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聖闘士達がクトゥルフ始めたようです

カノン「ちょっと待て、もう10話もいったのかこんな話」

ムウ「無駄に長くなってしまいましたね……」

カミュ「支部においてはブクマや総合点を入れてくださっている皆さんもいるし、サイトでも閲覧してくださる方々もいる…感謝の言葉しか出ないな……」

サガ「だが…これは作者を脅して他の話も更新させるしかあるまい……」

カノン「これ20話以内に終わると良いな(遠い目)こんな事を言っても仕方あるまい、早速始めるとするか」

ムウ「何事も無く大学に到着したのですよね?」

カノン「あぁ、大学の事務所へも特にイベントは起きずに行けるぞ」

サガ「それは良かった……」

カミュ「これから何が起きるかが不安だがな……」

カノン「(むしろ俺は起こしたいがな)じゃあ始めるとするか」


☆ ☆ ☆


大学の事務所へ向かうと、電話で対応した人物と同じ男が事務所で対応した。
「ようこそ、サガ教授……!!」
「初めまして…早速ですが、西垣さんとの面会を……」
そう切り出そうとしたサガだが、男は渋い顔をしながらこう言った。
「そ、その…其方の方々が同伴されるのですか……?」
男の視線は、楓に向けられている。
「っ……」
楓は、ムウの手を固く握っている。
「よ、良ければ面会が終わるまで此方でその子を預かりましょうか?」
「い、いや…わたし、しずかにするから、おかあさんとはなれたくない!!」
「え、お母さん……!?」
楓の言葉に、男は驚きの声を上げる。
「今、母親の代理をしているので」
ムウは先にそう断ると、言葉を続ける。
「私の方からも、大人しくするよう言い聞かせますので…どうか……」
ムウは頭を下げるが、男の表情は渋いままだ。


☆ ☆ ☆


ムウ「……カノン、言いくるめか信用でどうにかなりませんか?」

カノン「そうだな…言いくるめ、説得、信用のどれかで振ってみろ」

ムウ「信用の方が高いので……此処は信用で」


〈信用〉

ムウ(85)→08(成功)


カノン「何なんだよこの出目はぁあああああ!!」

ムウ「落ち着いてくださいカノン!!(汗)」

カノン「落ち着けるかぁああああああああ!!」

ムウ「先程一緒に作ったチョコプリンあげますから!!」

カノン「………(無言で受け取り)」

サガ「(落ち着いた……)カノン、これで楓は同行可能になったのだな?」

カノン「あぁ、楓を連れて行けるようになったぞ…但し、ちゃんと静かにさせるようにと釘を刺されるぞ」

ムウ「分かりました」

カノン「御馳走様…で、西垣との面会になるぞ。西垣は新米の研究員だから、そこまで立場は立派じゃない。待ち合わせの場所は会議室じゃなくて校内の食堂になるぞ」

カミュ「新米の研究員だったか」

カノン「じゃあ西垣と会う所からロールプレイだな」



☆ ☆ ☆


一同は校内の食堂へ案内され、西垣が来るまでの間の時間を食堂で過ごす事となった。
事務所の男が差し出した麦茶が飲み干された頃、一人の女性が食堂に現れた。
「お待たせしました、私が西垣美香です」
西垣美香は見た目は感じの良い美人だが、大学の研究員にしては少しお洒落をしていた。
「突然の訪問申し訳ありません…私は」
「サガ教授ですよね?私も生物学に携わる者なので、貴方の事は存じています」
そう言う西垣の目は、心なしか輝いているように見える。
「で、では早速本題なのですが…貴方の研究している室井細胞について、知っている事をお聞きしたいのです。先日、室井細胞と特徴が酷似している細胞のサンプルを入手しまして……」
「そ、そのサンプル、見せてもらっても!?」
声を荒げる西垣に驚きつつも、サガは持って来たシャーレを西垣に差し出した。
「蛍光灯の光なら大丈夫でしょうが…日光を当てると乾燥して細胞が死滅してしまうので、そのような形となります」
西垣は頷くと、ゆっくりと布を開きシャーレの中の黒い細胞を食い入るように見る。
「この細胞、何処で発見したのですか?」
「い、いや…実は、友人から調べて欲しいと頼まれたもので、彼が何処で採取したのかは私が知りたいぐらいです」
ですが、とサガは言葉を続ける。
「私なりにその細胞に実験を行った所…結果が貴女が研究している室井細胞と特徴が酷似していたので、室井細胞を研究している貴女にお話しを聞きたくて、今回面会を申し込んだのです」
「そ、そうなんですか……」
西垣は僅かに肩を落とすが、すぐサガに質問を投げかける。
「で、では、そのご友人と連絡は取れませんか?」
「…いや…彼は気まぐれに旅をしているから、私でも今何処に居るのか分からなくてね」
サングラス越しに「ごまかせ」と言ってくるようなムウの視線を感じる……。
そう思いながら、どうにか誤魔化したサガの言葉に、西垣は残念そうに肩を落とした。


☆ ☆ ☆


カノン(値切りを持っている奴はいないから…西垣のアクセサリーについては省略っと)

カミュ「…カノン、サガが誤魔化しの嘘を言った時にダイスを振っていたが……」

カノン「あぁ…すまんな、西垣は心理学持ちだ。結果は失敗したがな」

※西垣は心理学65%のNPCです。出目は82でした※

サガ「な、何……!?」

ムウ「これからは迂闊に嘘を付けませんね……」

カノン「んじゃあ続けるぞ~」


☆ ☆ ☆


サガが実験のデータを西垣に提示すると、西垣は素早く目を通す。
「…確かに、室井細胞と酷似していますね……このサンプルを使って、実験を行ってもよろしいでしょうか?」
「えぇ…そのサンプルは貴女に差し上げましょう」
サガの言葉に、西垣は目を輝かせて頭を下げる。
「ありがとうございます!!では、これから研究室へ案内しますね」
西垣はサガから受け取ったシャーレを自分の持っていた手提げ鞄にしまうと、笑顔で先頭を歩いた。


☆ ☆ ☆


カノン「すまんが、此処で全員聞き耳をしてもらうぞ」

ムウ「聞き耳ですか?」

カノン「あぁ、玄武は俺が振るぞー」

カミュ「ほぼ全員初期値では……」


〈聞き耳〉

ムウ(55)→98(ファンブル!!)

カミュ(25)→88(失敗)

サガ(25)→28(失敗)

玄武(25)→94(失敗)


カノン「ぶーーーーーwwwwwww」

ムウ「……(絶句)」

カミュ「成功者が誰一人としていない……」

サガ「あ、あと少しだというのに……」

カノン「正直…こんな所でファンブル出されても困るwwwwww」

ムウ「……今後プリンをあげません」

カノン「それは困る(真顔)」

サガ「今回の処理はどうするのだ……」

カノン「んー…じゃあ、ムウは冷蔵庫の中身を思い出しながら今日の夕飯は何が良いかをひたすら考えてたって事で」

カミュ「流石はおかん」

ムウ「はぁ……」

カミュ「だが、このような場所で聞き耳か……」

サガ「怪しいな……カノン、私達は研究室に入る手前か?」

カノン「あぁ、そうだな」

カミュ「それなら、部屋に入った瞬間に目星は可能か?」

カノン「あぁ、出来るぞ(どの道振らせようと思っていたからな)……あ、ファンブル出たムウは振れないって事で」

ムウ「でしょうね……」

カノン「じゃあ、ムウ以外のメンバーで目星だな」


〈目星〉

カミュ(55)→66(失敗)

サガ(55)→02(クリティカル!!)

玄武(85)→21(成功)


カノン「うがぁあああああああ!!」

ムウ「……サガ、貴方憑かれたのですか?」

サガ「い、いやそんな筈はない……(何に憑かれたというのだ!?)」

カノン「ふ…ふふふふふふふ…だが、このような場所でクリティカルとはな(ニヤリ)」

ムウ(悪い顔をしていますね……)

カミュ「…む…まさか……」

カノン「さぁ、続けるぞ」



☆ ☆ ☆


西垣の案内で、一同は研究室へと到着した。
「室井細胞は研究室の冷蔵ケースに保管されていて……」

と、言葉を続けようとした西垣だが――

「きゃあああああああ!!」

突然、西垣は悲鳴を上げその場にへたり込んでしまう。

「どうしました!?」
ムウとカミュは、西垣に気を取られ部屋で何が起きたのかは分からなかった。

……だが、何が起きたのかを『見てしまった』者がいた。

部屋に入る直前、玄武とサガは、床を滑るように移動し、水道の排水口の中に飛び込んでいった小さな黒い塊を目撃したのだ。

そして、サガは……西垣が床に落とした手提げ鞄からも、同じような塊が、ずるりと這い出る瞬間を、目の当たりにした。
その黒い塊の、ぎょろりと小さな目がサガの姿を捉えたが、それは気にする様子を見せずにゆっくりと床を滑る。
サガ以外の誰にも気づかれる事無く、手提げ鞄から這い出た塊も、音も無く排水口へと消えていった。


☆ ☆ ☆

カノン「さぁサガ、SAN値チェックだ!!サガはクリティカル効果で色々はっきり見えたから減るSAN値は多いぞ!!」

サガ「ぐぅう…だ、だが成功すれば良いだけだ!!」


〈SAN値チェク〉

サガ(75)→84(失敗!!)


サガ「し、失敗した……」

ムウ「玄武もSAN値チェックですか?」

カノン「あぁ、玄武のは俺が振っておいた。出目94で失敗、減少は1だ」

カミュ「少ないな」

カノン「これは小さな黒い泥を見たSAN値チェックだからな。成功で1、失敗で1D4の減少なんだ」

サガ「で、では……」

カノン「悪いが、サガの減少値は多めにするからな(ニヤニヤ)」

サガ「(イラッ)失敗したからいくつ減少だ……?」

カノン「あれと目が合ったし、単に数値を倍にすれば良いか……1D8で振れ」

サガ「1D8か…(ころころ)……6だ」

ムウ「かなり減りましたね…最大値でないだけマシですか……」

カミュ「いや、これは……」

カノン「よっしゃああああ!!発狂チャンスきたこれ!!サガ、続けてアイデアロールだ!!」

カミュ「サガ、成功しては駄目だ!!」

サガ「だ、だがアイデア85もあっては……」


〈アイデア〉

サガ(85)→26(成功しちゃった)


カノン「ついに…ついにこの時が来たぞおおおおお!!」

サガ「な、何だというのだ……!?」

カミュ「……サガ、一時的狂気だ」

カノン「謀ったようにサガが初発狂者になるとはな!!俺は嬉しい限りだぞ!!うわーっははは!!」

サガ「な、何ぃ!!」

カノン「神話生物関係で発狂したから、神話技能に5%追加しとけ。次は狂気の内容を決めるぞ、1D10だ!!」

サガ「おのれ……(ころころ)……4だ」

カノン「なら…早口でぶつぶつ言う意味不明の会話、あるいは多弁症、か…殺人癖とか出せばよかったのに」

サガ「そうなった場合はこのダイスを握り潰すまでだ」

ムウ「落ち着いてくださいサガ…エルダーサインのダイスを握り潰したら、逆に呪われそうです」

サガ「……それもそうか」

カノン「次は時間を決めるダイスロールだが…今回は…カミュ、何かやりたければ先に良いぞ」

カミュ「当然、精神分析だ」


〈精神分析〉

カミュ(81)→25(成功)


カミュ「成功だ(キリッ)」

カノン「じゃあ発狂してもすぐ戻れるな(失敗したらそのまま時間のロールだったんだが)…この結果をふまえて…よし、じゃあロールプレイするぞ」



☆ ☆ ☆


「…!?教授!?」
サガの異変に気付いたのはカミュだ。
青ざめ、その場で「私は何も見ていない」と、ぶつぶつと繰り返しているその様子は尋常では無いものだ。
「教授、一体何が……」
「教授は私に任せてくれ」
そう言うと、カミュはサガを研究室の椅子に座らせ、サガの精神を落ち着かせるべく簡単なカウンセリングを行う。
「…所長……」
「どうしました?玄武」
サガ程では無いが、僅かに青ざめた玄武に呼ばれた。
ムウは、楓に「すぐに戻るから此処で大人しくするように」と言い、椅子に座らせてから玄武の元に向かう。
玄武に促され、研究室に備え付けられていた冷蔵ケースを見た。

……シャーレなどの容器が、散乱している。

散乱したシャーレの中には、中身の無い、空っぽのものもあった。
「…これは……」
空になったシャーレの蓋のラベルには、『室井細胞』と書かれていた。
恐らく、この空になったシャーレは全て、室井細胞を管理していたものなのだろうと、ムウは予測する。
ムウは西垣に確認すべく、彼女の元へと向かった。


☆ ☆ ☆


カノン「悪いが、此処でムウの心理学だ」

ムウ「?何かあるのですか?」

カノン「それは結果次第だ」


〈心理学(聖闘士達は結果が分からない)〉

ムウ(85)→36(成功)


カノン「(これも普通の成功か…)ムウはその場で座り込んで怯えている西垣の様子を見て、怖がり方が尋常ではない気がしたな」

ムウ「…?彼女も発狂したという事でしょうか?」

カミュ「カノン、サガに精神分析した後で西垣にも精神分析は可能か?」

カノン「(どうするかなぁ…いや、ここは……)いや、サガが正気に戻った頃には西垣も元に戻るぞ」

ムウ「サガが発狂しなければ彼女への精神分析が可能だったかもしれませんね」

サガ「す、すまない……」

ムウ「空になったシャーレには、室井細胞があったという事で良いのですか?」

カノン「あぁ、西垣が確認して、空になったシャーレは全て室井細胞が入っていたという事が分かるぞ」

ムウ(楓を連れて来ない方が良かったのでしょうか…?)

カミュ「怯え方が尋常では無い所を見ると…西垣は室井細胞がこのように動く事を知っていたのでは無いのか?」

サガ「カノン、この事を彼女に聞く事は可能か?」

カノン「悪いが、その質問をしても西垣は「何も知らない」としらを切るだけだぞ」

ムウ「怪しいですね……楓の様子はどうです?」

カノン「椅子に座って研究室の中をあちこち見ている感じだな。特に狼狽えたりはしてないぞ」

ムウ「そうですか…ですが、この部屋に居る意味はもう無いのですよね?」

カノン「そうだな、後片付けは西垣がやると言って部屋を後にする事になるぞ」

サガ「そうか…何も無ければ、このまま帰るだけだな……」

カノン「ふむ……じゃあ、その前にロールプレイだ」

サガ「何……?」


☆ ☆ ☆


御津門大学を出ようとした一同だったが、西垣が慌てた様子でサガの元へと駆け寄った。
「サガ教授、少しお話しを伺いしたいのですが……」
「?何でしょう?」
首を傾げるサガに、西垣は「実は……」と話を切り出した。
「教授は先程、ご友人の方からあのサンプルを受け取ったと仰っていましたよね?」
「あ、あぁ……」
サガは一瞬だけ、ムウの方を見るが表情を変えずに西垣へと視線を戻す。
「そのご友人について詳しく教えてもらえませんか?旅していると仰っていましたが、それは国内の範囲なのですか?」
「そ、その……」
(まずい…これ以上誤魔化しては、彼女に怪しまれてしまう)
サガは冷や汗をかきながら、西垣の言葉にどう返答するかを模索する。


☆ ☆ ☆


カノン「因みに、今のお前達の場所は事務所を出たあたりになるな……暑い時間だろうが、木の影の下にいるから涼しいぞ」

カミュ「了解した…だが、彼女は心理学持ち…迂闊に嘘を重ねては怪しまれてしまうぞ」

サガ「わ、分かっているが……」

ムウ「私としては、西垣に下手に情報を与えたくありません…どうすれば……」

カノン「(よしよし……)ムウ、困っているようだな?」

ムウ「何か状況を変える事が出来るのですか?(結構投げやり)」

カノン「あぁ、じゃあイベント発生させよう」

ムウ「え」

カミュ「嫌な予感しかしないぞ……」



☆ ☆ ☆


(迂闊に情報を与えては、彼女を巻き込んでしまいますし…どうすれば……)
言葉を濁らせているサガの背を見ながら、ムウは逡巡していた。
「……おかあさん」
不意に、ムウは楓に呼ばれる。
「おかあさん、こまってるの?」
「い、いえ、私は……」
「あのひとが、おかあさんをこまらせてるの?」
まるで、心を見透かされたように、楓はじっとムウを見上げる。
「そ、そういう訳では……」

その時、目の前を黒い影が横切る。

「教授!?」
背を向けていたサガは、玄武に突き飛ばされる形で事無きを得たが、その黒い影はそのまま真っ直ぐに西垣へと飛んでゆく。
「きゃあ!?」
西垣も突然の事で驚き、その場で尻餅をついた。
「な、何だ……!?」
カミュは警戒しながら、突如飛来したものに目を向ける。

その影の正体は、烏だ。

だが……その表皮は黒い羽毛ではなく、ぬらぬらと黒い泥のようなものに覆われていており、ばさばさと羽ばたく度に、腐臭と少量の泥が周囲に飛び散っている。



☆ ☆ ☆


カノン「って事でSAN値チェックだ☆」

三人「「「ふざけるなあああああ!!」」」

カノン「ただサガは…どうするかな……」

サガ「何だ……?」

カノン「さっきのイベントで泥を見て6削れたからな……良いや、不定形の軟泥を目撃して合計20減るまでは振ってもらおう。サガ、お前はさっき結構減ったから69以下の数値を頑張って出せよ」

サガ「おのれ……」


〈SAN値チェック〉

ムウ(75)→88(失敗)

カミュ(85)→74(成功)

サガ(69)→72(失敗)

玄武(84)→87(失敗)


カノン「出目高すぎwwww成功で1、失敗で1D4の減少なwwwww」

カミュ「私は1か」

ムウ「(ころころ)……3です」

サガ「(ころころ)……2だ」

カノン「玄武は……(ころころ)3の減少か」

ムウ「カミュのメンタルが硬いですね」

カミュ「では私はオリハルコンメンタルポジションを目指そう(キリ)」

ムウ「何ですかそれは……」

カノン「サガのSAN値が順調に削れて俺は嬉しい限りだ(ニヤニヤ)」

サガ「(イラッ)だが、これは戦闘開始の流れか……」

ムウ「…いえ……カノン、ロールプレイでどうにか出来ませんか?」

サガ「ロールプレイで、か……?」

カノン「やはりムウは気付いたか……良いだろう、アイデアロールなんかは不要で良いぞ」



☆ ☆ ☆


「……楓」
ムウは素早く膝をつき、楓と正面から向き合う。
「私は全然困ってなんかいませんよ」
「ほんとう?」
「えぇ、本当です」
ムウは微笑みを浮かべると、楓に質問をする。
「そうだ、楓は今日の夕飯は何が良いですか?お素麺にしようと思っているのですが」
「え?えっとね……」
「ムウ、こんな時に何を……」
サガがそう言い、ムウに詰め寄ろうとした時だった。

烏が、突如として方向を変え羽ばたいて行ったのだ。

「か、烏が……」
烏は確かに、西垣に明確な敵意も持っていた。
だが、突然興味が失せたかのように飛んで行ってしまったのだ……。
「な…何…今の……」
烏が飛び去るのを茫然と見つめながら、西垣が呟いた。


☆ ☆ ☆


ムウ「やはりそうでしたか」

カミュ「成る程……楓にムウが困っていない事を教えるのが、この状況を切り抜ける鍵だったのだな」

ムウ「えぇ…カノン、あの烏もアイオリアと玄武が目撃した犬と同じもの…という事で良いのですね?」

カノン「あぁ、同じ奴だぞ」

ムウ「私が含まれている事も確定しましたね…あの不定形の軟泥は、私と楓を見守っているとみて間違いないでしょう」

サガ「む…そういえば、先程もカノンが困っているかと聞いてきたな」

カノン「まぁ、そういう事だ。因みに戦闘開始してた場合、倒しても無限に烏やら何やらが襲ってくる現象になっていたからな」

ムウ「想像しただけで恐ろしいですね……ですが、問題は、まだ解決していません」

サガ「あ、あぁ……西垣の事だな」

カミュ「こうなっては仕方あるまい……彼女にも、楓の事を話そう」

ムウ「あの黒い軟泥の出現は、楓が関係しているという感じで良いでしょうか……?」

カノン「まぁ、そんな感じで良いぞ。じゃあ…西垣は『自分にも楓の世話をさせてほしい』と言ってくるぞ」

ムウ「何ですって……!?」

カノン「子供の扱いには慣れているから大丈夫とも言ってくるな」

カミュ「……怪しいな」

カノン「だが、風呂は一気に楽になりそうだがな」

ムウ「…それを言われては……(汗)」

サガ「だが、今日は色々ありすぎた……ミロ達にも相談しなければならない事だし、後日改めて連絡をするというのは?」

ムウ「それが無難でしょうね……カノン、持ち物に名刺を忘れていたのですが、持っていても大丈夫でしょうか?」

カノン「まぁ、名刺ぐらいなら持ち歩いてても良いな。ちゃんと記入しててくれ」

ムウ「分かりました…取り敢えず、私の名刺を渡して後日此処に来るように言っておきましょう」

カノン「じゃあ…西垣は翌日事務所に伺うと言ってくるぞ?」

ムウ「早いですね……まぁ、それで構わないですよ」

カノン「じゃあ、そんな感じで大学を後にして……夕方の5時ぐらいに帰宅で良いか」

ムウ「分かりました」

カノン「後は向こうがどうなったかだな……じゃあ、アイツ等呼んでくるぞ」

カミュ「向こうはどうなったのだろうか……」
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