社畜ヒロインに優しくするヒプマイ達
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深夜。
残業を終えた六花は、駅からの帰り道をふらふらと歩いていた。
資料がぎっしり詰まった鞄が肩に食い込み、目元は霞み、足取りは重い。
「……あとちょっとで家……」
小さく呟いたとき、不意に道の端に停まった黒塗りの高級車の窓がするりと下がった。
「おい、そこの女」
低く鋭い声。
振り返ると、車内から鋭い視線がこちらを射抜いていた。
銀色の髪にピアスが光る。――碧棺左馬刻。
「……さ、左馬刻さん!?」
六花が驚く間もなく、左馬刻は不機嫌そうに舌打ちした。
「ったく、なんだそのツラ。死人みてぇだぞ。……歩けるのか?」
「えっ……あ、はい……」
「嘘つけ。今にも倒れそうじゃねぇか」
そう吐き捨てると、左馬刻は後部座席のドアを乱暴に開けた。
「ほら、乗れ」
「えっ、でも……」
「でもじゃねぇ。いいから黙って乗れっつってんだよ」
睨まれて、一瞬息が詰まる。
けれど、その声の裏にあるのは明らかに心配。
「運転手、こいつん家まで回してやれ」
「承知しました」
六花が戸惑いながらもシートに座ると、左馬刻はすぐ隣にどかっと腰を下ろした。
窓の外がゆっくり動き出す。
「……お前さ、どんだけ働いたらそんなフラフラになるんだよ」
「……ちょっと残業が長くなっちゃって……」
「バカか。倒れてからじゃ遅ぇんだよ」
乱暴な言葉に反して、その横顔は真剣そのもの。
左馬刻はいつもの癖でタバコに火をつけそうになるが六花を見て考えた後にタバコをしぶしぶなおす、左馬刻なりに禁煙者の六花に配慮したのだろう
「チッ……ほんっと、世話焼かせんなよ」
そう呟く声が、意外にも温かく聞こえて――。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈⿻*.·
深夜の静かな住宅街。黒い高級車が停まり、左馬刻に半ば引きずられるようにして六花は降ろされた。
「ここまで送っていただいて…ありがとうございました」
ぺこりと頭を下げ、慌てて自宅の鍵を探す六花。
だが、その腕を左馬刻ががしっと掴む。
「おい。お前、このまま一人で何すんだ」
「え、何って…寝ますよ? 明日も仕事ですし」
「仕事持ち帰ってんじゃねぇだろうな」
六花は口を噤む。ドキッとした……左馬刻さんってなんて鋭い人なの
「ほら、鍵出せ」
「えっ!? い、いや、それはちょっと…!」
「ごちゃごちゃ言ってんじゃねぇよ」
乱暴にバッグから鍵を取り上げ、さっさと玄関を開けてしまう左馬刻。
六花は慌てて後を追うしかなかった。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈⿻*.·
部屋の明かりがつく。
そこは――まさに社畜の巣窟だった。
机には未開封の郵便物が山積み、床にはコンビニ袋と空きペットボトル。棚には空になった栄養ドリンクが転がっている
「……はァ?」
思わず絶句する左馬刻。
「ちょ、ちょっと散らかってるだけです!」
「これがちょっと…かよ。馬鹿かテメェ」
口では怒鳴りながらも、左馬刻は勝手に部屋の窓を開け、溜まった空気を入れ替える。
「とにかく、寝ろ」
「でも明日の準備が…」
「うるせぇ、ベッド入れ」
ぐいっと肩を押され、そのまま布団に倒れ込む六花。
毛布を乱暴に引っ張り出して掛けられる。
壁際に腰を下ろし、煙草も吸わずに腕を組む左馬刻。
「寝るまで見張っててやる。……起きて仕事とか言い出したら殴るからな」
乱暴な言葉。
けれど、瞼が落ちていくにつれ、妙に安心感が広がっていく。「左馬刻さん、ありがとうございます……」
最後の意識の中で、
「……ったく、世話焼かせやがって」
ぼそりと吐き出す左馬刻の声が、どこか優しく響いていた。
♡fin♡
