短編(雲雀恭弥)
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※ネームレス
ボールにホイップクリーム二百グラムを注ぎ、グラニュー糖七十グラムを入れ、七分間、泡立て器で立てる。これが地味につらい作業である。
「何を作ってんだい?」
台所に立っている私の横に恭弥さんが来て、そう聞いてきた。
「ティラミスを作るんです」
「…作れたんだ」
「失礼な。まあ、簡単なやつですけど」
料理とお菓子作りが苦手なのは事実だ。ぐすん。
「やる」
「やってくれるんですか?」
「うん」
珍しいこともあるんだなと思いながら、ボールと泡立て器を恭弥さんに渡した。
「七分間、混ぜてくださいね」
恭弥さんにホイップクリームを立てるのを任せて、私はその間、耐熱ボールにクリームチーズ二百グラムを入れ、ラップし、電子レンジで六百ワットで三十秒チンをする。そして、ゴムベラでかき混ぜる。
「できたよ」
「ありがとう。それにクリームチーズを入れます」
ホイップクリームの中に数回にわけてクリームチーズを入れながら、かき混ぜる。
「アイスコーヒー?」
冷蔵庫からアイスコーヒーを取り出す。
「本来はインスタントコーヒーを使うけど、面倒ので」
耐熱容器にアイスコーヒーを適当に入れ、電子レンジで温める。次に大きめのタッパーを用意した。
「タッパーなんだ」
「タッパーです」
「君って変なところで雑だよね」
「食えればいいんです」
温めたコーヒーにビスケットを浸ける。ここで注意点。浸けすぎは良くない。確実にふやける。タッパーにコーヒーに浸けたビスケットを下段に五枚くらい敷き、ビスケットの上に混ぜ合わせたクリームを乗せ、ゴムベラで伸ばす。そして、また、コーヒーに浸けたビスケットを五枚くらい乗せる。
「ほら、口開けて」
恭弥さんが余ったビスケットを私の口元まで運ぶ。素直に口を開けて、ビスケットを頬張る。
「美味しいです」
また、混ぜ合わせたクリームを乗せ、ゴムベラで伸ばす。ラップして、二、三時間冷蔵庫に冷やす。
「待ちです。あとはココアパウダーを振って完成です」
「本当に簡単だね」
そろそろ、冷えたころだろうと台所に行く。冷蔵庫から例のタッパーを出す。茶越しを使って、ココアパウダーを振る。ココアパウダーはお好みでどうぞだ。
「いただきます」
タッパーを持って、ティラミスをスプーンで掬って食べる。美味しい。
「タッパーのまま、食うな」
「げほっげほっ」
驚いて、ココアパウダーが変なところに入った。振り返ると恭弥さんが立っている。
「食べます?」
「うん」
「はい、あーん」
ティラミスをスプーンで掬い、恭弥さんに食べさせる。
「甘い。知っているかい?」
ティラミスを頬張りながら、「何が?」って聞く。
「ティラミスの語源」
わからないと首をかしげた。
「直訳すると私を上に引っ張って。日本語訳すると私を元気づけて」
ケーキは女性から男性に作ってあげることがだいたい一般的。女性から男性に対して「私を元気づけて」ということか。
「夜のお菓子って呼ばれている。イタリアでは強壮剤として食べられてた。つまり、君は僕を誘っている訳」
「へ?」
間抜けな声が出た。意味がわかった途端、恥ずかしくなって、しゃがみこんだ。知らなかった。そう意味を持ち合わせてるなんて。
「今日は寝かせないから」
恭弥さんを見上げると意地悪そうな笑みを浮かべていた。
ボールにホイップクリーム二百グラムを注ぎ、グラニュー糖七十グラムを入れ、七分間、泡立て器で立てる。これが地味につらい作業である。
「何を作ってんだい?」
台所に立っている私の横に恭弥さんが来て、そう聞いてきた。
「ティラミスを作るんです」
「…作れたんだ」
「失礼な。まあ、簡単なやつですけど」
料理とお菓子作りが苦手なのは事実だ。ぐすん。
「やる」
「やってくれるんですか?」
「うん」
珍しいこともあるんだなと思いながら、ボールと泡立て器を恭弥さんに渡した。
「七分間、混ぜてくださいね」
恭弥さんにホイップクリームを立てるのを任せて、私はその間、耐熱ボールにクリームチーズ二百グラムを入れ、ラップし、電子レンジで六百ワットで三十秒チンをする。そして、ゴムベラでかき混ぜる。
「できたよ」
「ありがとう。それにクリームチーズを入れます」
ホイップクリームの中に数回にわけてクリームチーズを入れながら、かき混ぜる。
「アイスコーヒー?」
冷蔵庫からアイスコーヒーを取り出す。
「本来はインスタントコーヒーを使うけど、面倒ので」
耐熱容器にアイスコーヒーを適当に入れ、電子レンジで温める。次に大きめのタッパーを用意した。
「タッパーなんだ」
「タッパーです」
「君って変なところで雑だよね」
「食えればいいんです」
温めたコーヒーにビスケットを浸ける。ここで注意点。浸けすぎは良くない。確実にふやける。タッパーにコーヒーに浸けたビスケットを下段に五枚くらい敷き、ビスケットの上に混ぜ合わせたクリームを乗せ、ゴムベラで伸ばす。そして、また、コーヒーに浸けたビスケットを五枚くらい乗せる。
「ほら、口開けて」
恭弥さんが余ったビスケットを私の口元まで運ぶ。素直に口を開けて、ビスケットを頬張る。
「美味しいです」
また、混ぜ合わせたクリームを乗せ、ゴムベラで伸ばす。ラップして、二、三時間冷蔵庫に冷やす。
「待ちです。あとはココアパウダーを振って完成です」
「本当に簡単だね」
そろそろ、冷えたころだろうと台所に行く。冷蔵庫から例のタッパーを出す。茶越しを使って、ココアパウダーを振る。ココアパウダーはお好みでどうぞだ。
「いただきます」
タッパーを持って、ティラミスをスプーンで掬って食べる。美味しい。
「タッパーのまま、食うな」
「げほっげほっ」
驚いて、ココアパウダーが変なところに入った。振り返ると恭弥さんが立っている。
「食べます?」
「うん」
「はい、あーん」
ティラミスをスプーンで掬い、恭弥さんに食べさせる。
「甘い。知っているかい?」
ティラミスを頬張りながら、「何が?」って聞く。
「ティラミスの語源」
わからないと首をかしげた。
「直訳すると私を上に引っ張って。日本語訳すると私を元気づけて」
ケーキは女性から男性に作ってあげることがだいたい一般的。女性から男性に対して「私を元気づけて」ということか。
「夜のお菓子って呼ばれている。イタリアでは強壮剤として食べられてた。つまり、君は僕を誘っている訳」
「へ?」
間抜けな声が出た。意味がわかった途端、恥ずかしくなって、しゃがみこんだ。知らなかった。そう意味を持ち合わせてるなんて。
「今日は寝かせないから」
恭弥さんを見上げると意地悪そうな笑みを浮かべていた。
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