雲雀とホラー
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土砂降りの中、車で山道を走ること、約三時間。もうすぐ深夜の時間帯になる頃だった。
「さすがに近くに泊まる場所がないですよね」
スマホを見ても、電波が届いてないようで圏外になっている。調べられない。地図もってくれば良かった。
「小動物め」
運転している雲雀さんが嫌みたらしく呟く。
「名前ちゃんとお泊まりしてきてね!ついでに調べてほしいことがあって……」と沢田くんが言っていたらしく、調べてほしいことの詳細は聞かされてないが、雲雀さんに連れられ、現在にいたる。
暗闇の中、ライトアップされた看板を見つけた。
「あれ、ホテルですかね?」
二〇〇メートル先と看板に書いてある。
「ラブホみたいだけど」
「え? ビジネスホテルじゃないですか?」
「……山奥にないと思うけど、ビジネスホテル」
「そうなんですか?」
そういえば、田舎のラブホテルって山の方にあるよね。
「行ってみるかい?」
「え? は?」
到着した頃には雨も止んでいた。ある程度広い駐車場に車を止める。車からホテルの建物を見た瞬間、ぎょっとした。ドキマギしていた私はちょっと泣いた。雰囲気をぶち壊しである。
「廃虚だね」
廃虚ホテルだった。暗闇の中、聳え立つ建物。窓ガラスは割れていて、外装も剥がれたりして劣化している。明らかに営業してない。しかし、駐車場に私たち以外の新しいめの軽自動車が止まっていた。肝試しに来たのか、はたまた、某動画の為に撮影しに来ているのだろうか。
「あの、心霊スポットじゃないですか?」
廃虚になったホテルが心霊スポットになる話なんて山ほどある。この前、友人と見た某動画で廃虚ラブホテルに行ってみたの心霊スポット動画を見たばかりだ。めっちゃ、あれは怖かった。
「さあ?」
雲雀さんは興味なさそうに答える。
「絶対、心霊スポットに行くなって言われているんですけど!」
友人によく忠告されていた。あるあるだが、連れて帰ってしまったり、行方不明とかになる話になりかねない。
「引き返しましょう」
と雲雀さんに伝え、フロントガラス越しだが、三階の二番目の部屋の窓に女性が見えた気がした。
「…………っ!」
声にならない悲鳴を上げ、とっさに雲雀さんの左腕を掴む。
「ひ、雲雀さん、早くここから離れましょう」
まったく霊感はないがさすがにやばい気がした。だって、見てしまった。雲雀さんはなぜかホテルの玄関入り口を見ている。
「雲雀さん?」
玄関からぞろぞろと四人くらいの男性達が出てきた。カメラとかの機材とか持っているのでやっぱり、心霊スポット動画を撮りに来たのだろう。
何故か、私たちの車に近いて来た。助手席側の窓をコンコンとたたかれ、ウィンドウを下げた。
「こんばんは。君たちも撮影しに?」
「いいえ、迷ってしまって。ここは心霊スポットですか?」
「そうなんですよ。動画をあげる為に来たんですが、何もなかったですよ」
何もなくはないと思うよ、ここと思ったが、あえて言わなかった。
「来るよ」
今まで黙っていた雲雀さんが呟いた瞬間、ドンと車に衝撃が走った。私は小さな悲鳴を上げた。前を見るとボンネットの上に人が転がっている。
「うわああああ――っ!!」
話かけてきた男性が叫ぶ。男性は慌てて自分達の車に向かって走って行ってしまった。
「ひ、ひ、雲雀さん!」
雲雀さんの左腕にしがみ付いた。よく見ると南国果実を模した髪形の男性だった。
「六道さん、何してんですかね?」
雲雀さんは私の頭を撫でると運転席から降り、無言で六道さんを蹴った。
「ちょ、やめ、雲雀恭弥、やめて下さい!」
「何してんの?」
まさか、このシーンを某動画にモザイクありだが、あがるとは思わなかったのである。しかも、ある程度人気なチャンネルだった。
なんだかんだで後部座席に座った六道さん。
「え? 沢田くんから言われたですか?」
「ええ、ここに来るようにと」
「何で?」
「何も聞かされてないですよ。ある限定のチョコレートをくれるらしいので依頼を受けることにしたんです」
「騙されているんじゃないの?」
雲雀さんがミラー越しに残念な人を見るような顔で六道さんを見た。
「で、先程はなんだったんですか?」
「脅かそうと思ってやりました」
何してんだ、この人。
「とりあえず、ここから離れましょう!」
さすがに怖い。雲雀さん達がいるとはいえ、うん。
「そういえば、先程の撮影者、いなくなりましたね」
いつの間にか、駐車場から軽自動車がいなくなっている。
「四人いましたよね」
確か、ホテルの玄関から出てきたのは四人だったはずだ。
「三人だったよ、人間は」
「え?」
「ああ、ついてましたね」
「怖い!」
聞かなかったことにしよう。雲雀さんが車のエンジンをかけようとしたが、かからない。
「かかりませんね」
「ホラーあるあるじゃないですか!」
涙が出てくる。もう、やだ。雲雀さんはさらにもう一度、エンジンをかける。次はかかった。駐車場から出て山道を走る。なぜか、後ろが気にかかり、振り向こうとしたら、雲雀さんと六道さんに止められた。
「振り向くな」
「ええ、後ろを見ない方が身のためですよ」
「え?」
おとなしく、前を見る。絶対、何かいるのだろう。もう、やだ。
後日、聞いた話だが、車の後ろのフロントガラスに女性が張り付いていたらしく、コンビニに寄った時に六道さんが無理やり剥がしたらしい。
「さすがに近くに泊まる場所がないですよね」
スマホを見ても、電波が届いてないようで圏外になっている。調べられない。地図もってくれば良かった。
「小動物め」
運転している雲雀さんが嫌みたらしく呟く。
「名前ちゃんとお泊まりしてきてね!ついでに調べてほしいことがあって……」と沢田くんが言っていたらしく、調べてほしいことの詳細は聞かされてないが、雲雀さんに連れられ、現在にいたる。
暗闇の中、ライトアップされた看板を見つけた。
「あれ、ホテルですかね?」
二〇〇メートル先と看板に書いてある。
「ラブホみたいだけど」
「え? ビジネスホテルじゃないですか?」
「……山奥にないと思うけど、ビジネスホテル」
「そうなんですか?」
そういえば、田舎のラブホテルって山の方にあるよね。
「行ってみるかい?」
「え? は?」
到着した頃には雨も止んでいた。ある程度広い駐車場に車を止める。車からホテルの建物を見た瞬間、ぎょっとした。ドキマギしていた私はちょっと泣いた。雰囲気をぶち壊しである。
「廃虚だね」
廃虚ホテルだった。暗闇の中、聳え立つ建物。窓ガラスは割れていて、外装も剥がれたりして劣化している。明らかに営業してない。しかし、駐車場に私たち以外の新しいめの軽自動車が止まっていた。肝試しに来たのか、はたまた、某動画の為に撮影しに来ているのだろうか。
「あの、心霊スポットじゃないですか?」
廃虚になったホテルが心霊スポットになる話なんて山ほどある。この前、友人と見た某動画で廃虚ラブホテルに行ってみたの心霊スポット動画を見たばかりだ。めっちゃ、あれは怖かった。
「さあ?」
雲雀さんは興味なさそうに答える。
「絶対、心霊スポットに行くなって言われているんですけど!」
友人によく忠告されていた。あるあるだが、連れて帰ってしまったり、行方不明とかになる話になりかねない。
「引き返しましょう」
と雲雀さんに伝え、フロントガラス越しだが、三階の二番目の部屋の窓に女性が見えた気がした。
「…………っ!」
声にならない悲鳴を上げ、とっさに雲雀さんの左腕を掴む。
「ひ、雲雀さん、早くここから離れましょう」
まったく霊感はないがさすがにやばい気がした。だって、見てしまった。雲雀さんはなぜかホテルの玄関入り口を見ている。
「雲雀さん?」
玄関からぞろぞろと四人くらいの男性達が出てきた。カメラとかの機材とか持っているのでやっぱり、心霊スポット動画を撮りに来たのだろう。
何故か、私たちの車に近いて来た。助手席側の窓をコンコンとたたかれ、ウィンドウを下げた。
「こんばんは。君たちも撮影しに?」
「いいえ、迷ってしまって。ここは心霊スポットですか?」
「そうなんですよ。動画をあげる為に来たんですが、何もなかったですよ」
何もなくはないと思うよ、ここと思ったが、あえて言わなかった。
「来るよ」
今まで黙っていた雲雀さんが呟いた瞬間、ドンと車に衝撃が走った。私は小さな悲鳴を上げた。前を見るとボンネットの上に人が転がっている。
「うわああああ――っ!!」
話かけてきた男性が叫ぶ。男性は慌てて自分達の車に向かって走って行ってしまった。
「ひ、ひ、雲雀さん!」
雲雀さんの左腕にしがみ付いた。よく見ると南国果実を模した髪形の男性だった。
「六道さん、何してんですかね?」
雲雀さんは私の頭を撫でると運転席から降り、無言で六道さんを蹴った。
「ちょ、やめ、雲雀恭弥、やめて下さい!」
「何してんの?」
まさか、このシーンを某動画にモザイクありだが、あがるとは思わなかったのである。しかも、ある程度人気なチャンネルだった。
なんだかんだで後部座席に座った六道さん。
「え? 沢田くんから言われたですか?」
「ええ、ここに来るようにと」
「何で?」
「何も聞かされてないですよ。ある限定のチョコレートをくれるらしいので依頼を受けることにしたんです」
「騙されているんじゃないの?」
雲雀さんがミラー越しに残念な人を見るような顔で六道さんを見た。
「で、先程はなんだったんですか?」
「脅かそうと思ってやりました」
何してんだ、この人。
「とりあえず、ここから離れましょう!」
さすがに怖い。雲雀さん達がいるとはいえ、うん。
「そういえば、先程の撮影者、いなくなりましたね」
いつの間にか、駐車場から軽自動車がいなくなっている。
「四人いましたよね」
確か、ホテルの玄関から出てきたのは四人だったはずだ。
「三人だったよ、人間は」
「え?」
「ああ、ついてましたね」
「怖い!」
聞かなかったことにしよう。雲雀さんが車のエンジンをかけようとしたが、かからない。
「かかりませんね」
「ホラーあるあるじゃないですか!」
涙が出てくる。もう、やだ。雲雀さんはさらにもう一度、エンジンをかける。次はかかった。駐車場から出て山道を走る。なぜか、後ろが気にかかり、振り向こうとしたら、雲雀さんと六道さんに止められた。
「振り向くな」
「ええ、後ろを見ない方が身のためですよ」
「え?」
おとなしく、前を見る。絶対、何かいるのだろう。もう、やだ。
後日、聞いた話だが、車の後ろのフロントガラスに女性が張り付いていたらしく、コンビニに寄った時に六道さんが無理やり剥がしたらしい。
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