お酒事情(Bad Ass Temple)
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夜。
静かな本堂の縁側。
夏の夜風が涼しくて、虫の音が心地よくて。
あなたと並んで座る波羅夷 空却は、湯呑みに入った温かいお茶を片手に、珍しく落ち着いていた。
「……ああ~、マジで涼しくて極楽……。
さっきまでクソみてーに騒がしかった街と比べたら、ここ、マジ浄化空間だよな」
彼はそう言って、湯呑みを持ち上げ、少しだけ目を細める。
「……なんか、お前とこうして茶しばいてんの、不思議だわ」
「不思議?」
「いや、俺ってさ、あんま落ち着いて話すとか、性に合わねーって思ってたし。
坊主らしいこととか……正直、逃げてたとこもあったからよ」
あなたの隣で、空却は少しだけ目を伏せた。
いつもは何かと元気に騒いでいる彼の、その静かな横顔は、ちょっとだけ儚げに見えた。
「ガキの頃から、寺の跡継ぎだとか、立派な僧侶になれとか言われて……
うっせーな、俺の人生勝手に決めんなよって、反発してばっかで」
「でも今、こうしてここで茶飲んでんの、……嫌じゃねーんだよな」
少し照れくさそうに、肩をすくめるように笑った空却。
その笑顔は、どこか安心してるようにも見えた。
「お前ってさ、ちゃんと話聞いてくれんじゃん。
俺がバカやっても、笑ってくれたり、怒ったりしてくれるし。
そういうの……ありがてーって、最近気づいた」
不意に真面目なトーンになる彼の声。
「……だから、今日はちょっとだけ、坊主っぽい俺でも見せてやっかなって思ってよ」
湯呑みに口をつけながら、空却はわざとらしく肩肘張ったふうに言う。
「どうよ? 俺、ちょっとは大人っぽく見えてっか?」
そう言ってこちらを見る彼の顔は、期待半分、照れ半分。
あなたがクスッと笑って「うん、ちゃんと大人っぽいよ」って返すと、
「……っしゃああああ~~!!
今夜だけは真面目な空却様でいったるわ!!」
……と、結局は元の調子に戻ってしまったけど。
その後も、湯呑みを片手に、ぽつぽつと語られる彼の本音に、あなたの胸はじんわりと温かくなっていた。
┈┈┈┈┈⿻*.·
境内の静けさが、夜を少しずつ深めていく。
空却は、あなたの隣でじっと空を見上げていた。
「……俺さ、ほんとはもっとちゃんと……守りてぇ人とか、信じたいもんとか、あるんだよな」
「不良僧侶とか言われてっけど、俺なりに……守りてぇ筋っつーの? そーいうの、あんだよ」
少しだけ伏せたまつげが、街灯の光に照らされて、線のように揺れていた。
こんな静かな空却を、あなたは今まで見たことがなかった。
「……でさ、実は今日……」
空却が言いかけて、急に沈黙する。
あなたがそっと覗き込むと、彼は、どこか躊躇うように眉をひそめて言った。
「ほんとは、ちょっとキメたかったんだわ」
「えっ?」
「なんつーか、お前にちゃんとした俺見せて、……ちょっとだけ男として見られたくてよ」
……急に、ふいを突かれて心臓が跳ねる。
「な、なに言って―」
「いやでも違ぇからな!?変な意味じゃねぇぞ!?俺そーいうチャラチャラしたのとか、マジ苦手だし!!」
空却は勢いよく立ち上がって、ブンブンと手を振る。
頬はほんのり赤く、耳の先まで染まっていた。
「……でも、よ。
……お前といると、かっこよくいたいって思うんだよ」
「坊主としてじゃなくて。
チームのリーダーとしてでもなくて。
ただの波羅夷 空却としてさ」
息をつくように、彼はそっと湯呑みを置いた。
そして、少しだけあなたに近づいて――
静かな声で、でもしっかりと目を合わせて、言った。
「……俺、たぶん……お前のこと、ずっと大事に思ってんだわ」
真っ直ぐな目。
迷いも照れも、全部さらけ出したその視線に、あなたは何も言えずに見つめ返す。
「……とか言って、キメてんの、マジで超恥ずかしいんだけど!!」
……湯呑み片手にジタバタする空却は、やっぱりちょっと子どもみたいで。
でも
その素直さと真っ直ぐさは、大人顔負けにカッコよかった。
夜風がふっと吹いて、あなたの頬を撫でた。
隣には、湯呑み片手に顔を真っ赤にしてる不良僧侶。
だけどこの夜だけは、
彼の「背伸び」も、「素顔」も、全部まとめていとおしい――
そんな、優しい夜だった。
♡Fin♡
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