社畜ヒロインに優しくするヒプマイ達
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家に帰った瞬間、六花はソファに倒れ込んだ。
靴も脱ぎっぱなし、バッグも床に転がったまま。今日は本当にもう、限界だった。
ピンポーン。
「……誰?」
ドアを開けると、三郎が立っていた。制服姿で、手にはコンビニの袋。
「お、お疲れ……って、姉ちゃん!? その顔ヤバいぞ」
「……お疲れ様、三郎くん」
かろうじて笑おうとするけど、目は死んでる。
「笑うな、余計怖い」
ズカズカと部屋に入り、三郎は六花のバッグを拾い上げ、テーブルに置いた。
「姉ちゃん、顔色悪過ぎ。あとこれ飲め」
差し出されたのは冷たいスポーツドリンク。
「ありがと……」
ごくごくと飲むと、ほんの少し体が楽になった。
「はぁ……もう、上司にめちゃくちゃ言われたし、会議は押すし、書類は山だし……」
つい愚痴がこぼれる。
三郎は腕を組んで、じっと聞いていた。
「……で、結局姉ちゃんは何も悪くないのに謝ったんだろ?」
「……そうだけど」
「ほらな!それダメだって言ってんじゃん、前から!」
ピシッと指をさす三郎。
「理不尽なことに謝りすぎ! 姉ちゃんはもっと偉そうでいいんだよ」
「偉そうって……仕事だもん……」
「それでもダメなもんはダメ。姉ちゃん優しすぎなんだよ」
「……三郎くん、なんか今日は厳しいね?」
「厳しくしてるんじゃなくて、守ってんの」
少し照れたようにそっぽを向く三郎。
その一言に、胸がじんわり温かくなる。
(……守ってる、か)
「……ありがとう、なんか三郎くんの方が頼りになるし、私より大人だね?」
「うるさい、姉ちゃん放っといたら倒れそうだし」
ふっと笑ってしまう。久々の、心からの笑顔だった。
三郎は当たり前のようにキッチンへ向かう。
「姉ちゃん、座っとけ。どうせ何も食ってないんだろ」
「……バレてる……」
ソファに座らされ、動こうとすると鋭い目つきで止められる。
三郎は冷蔵庫を勝手に開け、簡単に作れる具材を確認し、
冷凍うどんと卵、ネギを取り出して手際よく鍋にかける。
「ほら、着替えてこいよ。スーツのままじゃ落ち着かねぇだろ」
「……ありがと……」
素直に言われた通りに着替え、戻ると湯気の立つうどんがテーブルに置かれていた。
「ほら、食え」
「三郎くんが作ってくれたの?」
「当たり前だろ。そんな顔して帰ってきたやつに説教してもしゃーねーし」
「……優しいね」
「優しいんじゃなくて、ムカつくんだよ。姉ちゃんがボロボロなの」
「……っ」
ちょっと顔を赤くして言い切る三郎が、年下なのに大人びて見えて胸がぎゅっとなる。
温かいうどんをすすりながら、ぽつりと弱音が出た。
「……今日はさ、上司に怒られて、取引先にも怒られて……
頑張ったのに、なんか全部空回りで……」
「……」
三郎は黙って聞いてくれて、箸を置いてこちらを見る。
「……姉ちゃん、頑張りすぎ」
「え……」
「お前さ、俺らが何回言っても無理するじゃん。
……だから、せめて俺の前では、ちょっとは泣けよ」
「……!」
言葉に詰まってしまう。
そして気づけば、涙が勝手にこぼれていた。
三郎は何も言わずにティッシュを差し出し、
泣き止むまで横でじっと待っていてくれる。
「落ち着いたか?」
「……うん」
「じゃ、これ食べて寝ろ。明日も会社あんだろ?」
「うん……ありがと、三郎くん」
「……別に礼とかいらねーし」
と、そっぽを向きながらも耳まで真っ赤。
帰り際、ドアを開ける前にちらっと振り返って言った。
「……また泣きそうになったら、連絡しろよ。
泣き顔見せるの、俺だけでいいから」
その一言が、仕事の疲れよりも心に響いて、
胸の奥がじんわり温かくなるのだった。
♡Fin♡
