違法マイクシリーズ
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ある夜、あなたは夢の中で彼に出会った。
『……六花姉?』
見覚えのある制服。
冷めた目でこちらを見る彼の名前を、思わず呼んでしまう。
『三郎……!』
一瞬、彼の瞳が揺れる。
でもすぐに、眉をひそめて言った。
『なんで、……お前、ここにいるんだよ』
現実では、もう会えなくなったはずだった。
ある事故の影響で、あなたは長く昏睡状態に陥っていた。
そして、意識を取り戻したときには、身体は目を覚ましているのに、心だけが夢に取り残されていた。
唯一の希望は、違法マイクが起こした副作用。
それにより、あなたは毎晩、夢の中でだけ、三郎に会うことができるようになった。
けれど。
『……なに笑ってんだよ、気持ち悪ぃな』
彼は初日からずっと、そんなふうに冷たかった。
でも
夢の中でだけでも、あなたは嬉しかった。
そして、三郎もどこかで同じ気持ちでいてくれるって、信じたかった。
何日も、何夜も、ふたりは夢の中で再会を重ねた。
最初は無言で並んで歩くだけだったけど、
ある日、三郎がぽつりと呟いた。
『お前さ……』
『ほんとに、夢の中だけに出てくるの、やめてくんない?』
驚いて見上げると、彼は俯いたまま、ぎゅっと拳を握っていた。
『……現実で会えねぇの、マジで腹立つ』
『こんなごっこ遊びみてぇな時間、要らねぇから……』
『…三郎…。そんな顔させてごめんね…』
次の夜も、あなたは夢に現れた。
三郎も、そこにいた。
『……バカかよ』
そう言いながらも、どこか安堵してるような瞳で、あなたを見ていた。
そしてその晩。
彼はあなたの隣に座りながら、小さくこう呟いた。
『……なんかさ』
『夢ん中じゃ、お前がちゃんと笑ってるから、……俺、素直になれるんだよな』
『こんな俺、現実じゃ絶対見せねぇから』
その言葉に、あなたはぎゅっと胸が締めつけられた。
でも、同時に涙が溢れた。
『三郎……私、会いたいよ
現実でも、ちゃんと、あなたに……』
そう言いかけたとき。
彼が、そっとあなたの頬に手を添えた。
『……俺も、同じ気持ち
だけど』
夢の中の景色が、ふわっと揺れた。
あなたは、急速に意識を引き戻されていく感覚に襲われる。
『ちょっと、待って!三郎、まだ』
『……また、絶対来いよ。六花姉』
あなたの意識は、そこで途切れた。
またその次の日
『──おい。聞こえるか?』
夜の夢の中、いつもの場所で三郎はあなたに問いかけた。
『六花姉、ほんとに、ここにしか来ねぇんだな』
彼は夢の中で、何度も同じことを考えていた。
あなたと話す。
笑う。
ふざけ合う。
そして、時々ちょっとだけ甘える。
けど目覚めると、現実には何も残っていない。
まるで全部、幻だったみたいに。
『……これ、やっぱ俺、もう無理だわ』
『三郎…??』
翌日。
三郎はある場所へと向かっていた。
それは、違法マイクが保管されている、とある研究施設。
『なぁ、あのマイク……使ってもいいよな』
『俺がやる。俺が……六花姉を、現実に連れ戻すから』
──その夜。
あなたは夢の中で、三郎が来るのを待っていた。
でも、いつまでたっても彼は現れない。
(おかしいな……三郎、来ないなんて今まで一度もなかったのに)
不安が募るなか、夢の世界にひびが走った。
ざぁっと風が吹いて、景色が白く霞んでいく。
『え……? なに、これ?』
次の瞬間、あなたは現実の身体で目を覚ました。
「……っ!!」
眩しい光、聞き慣れた電子音。
現実だ。
夢じゃない。確かに、ここは──
「やっ……と、起きたか」
その声に顔を向けると、そこには三郎の姿があった。
でも、私が知ってる三郎よりも大人っぽくなった三郎
自分がどれだけ目覚めなかったのか実感してしまう
マイクを片手に、少しだけ泣きそうな顔で、立っていた。
「、三郎……!」
あなたが泣きながら抱きつくと、三郎は戸惑ったあとで、そっと背中に手を回す。
「…上手く行ったみたいだな…良かった…
ちゃんと、こっちに戻ってこいよ」
「夢の中だけじゃ、足りないだろ
俺は、現実でも……お前とずっと一緒にいたい」
2人の距離が、もう夢なんかじゃなくなる。
ちゃんと手を伸ばせば、触れられる。
声をかければ、応えてくれる。
それが、どれだけ尊いことか。
あなたは、ぎゅっと三郎の手を握りしめた。
「……夢の中の三郎も、すっごく優しかったよ
でも、やっぱり……現実の三郎が一番、好き」
「そっ、そんな事当たり前なんだけど…」
けれど、そんな言葉とは裏腹に、
三郎の指は、あなたの手を、ぎゅっと握り返していた。
♡Fin♡
2/2ページ
