雲雀とホラー
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真夜中に近い時間に早歩きで歩く。仕事が遅くなってしまい、こんな夜道を歩く羽目になってしまった。明日、休みで良かった。ちなみに今日はハロウィンらしい。仕事だった私には関係ない話だが、せめて、ハロウィンのスイーツを買っとけば良かったのかなとぼんやりと思った。不意に背後からコツコツと靴音が聞こえる。そして、誰かに抱き寄せられた。
「ひっ……!」
「僕だよ」
聞き慣れた低い声。後ろを振り向くとスーツ姿の雲雀さんだった。心臓が止まるかと思った。
「驚かせないでくださいよ」
「ただいま」
「あ、おかえりなさい」
雲雀さんから、甘ったるい匂いがした。熟した果実のような。
「帰ろう」
「雲雀さん?」
「ん?」
「甘い匂いが……」
突然、ポケットに入っていたスマホから着信音が鳴り響く。ポケットから慌ててスマホを取り出すとあぜんとする。着信には『雲雀』と表示されていた。
「え?」
誰に抱きしめられてるの? パニックである。訳も分からず、すぐに電話を取った。
『名前、どこにいるの?』
雲雀さんの声。そう。聞き慣れた低い声。
「ひ、雲雀さん?!」
訳がわからない!自分の後ろにいるのは誰?
『うるさい。どこにいるの?』
「私の後ろに雲雀さんがいます!」
『は?』
再度、恐る恐る後ろに振り返って、彼を突き放すと彼にスマホを取られ、電話を切られた。
「残念。また、来年、迎えに来るから」
ふっと、目の前から闇に溶け込むように彼が消えた瞬間、スマホが落ちた。放心状態でぺたんとその場に座り込む。電話がかかってこなきゃ、連れて行かれるところだった。ガタガタと恐怖で体が震えた。
この後に来た雲雀さんを本物かどうか確かめる為に襲うようにまさぐったら、理不尽にも拳骨を食らった。
今から来年のハロウィンが怖い。だって、迎えに来るって。