雲雀とホラー
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去年の卒業アルバムに心霊写真が載っている。
今や、学校中その話題で持ち切りだ。確かめたい。歴代の卒業アルバムが置いてある図書室はそれが原因で殺到しているので、見られる気がしない。確か、応接室に歴代の卒業アルバムがあるかもしれない。雲雀さんに聞いてみよう。
放課後、私はかばんを持って、すぐに応接室に向かった。
「雲雀さん、去年の卒業アルバムってありますか?」
「そこにあるけど」
日報を書いている雲雀さんが棚を顎で示す。
「ありがとうございます」
私は棚の引き戸を開け、去年の卒業アルバムを探す。それはすぐに見つかった。去年の卒業アルバムを引っ張り出し、ソファに座って、ページを捲る。
「去年の卒業アルバムになんかあるの?」
「心霊写真が載っているです」
「君、怖がりな癖に……」
雲雀さんは馬鹿なのかと言いたげな顔をした。
「うっ」
図星である。本当の事なので何も言い返せない。
「まあ、好きにしなよ」
「わ、わかんない!」
卒業アルバムとにらめっこしても、全く心霊写真が見当たらない。前もって、心霊マニアのクラスメートにどのページに載っているか聞いてきたのにこの様である。
「貸して」
雲雀さんが私の隣に座る。そして、卒業アルバムを奪い取られた。
「ああ、これじゃない?」
雲雀さんが示したのは、海の写真である。数人の生徒たちが写っている。写真を凝視しても、ちっとも分からなかった。
「え、どこに?」
「これだよ」
雲雀さんが指さした先、生徒たちの合間に微かに長い髪の女性が写っていた。非常に分かりにくい。
「あ、人ではないですよね」
「うん、ここには立てない」
生徒たちの後ろはすぐ崖である。人が立てる場所でもない。少しだけ、ゾッとした。窓から夕日の光が射し込む。急に怖くなってしまって、反射的に雲雀さんのワイシャツの裾を掴んでしまう。
「ほら、怖がる」
「だって、好奇心が先だって」
「好奇心は身を滅ぼすから、君は止めときな」
「――そうします。あの、雲雀さん、一緒に帰ってくれませんか?」
「仕方がないな」
雲雀さんは卒業アルバムを机に放り投げ、立ち上がる。
「名前、親に連絡しな」
「え?」
「どうせ、一人じゃ寝られなくなるだろう?」
このあと、当然のごとく、雲雀さんの家にお泊まりすることになる。