秋のイベントデート
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午前10時。
街路樹が赤く染まりはじめた公園の入口に、六花と十四が並んで立っていた。
手にはそれぞれ、大事そうに抱えたぬいぐるみ。
六花はミニサイズの「十四ぬい」を、十四はアマンダをぎゅっと胸に抱えて。
「な、なんか緊張するっすね……デートっていうか……ぬい撮影会って感じっすけど……」
「た、確かに!人前でぬいを出して撮影って初めてで…緊張するの分かるかも…!でもでもっ、こんなに紅葉綺麗なんだもん!今日はたくさん素敵な写真撮ろうね!」
言葉に釣られて十四もふっと笑う。
秋の風が頬を撫でて、柔らかく舞った落ち葉が足元を彩った。
「うわ、見てください六花さん!あそこ、もみじ真っ赤っすよ!」
「ほんとだ!十四ぬいとアマンダ並べて撮ったら絶対映えるやつじゃん!」
六花がスマホを構え、ベンチの上に十四ぬいとアマンダをちょこんと並べる。
十四はしゃがみ込んで位置を調整しながら、「アマンダ、もうちょい右っす」と真剣顔。
横で六花も「十四ぬい、もう少しこっち」と合わせて並べる。
「……よしっ、完璧っす!」
「じゃあ撮るねー、せーのっ!」パシャ
カメラに収まるのは、燃えるような紅葉と、寄り添うふたつのぬい。
その写真を見せ合って、2人で「かわいすぎるっす……!」「やばいねこれ」と顔を見合わせて笑った。
その後も場所を変えながら、ぬいを並べて撮って、紅葉のトンネルを歩いて、また撮って。
いつもは緊張気味な十四が、今日はずっと柔らかい表情をしている。
「六花さんって、写真撮るの上手っすね……アマンダ、めっちゃ嬉しそうっす」
「ふふっ十四が楽しそうだから、アマンダもそう見えるんだよ」
十四の頬が少し赤くなる。
「そ、そんなことないっすよ……いや、でも……今日はほんと、楽しいっす」
その照れ方が可愛くて、六花はつい十四の肩を軽く小突いた。
「ねぇ、次はカフェ行こ!甘いの食べたいな」
「は、はいっす!甘味処……っすね!僕、調べといたんすよ!」
そう言って取り出したスマホの検索履歴には「紅葉 カフェ スイーツ」「ぬい 写真 かわいく撮るコツ」などの文字。
完璧すぎる準備に、六花は思わず笑ってしまった。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈⿻*.·
カフェに入ると、テーブルの上には抹茶パフェとお団子、そしてぬいたちが鎮座。
「まずは写真タイムっすね!」
「うんうんっ!十四ぬいも、アマンダも主役だもんね!」
2人で夢中になって撮影していると、いつの間にか顔を見合わせて笑いあう。
「六花さんといると、なんか……あったかいっす」
「ふふ、秋だからね」
「いや、そうじゃなくて……その……あーもう……照れるっす」
十四が頭を掻いて、アマンダで顔を隠す。
そんな姿が可愛くて、六花は思わず「十四も可愛い」と口にしてしまう。
十四は真っ赤になって、「そ、そういうのは急に言わないでほしいっす……」と目を逸らすけど、口元は嬉しそうにゆるんでいた。
そして最後の写真には──
パフェを挟んで微笑む六花と十四、
その前に並ぶアマンダと十四ぬい。
「これ、今日一番っすね」
「うん!秋デート、大成功だねっ」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈⿻*.·
帰り道、紅葉の道を並んで歩きながら、十四が小さく呟いた。
「六花さん、またこうやって……写真撮り行きたいっす」
「うん!もちろんまた行こうっアマンダと十四ぬい、また連れてこうね」
秋風の中、手が少しだけ触れ合う。
十四は驚いたように目を丸くしたけれど、そのまま逃げずに、小さく握り返してきた。
その瞬間、紅葉がひときわ鮮やかに揺れた気がした。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈⿻*.·
秋デートから数日後の夜。
六花のスマホが“ピコン”と鳴った。
送信者は十四。
「今、ちょっと電話してもいいっすか?」
どうしたんだろうと思いつつ通話ボタンを押すと、
いつもより少し緊張した声がスピーカーから聞こえた。
「えっと……六花さんって、手ぇ器用だったりします?」
「え?突然どうしたの?それは、裁縫とかのこと聞いてる?」
洋服でも破れたりしたのかな?とか思いつつ
「あっ、えぇっと、そのですね」と焦ったように続けた。
「こないだの紅葉デートで思ったんすけど、俺とアマンダはいつも一緒にいるじゃないっすか。
でも、六花さんのぬい……いないなぁって思って。
だから、その……作れたりしないかなって」
「え、わたしのぬい!?」
思わず声を上げると、十四は慌てて付け加えた。
「い、いやっ!変な意味じゃないっすよ!?
ただ、アマンダの隣に六花さんの分もいたら……もっと写真可愛いかなって……っす」
その言葉に、胸がじんわりあたたかくなる。
(ぬいを並べたがる理由が可愛いからって……十四、ほんと優しいなぁ)
「作れたらいいけどねぇ……わたし、そんな器用じゃないよ」
小学生の時に裁縫して以降、まともに裁縫してきてないからなぁ、自信は全くない
そう思いながらも、口元には自然と笑みが浮かぶ。
十四はちょっと間を置いてから、
「じゃあ、俺も手伝うっす!」と勢いよく言い出した。
「え?十四が?」
「はいっ。裁縫とか、ちょっとくらい出来るっすよ!アマンダの服、たまに直してるんで!」
「えっ、それは凄いよ!?それは頼もしすぎる」
電話越しにくすぐったい笑いが混じる。
十四の声はどこか嬉しそうで、六花もつられて頬がゆるむ。
「……完成したら、アマンダと並べて写真撮りましょう?本物の六花さんが隣にいない時でも、ぬいがいてくれたら寂しくないっすから」
その一言に、胸がきゅっとなる。
静かな部屋に、少しだけ間をおいて。
「……もう、十四ってほんとずるいんだから」
「え、え!?何がっすか!?」
「そんなこと言われたら、作りたくなっちゃうでしょ」
「……!なら、約束です。
六花さんのぬい、僕と一緒に作るっす」
「うん!ぬい制作会、決定〜!」
通話の向こうで「アマンダも楽しみって言ってるっす!」と嬉しそうに笑う十四。
その声に、笑いながら頬杖をついた。
たぶん今夜から、裁縫セットを探すことになる。
十四とアマンダの隣に並ぶぬいを作るために。
♡fin♡
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