秋のイベントデート
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朝の空気が少し冷たくて、紅葉の甘い匂いが混じる。
待ち合わせ場所で、独歩はいつもより少し早く来ていた。
「……あ、おはよう、六花さん」
手をあげる仕草がぎこちない。
でも目元は、会えた嬉しさを隠しきれていない。
「独歩さんおはようございます!
えっ…なんか、普段のスーツ姿じゃない独歩さんが新鮮過ぎて、すっごく素敵です!かっこいい!」
「え!?いやいや、全然そのっ、あ、もちろん服はいいものだし...あ、いいものって、別にブランド物をひけらかしたい訳ではなくて!」
会ったそうそう、照れて慌てて、早口で捲し立てる独歩
「えーと、今日は、その……有名な紅葉スポット、行ってみる、か、なって……」
言いながら、耳たぶがすでに赤い。
(人混み苦手なのに。
アクティブな人でもないから、遠出も好きじゃないだろうけど...以前私が紅葉の季節になってきたね、ってぽつりと言っただけなのに、独歩さんなりに今日のデートを考えてくれたのが凄く分かる)
都心から電車で小一時間。
人混みはあるけれど、空気が澄んでいて赤や橙に染まった山の斜面が一望できる、有名な紅葉スポット。
駅から続く参道の脇には屋台が並び、甘い焼き団子の匂いが漂っている。
「独歩さん、ありがとうございます。独歩さんと一緒なら絶対どこでも楽しい」
そう言うと、独歩は目を泳がせながら小さく「……よ、良かった……」と呟く。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈⿻*.·
目的地に着いてみれば、紅葉のトンネルみたいな道。
赤、橙、黄色がふわっと光って、ちょっと幻想的。
六花は、スマホを構えて何枚も写真を撮っては「わぁ、きれい…!」と小さな声で感嘆している。
独歩はほっとしたように肩の力を抜く。
「こ、ここ、すごいな……人は多いけど、君が嬉しそうなら……うん……来てよかった……」
ぎこちないのに、言葉の端々が誠実すぎる。
「独歩さん、紅葉と一緒に撮らせてください!」
カメラを向けると、独歩は一気に固まる。
「えっ、い、いやいやいや、俺なんか写しても……紅葉が台無しに……」
と言いながらも断れなくて、
ぎこちないピースをしてくれる。
撮り終えると、
「……すごい、六花さんって、写真撮るの上手いな……俺までなんか……良く見える……気がする……」
なんて小さく呟いて照れる。
「それは、もちろんモデルがいいですからね!ふふっ、紅葉もこんなに綺麗なのに、可愛い独歩さんも撮れて大満足...です」
彼女は嬉しそうに撮った写真の、データを見ている
そして――
六花が紅葉に顔を向けてる隙に、
独歩はそっとスマホを上げる。
(カシャ)
すぐにポケットにしまい、
なにもなかったように隣を歩くけれど、
耳まで真っ赤。
「独歩さん? どうかしました?」
「な、なにもっ……!」
心臓音が聞こえそうなくらいデカくてやばい
┈┈┈┈┈┈┈┈┈⿻*.·
頂上近くの休憩スポットのベンチに座って、温かい飲み物を二人で飲む。
風が冷たくて、自然と肩が近づく。
六花がぽつり
「連れてきてくれて嬉しいです。独歩さんと見る紅葉、すごく綺麗でした。有名な場所ってのもあって、圧巻でしたね!」
と言うと、
独歩はホットコーヒーの缶をぎゅっと握りしめる。
「そんなふうに言われたら……頑張って良かったよ、紅葉ってさどこでも見上げれば見れるもので、わざわざ遠出して見るって、あんまり理解出来なかったんだけど……君と来れて、一緒に見れて良かったなって…」
声が震えてるのが、もう初々しさ100%。
「私もです…結局誰と一緒に見るかが大切なんだと思います。きっと独歩さんとなら、家の前で見る紅葉だって素敵な思い出になります
あ、もちろん!今日みたいに遠出するのも最高なんです、今日は初めて遠出デート出来た記念日ですね」
(う……!う、嬉しすぎる…‼︎また連れて来たい…)
少しの沈黙のあと、
独歩がぽそっと、勇気を振り絞るみたいに言う。
「……実は…俺も写真撮っててさ…」
こっそり撮った一枚をどうしようか迷ってる顔。
「え、見たい! 独歩さんのも!」
そう言うと、独歩は一瞬で顔を覆う。
「あっ……や、やっぱ今のナシで……!!」
「えー、独歩さんがどんな写真撮ったか気になるなぁ…やっぱり、私ばっかり楽しんじゃったかな…??」
しゅんとした顔を見せる六花に慌てて、
写真のフォルダを見せる
「ごめんなさい……その……あまりにも……綺麗だったから……」
そこには紅葉を見上げてる六花の姿が
「えっ、私??いつの間に…」
(ちょっと待って、今綺麗だったからって言った??)
カーっと赤くなる六花に
「ご、ごめんなさい、盗撮しました…!あまりにも綺麗だったので…つい!」
「だ、大丈夫なので!ありがとうございます…?」
恥ずかしい…!独歩さん、いきなり度直球なのなんなの…、嬉しいな…
「ねぇ独歩さん」
六花がスマホを取り出して、にこっと笑う。
「せっかくだからツーショット撮りませんか?」
「えっ……いやいや、俺は……その……」
独歩は慌てて視線を泳がせる。
「俺なんか写ったらせっかくの紅葉が台無しに……」
「そんなことないよ!」
六花は、ぷいっと膨れて独歩の袖を軽く引っ張る。
「紅葉もきれいだけど、独歩さんと一緒だからもっと特別なんですよ!独歩さんが写ってなきゃ意味ない!」
「…………っ」
独歩の耳がまた真っ赤に染まる。
小さく咳払いをしてから、ぎこちなく六花の隣に体を寄せる。
「じゃ、じゃあ……一枚だけ……」
「はい!」
カシャッ。
画面に映ったのは、少し照れくさそうに笑う独歩と、隣で満面の笑顔を見せる六花。
背景には真っ赤に色づいた紅葉。
「わぁ、いい感じ! 独歩さん、かっこいいよ」
「や、やめてくださいよ……。でも……その……俺も、六花さんの笑顔、好きだよ」
思わず口にしてしまった自分の言葉に、独歩はさらに顔を赤くして俯く。
六花はその様子を見て、胸があたたかくなるのを感じた。
秋の澄んだ空気の中で、カメラに残した一枚より、今この瞬間の心に焼き付いた記憶の方がずっと鮮やかだった。
♡Fin♡
