から離れた小高い丘――


まだ夜を迎えてまもない時間、空には無数の星が輝いている。



そこに、一人の男性が音も無く現れた。


「……このような形で聖域を訪れる事になるとはな」



ぽつりと呟く男性の流れるような金糸の髪が、夜風になびく。




不意に、男性は閉じたままの目で、ある一点を見据える。



そこには、一人の女性の姿があった。



―申し訳ありません……私の力では、貴方を地上に届けることが限界でした―



女性の姿は半透明で、今にも消えてしまいそうだ。



「…封印される寸前だったので無理もないでしょう…それに……無事だったのは私だけでしたから……」


―………―


男性の言葉に女性は悲しげな表情をするが、苦しげな表情に一変する。
「っ……!!」
男性は思わず女性に駆け寄ろうとするが、女性はそれを制した。


―っ…私は、もう限界です……お願いです…アテナと…現代の…を…守っ……―




――そこで、女性の姿は消えた。





入れ違うように、女性がいた所に純白に輝くオブジェが現れる。




祈りを捧げる乙女を象られたそのオブジェに、男性は近付く。



すっと手を差し伸べると、瞬く間にオブジェがパーツとなって男性に装着されてゆく。

「…承りましたよ…貴女の頼みを……」
その女性の名を呟き、男性は歩み出した。







――ペルセフォネ――












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