麻天狼のマネージャーをやらせていただいています
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カメラのフラッシュが静かに光り、スタジオの空気が変わった。
現場という空間は、スイッチが入る瞬間がある。
それは、誰かが「お願いします」と言った時でも、照明が点いた時でもない。
麻天狼の三人が、それぞれの“顔”になった時。
まずは寂雷先生の撮影。
彼はレンズを前にしても、特別に何かを作ろうとしない。
ただ立っているだけなのに、
まるで夜の静寂が形になったような存在感。
「神宮寺さん、もう少し目線だけカメラにください」
カメラマンの指示に、先生は軽く頷く。
その一瞬の仕草すら、絵画のようだった。
私は撮影の隅で照明の角度を確認しながら、
先生の袖口に少しだけ皺が寄っているのに気づく。
休憩中に軽く伸ばそうと近づくと、
「気づくのが早いね、六花さん。君はまるで医者みたいだ」
「先生ほどじゃありませんよ」
「ふふ、君がマネージャーで頼りになるよ」
微笑んだその横顔に、スタッフの女性たちが思わず息を呑む。
これが、麻天狼のリーダー。
次は一二三さんの番。
彼はまさに撮られるために生まれた男だった。
立ち姿も、角度も完璧。
女性スタッフから「すごい…!」と声が漏れるたびに、彼は笑顔で応える。
──が、撮影半ばで小さなアクシデント。
スタッフが近づいた瞬間、
「うっ……!」と息を詰まらせ、表情が一瞬で固まる。
私はすぐに動いた。
「私が位置調整しますね!」
間に入って軽くマイクを直しながら、
「大丈夫、一二三さん。あと少しで終わりますから」
と目で合図する。
彼は一瞬こちらを見て、ふっと息を吐いた。
「……助かるよ、六花ちゃん」
再びレンズを見据えたその横顔には、
先ほどまでの女性恐怖症で強ばった表情ではなく、
本物の男の表情が戻っていた。
最後は独歩さんの番。
黒のスーツに身を包み、彼の瞳の奥は緊張していた。
「観音坂さん、もう少し肩をリラックスさせて」
「え、あ、すみません! はいっ!」
あわあわと動く彼に、現場が少し和む。
私は小声で「独歩さん、自然体のままで大丈夫です。いつも通りの“仕事終わりの表情”でいきましょう」
と声をかける。
「……“仕事終わり”ですか。疲れてる顔でもいいんです?」
「それが麻天狼のリアルですから」
その言葉に、彼は小さく笑った。
──カメラのシャッターが鳴る。
その一瞬、独歩さんの表情が柔らかく光を掴んだ。
撮影が終わると、カメラマンが深く頷いた。
「いやぁ、今日の麻天狼、完璧だったな。さすがチームワークいいね」
その言葉に、私は胸の奥がじんわりと温かくなる。
照明が落ち、機材が片づけられていく中、
私はメンバーの元へ歩いた。
「お疲れさまでした。今日、三人とも本当に最高でしたよ」
寂雷先生は静かに微笑み、
「君の支えあってこそ、だよ」
独歩さんは少し照れたように頭をかき、
「……まぁ、なんとか終わりましたね」
一二三はサムズアップして、
「六花ちゃんが居なかったら途中で固まってたかも!」
──そんな言葉のひとつひとつが、何よりの報酬だった。
┈┈┈┈┈ᴛᴏ ʙᴇ ᴄᴏɴᴛɪɴᴜᴇᴅ┈┈┈┈⿻*.·
