聖闘士達がクトゥルフ始めたようです
カノン「取り敢えず…ムウは楓と買い物に出掛ける、アイオリアはオルフェ夫婦のガレージ掃除を手伝うって事で良いんだな?」
アイオリア「あぁ」
ムウ「そうですね」
カノン「アイオリアはその後どうする?多分昼ぐらいには終わるだろうが……」
ムウ「そのまま事務所に残ってもらいましょうか……サガにあのサンプルを渡す為にミロが残っていますから、そのままサガと一緒に出掛けても良いように」
アイオリア「一人で行動するのか……?」
ムウ「……恐らくですが、私がサングラスを掛けたまま楓から離れない限り、物理的に殺される事は無い筈です」
シュラ「…ふと思ったんだが、ムウがサングラスを外したら楓はどのような反応をするんだろうか?」
ムウ「その場で錯乱するのが目に見えてますよ……」
カノン(やはりムウが相手では手強いな…下手にサングラスを外すイベントも作れないし……)
アイオリア「ともかく、俺はそのまま事務所に残れば良いんだな?」
カノン(いやいや、今はあのイベントに専念せねばな)
ムウ「では、車で出掛けます……ショッピングモールはあるのですか?」
カノン「東雲って場所にイ○ンがあるらしいぞ?日比谷から電車で10分ぐらいで着くらしいが……(スマホ片手に色々調べた)」
ムウ「では一旦そこに向かいますか」
カノン「了解、じゃあイ○ンに到着した所から…ちょっと待て(何やらスマホポチポチ)」
ムウ「……?」
カノン「…いや…イ○ンじゃなくて良い、そんな感じの大きなショッピングモールがあるって事で良いぞ(そっとスマホを置き)」
ムウ「…分かりました……」
カノン「…しかし…何だろう、無償に腹が立ってきた」
ムウ「落ち着きなさいカノン」
※カノンが腹を立てた理由は前回参照※
☆ ☆ ☆
ムウは楓を連れて、都内のとあるショッピングモールに訪れた。
昼前という時間ではあるが、店内は親子連れから若いカップルまで、様々な客で賑わっている。
楓はムウの手を握ったままの状態だが、ショーウインドーに陳列されている洋服や商品を見て目を輝かせていた。
(人の多い所が苦手、という訳ではないようですね……?)
ムウはその楓の様子に安心しながら、目的を果たすべく楓に声を掛けた。
「……楓、何か欲しい物はありますか?」
「え……?」
ムウの言葉に、楓はきょとんとした顔でムウを見上げた。
「何か欲しい物があれば言ってください。私が買いましょう」
「ほんとう?」
楓は目を輝かせると、ムウを連れまわす形で店内を歩きだした。
「うんと…えっと……」
――だが、その表情は徐々に変化する。
つい先程まで、喜びにあふれていた楓だったが、今は自分が何が欲しいのかが分からないような、焦りの表情を浮かべていた。
「……楓!?」
ついに、楓はムウの手を離し店内を駆け出した。
店頭に並んでいる商品や、ショーウインドーを覗き込み、探している『何か』では無いと理解するとまた駆け出す……その行動を繰り返していた。
☆ ☆ ☆
シュラ「…嫌な予感しかしないのだが……(汗)」
ムウ「…カノン、想像するだけでも痛々しいので、すぐに楓を捕獲したいのですが」
カノン「(ちっ…もう少しほっとけばSAN値チェックが出来ると思ったんだが……)良いだろう。だが、その後はどうするつもりだ?」
ムウ「…そうですね…取り敢えず、ベンチにでも座らせて…楓に質問をしたいのですが」
カノン「質問はどんな内容だ?」
ムウ「楓の欲しがっているものを把握したいので…大きさや形、硬さや素材、使用用途も分かれば良いのですが……」
カノン(だからムウは嫌だったんだ……)
アイオリア「カノン…どうかしたか?」
カノン「いやべつに……じゃあ、そこら辺のロールプレイは省略して良いぞ(質問だいたい言ってるからな…)ムウは楓が欲しがっているものが『頑丈な箱』だという事に辿り着いたな」
三人「「「……箱?」」」
カノン「あぁ、箱だ」
シュラ「は、箱……?」
アイオリア「頑丈な箱などあるのか……?」
ムウ「すぐに浮かんだのは聖衣箱なのですが、流石にそれは違うでしょうね……」
カノン(これはリアルアイデアの問題……か?)
ムウ「……カノン、旅行で荷物を入れる箱の名前って何でした?」
カノン「(むっ)キャリーケースの事か?」
ムウ「以前CMで見かけたのですが、結構な高さから落下させても変形しない程頑丈なものがあった筈です。それでも良いのでしょうか……?」
カノン「あぁ…そういえばあるな…あれなら子供ぐらい入れそうだし…じゃあ、キャリーケースで良いんだな?」
ムウ「えぇ…そのショッピングモールにありますか?」
カノン「あぁ、あるって事で良いぞ……そうだな、アウトドアの専門店みたいなお店で、マリンスポーツに対応している特殊なキャリーケースがあったって事で構わないぞ」
ムウ「…カノン…まさか、先程調べていたのは……」
カノン「イ○ンには無かったんだよ……」
シュラ「そんな理由か」
カノン「それでもどうにかなるのがTRPGの世界だ」
ムウ「…それで…そのキャリーケースを購入したいのですが」
カノン「ムウのPCなら余裕で購入できそうだな……」
アイオリア「年収のダイスがこんな形で役立つとはな」
カノン「ほんとそれな(車田泣き)」
ムウ「おやめなさい…28の大人がみっともない……」
カノン「どうも先程からイライラしてな……ともかく、キャリーケースは購入するんだな?」
ムウ「えぇ」
アイオリア「これで、後は合流するだけか」
カノン「その前に、ちょっとしたイベントだな」
ムウ「……何ですって?」
☆ ☆ ☆
楓に根気よく質問を重ね、楓が欲しがっているもの―『頑丈な箱』を求め、ムウはショッピングモールの中に存在するアウトドアの専門店に訪れた。
店内の商品を閲覧していると、丁度楓が入れそうな程大きなサイズの、防水性があるキャリーケースを発見した。
「……!!」
「楓!?」
それを発見した瞬間、楓は駆け出し、あろうことか力任せに小さなこぶしで叩きだしたのだ。
「やめなさい楓!!」
楓を抱きかかえる形で止めたムウは、サングラス越しに瞠目した。
――楓のこぶしに、うっすらと血が滲んでいる。
恐らく、ムウが止めなければ己のこぶしの骨を砕いていただろう。
「お、お客様!?」
楓がキャリーケースを叩く様子を目の当たりにした店員が、目を白黒させながら飛んで来た。
「も、申し訳ありません」
ムウは頭を下げ謝罪をし、そのキャリーケースを購入した。
☆ ☆ ☆
三人(((嫌な予感しかしない!!)))
カノン「さぁ、これからどうする(ニヤニヤ)」
ムウ「カノンのこの笑顔…(イラッ)…楓に応急手当は必要ですか?」
カノン「不要だ。応急手当のキットなら持っているし、ショッピングモールの中を探せば薬局あるから絆創膏程度はすぐ入手できるしな」
ムウ「……では、楓の手に絆創膏を貼ってそのまま買い物をして帰ります」
アイオリア「だ、だがムウ、楓のあの様子は尋常では無いぞ!?」
ムウ「確かに尋常ではありませんが…私のPCだけでは、楓の状態を診断出来ません。精神分析を持つサガやカミュがいれば別でしょうけれど……」
カノン「やはりムウは鋭いな……その通り、精神分析なら振れるぞ」
シュラ「初期値の1%か……」
ムウ「下手にファンブルを出したくありませんから、振らないですよ」
カノン「逆に1クリ出されたら俺は喀血するぞ」
シュラ「何だそれは……」
カノン「まぁ良い。これでムウのシーンは終了だ」
ムウ「この後アイオリア達と合流ですか?」
カノン「あぁ…だが、先に一つ言っておかなければならん事がある」
アイオリア「何だ?」
カノン「ちょっと前に、アフロディーテとやり取りをしてな…ミロはサガと合流してそのまま大学に行った事になっている」
ムウ「あぁ、やはりそうなりましたか」
カノン「元々ミロが別行動を取っても良いようにしていたから、最後に説明しても良いかと思ってな……じゃあ、これから合流するぞ」
シュラ「向こうはどのような情報を得られただろうな?」
ムウ「カノンがイライラしたのです、余程の事があったのでしょう」
※サガのクリティカルを聞き、カノンが発狂するまで5秒前※