お酒事情(Bad Ass Temple)
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ガヤガヤとした駅前の大衆居酒屋。
暖簾をくぐった瞬間、油と焼き鳥の香ばしい匂いが六花を包み込んだ。
「わ〜っ、活気すごい!」
思わずきょろきょろしていると、先に入った獄さんが
空いているテーブルを見つけて腕を引く。
「こっちだ、六花」
「あ、はーい!」
席につくと、店員がジョッキを運んできた。
二人で「かんぱーい!」と音を鳴らす。
ゴクゴク……と一口飲んで、六花の顔がぱぁっと明るくなった。
「ぷは〜〜!生ビール最高!!」
「ははっ、いい飲みっぷりだ」
獄さんも喉を鳴らしながら豪快に飲み干す。
メニューを開くと、串焼き・唐揚げ・ポテサラ……どれも魅力的すぎる。
「え、全部食べたいんだけど……」
「じゃあ適当に頼んでおく。食えるだけ食え」
ほどなくして、テーブルの上は焼き鳥、揚げ物、枝豆でいっぱいになった。
六花は手羽先を頬張りながら「おいしー!!」と何度も言う。
獄さんはそんな六花を見て、口元を緩める。
「お前、ほんとに楽しそうだな」
「だって美味しいし、こういうお店久しぶりだから」
「たまにはこういう夜もいいな」
しばらく談笑しながら食べ進めていると、
六花の頬がほんのり赤くなってきた。
「ねえ獄さん、もう一杯頼んでいい?」
「おっと、一旦そこまで。水飲め、水」
「え〜、まだ飲めるよ?」
「ペース早すぎんだよ、休み休み飲め。これがクールな大人の飲み方だ。ほら、おしぼりも新しいの取っといた」
六花は素直に水を受け取り、「ありがと」と笑った。
「ほんと獄さんって面倒見いいよね〜。
いつも空却くんと十四くんの面倒見てるから?」
「ま、放っとくとどっちも勝手に動くからな。
慣れちまったんだよ」
ちょっと得意げに言うその横顔が、なんだか頼もしくて、
六花はついじっと見てしまった。
「……なんだよ」
「ううん、なんかお父さんみたいでかっこいいなって思っただけ」
「お父さんは余計だろ」
と言いながらも、獄さんは少し照れくさそうにグラスを傾ける。
ワイワイと賑わう居酒屋。
ジョッキ片手に語らい合った後、少し酔いが回って、六花はテーブルに頬杖をついてふわっと笑った。
「……なんか、楽しいね。久々にこんなに飲んだかも」
「だろ? こういう時くらい、思いっきり楽しめばいいんだよ」
テーブルの上には串焼きの残骸と、まだ熱々の出汁巻き卵。
六花が嬉しそうに箸を伸ばしたのを見て、獄はくくっと笑った。
「お前、ほんと食う時いい顔すんな」
「えっ!? いい顔ってどんな!?」
「嬉しそうな顔。……ちょっとガキっぽいけどな」
からかうように言いつつも、どこか優しい声。
六花は耳まで赤くなり、ジョッキを持ち上げてごまかした。
┈┈┈┈⿻*.·
少し飲んだあと、六花がぽつりと呟く。
「……最近さ、ちょっと落ち込むこと多かったけど、今日は元気出たなぁ」
獄は持っていたグラスを置き、真剣な表情でこちらを見た。
「落ち込むって、仕事か?」
「うん……人間関係とか色々、かな」
その一言に、彼は顎に手をやり、ふっと息を吐いた。
「……そういう時はさ、言いたいこと言っちまえよ。俺が聞いてやる」
促されると、六花は少しだけ肩の力を抜いて、ぽつぽつと悩みを話す。
「こんなこと言っていいのかな」と思いつつも、獄の落ち着いた聞き方に安心して、次第に言葉が止まらなくなっていった。
話し終わると、獄は少しの間黙って頷き、穏やかな声で言った。
「……なるほどな。お前、ちゃんと頑張ってんじゃねえか」
「え?」
「愚痴でも泣き言でも、言葉にして出せるならまだ平気だ。溜め込んで何も言わなくなる方がよっぽど危ねえからな」
その言葉に六花はハッとして、そしてふっと笑った。
「……ありがとう、獄さん」
「よし、んじゃあと一杯だけ飲んで帰るぞ。飲みすぎんなよ?」
┈┈┈┈⿻*.·
帰り道
夜風がひんやりと頬を撫でる。
獄は六花の歩幅に合わせてゆっくり歩き、横目でちらりと様子をうかがった。
「おい、大丈夫か? 千鳥足になってねーか?」
「だ、だいじょうぶ……!」
そう言いつつ少しふらついた瞬間、獄の手が支えるように肩へ回る。
「ほら言わんこっちゃねえ。……ったく、元気なのか酔ってんのかわかんねえな」
けれど声は柔らかい。
六花は少しだけもたれかかり、安堵のため息をついた。
「……あったかい」
「あ? 俺が?」
「うん……なんか、安心する」
不意打ちの言葉に、獄は思わず笑い、頭を軽くぽんと叩いた。
「お前な……もうちょい酔いが冷めてから言え。俺まで照れるだろ」
そのまま駅まで並んで歩き、最後は
「よし、次はあそこの店行くか。うまい魚出すんだ」
と笑って約束してくれる。
夜風と笑い声が混ざった、優しい帰り道だった。
♡Fin♡
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