社畜ヒロインに優しくするヒプマイ達
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駅前の赤ちょうちんが揺れる居酒屋。
夜風に吹かれながら、六花は独歩と並んで歩いていた。
「はぁ……やっと、終わりましたね」
「……ほんとですよ。もう今日中に帰れねぇかと思いました……」
二人のため息はハーモニー。
明日が休みでなければ絶対に直帰してたはず。けど、奇跡的に休みが確定した。
「……観音坂さん、飲みに行きません?明日休みだし」
「……え? あ、あぁ……そうですね……いいかもしれないです」
少し驚いた顔を見せた後、ふっと笑う独歩。その顔に、六花もつられて微笑む。
┈┈┈┈┈⿻*.·
暖簾をくぐると、カウンターも座敷も賑やか。
二人は奥のテーブル席に案内された。
独歩はネクタイを少しゆるめて、もうお疲れ全開。
生ビールを頼んで、2人同時にジョッキを掲げる。
「じゃあ……とりあえず乾杯といきますか」
「「かんぱーい!!」」
「お疲れ様ーーー!!」
ジョッキがカチンと音を立てる。
一口飲んだ瞬間、二人の顔から力が抜けた。
「……っくぅ~~! 生き返る……!」
最初の一口で、喉も心も一気に解放。
独歩は早速、溜め込んでた愚痴をこぼし始める。
「うちのハゲ課長、今日だけで“頑張れ”って20回言ったんですよ!応援してる暇あったら手伝えっての!」
「分かります! うちの部署の課長なんて資料作って渡したらやっぱり明日までに全部直してって……」
「え、それパワハラじゃないですか!?」
「いやもう……何なのか分かんないです……もう限界……」
愚痴のキャッチボールが止まらない2人
そのタイミングで、六花のスマホがブルッと震えた。
「……っ!?」
「……ま、まさか……」
恐る恐る画面をのぞく六花。
件名:【重要】→開いたら迷惑メール。
「……っあぁぁ……迷惑メールでした……」
「な、なんだ……心臓止まるかと思いました……」
「休日が潰れるかと思いましたよ…」
「何度休日出勤になったことか…」
二人で胸を撫でおろす。
けどすぐに独歩のスマホも震え、彼も硬直。
開けば通販のお知らせ。
「……っあぁぁぁ……なんで休日前の夜に試されてんだ俺たち……」
「ほんとに……勘弁して欲しいですよね……」
ジョッキをもう一度カチン。
社畜仲間だからこそ分かり合える、その瞬間。
ビールが進むにつれ、二人の愚痴も止まらなくなっていた。
お通し、焼き鳥、唐揚げ。机に並んでいく料理と一緒に、社畜の心も少しずつ解放されていく。
「……俺、もうほんと、何やっても怒られるんですよ。ミスしなくても遅いって……」
「分かります……! 私もお前がやらないと回らないだろって言われた次の日に、お前のせいで仕事が遅れてるって怒られましたから」
「えぇ……っ!? それ……完全に理不尽じゃないですか……」
「……社畜あるあるですよね……」
二人は同時に唐揚げをかじり、同時にため息をついた。
ちょっと落ち着いたころ
「……いや、ほんと、こんなに共感してもらえる日が来るとは思わなかったです。」
独歩はふっと笑う。
普段会社では見ない、柔らかい顔。
「こっちもですよ。社内の人に愚痴ると角が立つじゃないですか。
こうやって吐き出せると、来週もまた生きていけそうっていうか…」
「いや、ほんと、それです。」
2人して、しみじみとビールをあおる。
さっきまでの愚痴トーンから、徐々に笑い声が増えていく。
ふと、独歩がジョッキを傾けながら六花を見た。
「……でも、こうやって愚痴れるだけで……ちょっと救われますね」
六花も、箸を止めて彼を見る。
「はい……。観音坂さんがいてくれて良かったって、私も思ってます」
しんみりした空気。
独歩は耳まで赤くなって、慌てて枝豆をつまんだ。
「い、いや……あの……俺なんかで……」
「そんなことないですよ!」
思わず声を張り上げた六花。
「観音坂さんと一緒だから、頑張れてるんです。……だから、ほんとにありがとう」
一瞬、目を丸くした独歩。
けど次には、ほんの少し照れた笑みを浮かべた。
その後もスマホが震える度に、二人して固まる。
六花がそっと画面を開くと――またも迷惑メール
「……っ、よ、良かった……!」
独歩も同時に通知を確認。通販のクーポン。
「……俺たち、休日前夜にビクビクしすぎですよね……」
「……ふふっ、でも……これが社畜ですよ」
二人して笑い合い、またジョッキを合わせる。
ラストオーダーが近づき、店を出ると夜風が心地よかった。
「……あー……明日ほんとに休みで良かったですね」
「ですね……。これで“出勤になりました”とか来たら、もう会社ごと燃やしたいです……」
「わかります! 私、一緒にマッチ持って行きますね!」
「……あはは……」
独歩は笑いながらも、少し真剣な顔になる。
「……でも、本当に無理しないでくださいね。……あんまり壊れちゃったら……俺、嫌ですから」
その言葉に、六花の胸がじんと熱くなる。
「観音坂さんもですよ。……あんまり自分を責めないで。……私も嫌ですから」
二人は一瞬、気恥ずかしくなって目を逸らす。
けど、どちらも少しだけ口元が緩んでいた。
夜の街を並んで歩く。
社畜仲間として、支え合う同志として。
もしかしたら、その先に――もっと近い距離が待っているかもしれない。
♡Fin♡
