短編(雲雀恭弥)
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※ネームレス
どうにかこじつけた就職先。パートだが、風紀財団系列の会社になんとか就職出来た。清掃なので年配の女性が多い。慣れない中、なんやかんやで何カ月たった頃のことだった。営業部にかわいらしい女性が入ったといううわさを耳にした。おばちゃんからの情報である。まあ、関わることもないだろう。
女性トイレの清掃が終わり、男性トイレの清掃に取り掛かろうと男性トイレの前に清掃中の看板を置いた。話し声がする。電話しているのだろうか。おばちゃんいわく、出入りが激しいので気にせずに入ってしまえとよく言われる。女性が男性トイレに入っても問題ないらしいが、若いうちは嫌だ。ちゅうちょしている内に誰かが出てくる。若い男性だった。中に入らなくて良かった。黒髪で黒いスーツに紫シャツ。顔は綺麗であった。イケメンである。
「ご苦労さま」
私を見るなり、ねぎらいの言葉を言ってくれた。大概は無視されることが多いのだが、たまたまだろうけど、なんとなく嬉しかった。
次の日、毎回、使うエレベーターが点検らしく、別のエレベーターを使うことになった。台車を押しながら、エレベーターに向かうと昨日、トイレで会った男性とかわいらしい女性がエレベーターを待っている。これ、あとから乗るべきなのか悩んでいると上からエレベーターが来た。
「乗りなよ」
ちゅうちょしていると彼が促してきた。慌てて、台車を乗せ、自分もエレベーターに乗った。台車を乗せても余裕がある。こちらのエレベーターは広いようだ。
「何階?」
「十五階でお願いします」
彼が十五階のボタンを押してくれた。既に十七階のボタンが光っている。二人の行き先だろう。かわいらしい女性は彼の真後ろに立っている。急にかわいらしい女性が彼のスーツの裾を掴む。
「何?」
「もう、来てくれないの?」
「行かないって言ったでしょ」
私の頭の中ははてなマークでいっぱいであった。何の話ですか。
「どうしてですか」
「もう、僕に関わらないで」
彼女は明らかに悲痛の顔をする。フラれたとか?恋愛とか疎い私には分からなかった。エレベーターが十五階に着いたようだ。
「降ります」
気まずい空気の中、エレベーターから台車とともに降りた。
別の日のことである。自販機の前でうーんとうなっていた。そう、何をしようか迷っていた。
「まだなの?」
後ろを振り返ると例の彼がいた。
「すみません! お先にどうぞ」
彼に譲ると何をしようかとまた考える。自販機からガコンと落ちてくる音がする。
「あげる。一生、決まらなそうみたいだったから」
「あ、ありがとうございます」
彼から渡されたカフェラテ。私はほそく笑んだ。
「座らないの?」
あれから、数日、たったある日のこと。いつものベンチで昼食を食べようと思ったら、先約がいた。
「あ、はい」
私は彼の隣に座って、コンビニから買ったパンをもくもくと食べる。彼は缶コーヒーを飲んでいる。
「ねぇ」
「はい!」
驚いて、勢いよく返事をしてしまう。彼にクスクスと笑らわれる。なんだか恥ずかしい。
「君っていい匂いするよね」
「え?」
とっさに自分の袖を嗅ぐ。漂白剤の臭いがした。清掃の時に付いたのかもしれない。私は首をかしげる。
「大概の女性は香水や化粧の臭いがひどいから」
私はまったく化粧や香水はしてない。そうすると柔軟剤の香りか、シャンプーの香りなのだろうか。
「なんだろ? 柔軟剤やシャンプーの香りじゃないみたいだし。君、自身からする」
「ええ?! 普通は臭いはずですよ! あ、もしらかしたら、私と遺伝子が遠い?」
「ああ、遺伝子が近いと体臭が臭いとかいう話ね」
「それです! 良いが匂いするなら、相性が抜群って……あれ?」
「ふーん、なら、君とは相性が良いかも。またね」
私にとんでもない発言した彼はベンチから立つと去ってしまった。私は例のかわいらしい女性がこちらを見ているのに気が付かなかった。
「……クビですか?」
さらに一週間たった頃、急に人事部に呼ばれた。呼ばれた理由はクビでした。
続くかもしれない
どうにかこじつけた就職先。パートだが、風紀財団系列の会社になんとか就職出来た。清掃なので年配の女性が多い。慣れない中、なんやかんやで何カ月たった頃のことだった。営業部にかわいらしい女性が入ったといううわさを耳にした。おばちゃんからの情報である。まあ、関わることもないだろう。
女性トイレの清掃が終わり、男性トイレの清掃に取り掛かろうと男性トイレの前に清掃中の看板を置いた。話し声がする。電話しているのだろうか。おばちゃんいわく、出入りが激しいので気にせずに入ってしまえとよく言われる。女性が男性トイレに入っても問題ないらしいが、若いうちは嫌だ。ちゅうちょしている内に誰かが出てくる。若い男性だった。中に入らなくて良かった。黒髪で黒いスーツに紫シャツ。顔は綺麗であった。イケメンである。
「ご苦労さま」
私を見るなり、ねぎらいの言葉を言ってくれた。大概は無視されることが多いのだが、たまたまだろうけど、なんとなく嬉しかった。
次の日、毎回、使うエレベーターが点検らしく、別のエレベーターを使うことになった。台車を押しながら、エレベーターに向かうと昨日、トイレで会った男性とかわいらしい女性がエレベーターを待っている。これ、あとから乗るべきなのか悩んでいると上からエレベーターが来た。
「乗りなよ」
ちゅうちょしていると彼が促してきた。慌てて、台車を乗せ、自分もエレベーターに乗った。台車を乗せても余裕がある。こちらのエレベーターは広いようだ。
「何階?」
「十五階でお願いします」
彼が十五階のボタンを押してくれた。既に十七階のボタンが光っている。二人の行き先だろう。かわいらしい女性は彼の真後ろに立っている。急にかわいらしい女性が彼のスーツの裾を掴む。
「何?」
「もう、来てくれないの?」
「行かないって言ったでしょ」
私の頭の中ははてなマークでいっぱいであった。何の話ですか。
「どうしてですか」
「もう、僕に関わらないで」
彼女は明らかに悲痛の顔をする。フラれたとか?恋愛とか疎い私には分からなかった。エレベーターが十五階に着いたようだ。
「降ります」
気まずい空気の中、エレベーターから台車とともに降りた。
別の日のことである。自販機の前でうーんとうなっていた。そう、何をしようか迷っていた。
「まだなの?」
後ろを振り返ると例の彼がいた。
「すみません! お先にどうぞ」
彼に譲ると何をしようかとまた考える。自販機からガコンと落ちてくる音がする。
「あげる。一生、決まらなそうみたいだったから」
「あ、ありがとうございます」
彼から渡されたカフェラテ。私はほそく笑んだ。
「座らないの?」
あれから、数日、たったある日のこと。いつものベンチで昼食を食べようと思ったら、先約がいた。
「あ、はい」
私は彼の隣に座って、コンビニから買ったパンをもくもくと食べる。彼は缶コーヒーを飲んでいる。
「ねぇ」
「はい!」
驚いて、勢いよく返事をしてしまう。彼にクスクスと笑らわれる。なんだか恥ずかしい。
「君っていい匂いするよね」
「え?」
とっさに自分の袖を嗅ぐ。漂白剤の臭いがした。清掃の時に付いたのかもしれない。私は首をかしげる。
「大概の女性は香水や化粧の臭いがひどいから」
私はまったく化粧や香水はしてない。そうすると柔軟剤の香りか、シャンプーの香りなのだろうか。
「なんだろ? 柔軟剤やシャンプーの香りじゃないみたいだし。君、自身からする」
「ええ?! 普通は臭いはずですよ! あ、もしらかしたら、私と遺伝子が遠い?」
「ああ、遺伝子が近いと体臭が臭いとかいう話ね」
「それです! 良いが匂いするなら、相性が抜群って……あれ?」
「ふーん、なら、君とは相性が良いかも。またね」
私にとんでもない発言した彼はベンチから立つと去ってしまった。私は例のかわいらしい女性がこちらを見ているのに気が付かなかった。
「……クビですか?」
さらに一週間たった頃、急に人事部に呼ばれた。呼ばれた理由はクビでした。
続くかもしれない