20話
夢小説設定
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「苗字、なんでお前は野菜じゃなくて指を切るんだ?」
「わかりません先生」
「まっすぐ下に包丁をおろすだけなはずなんだが」
「下に指があったんです」
「指はよけろ」
「よけたと思ったんだけどなあ?」
「本来なら料理するのにトリオン体になる必要はないんだ。でもお前は指を切断しそうだから怖い」
「うっすサーセン」
「ちなみに野菜は切れたか?」
「まな板が切れました!」
そうして私はママにキッチンから追い出された。
あーあ、レイジママにまで匙を投げられちゃったよ。これもう無理じゃね?私はカップ麺を極めろっていう神様の遠回しなお告げじゃね?
「なまえ先輩?」
「はーい、って千佳ちゃん!休みの日に会えるなんてラッキーかよ。ハッ、ママはもしやそれを知ってて?やだ、一生ついてく…」
「今日の料理教室はもう終わったんですか?」
おおう、千佳ちゃんまでそれを知ってたか。隠してはないけど可愛い後輩に料理が壊滅的にヘタクソだと知られるのは恥ずかしい。
というか私、後輩に良いとこ全然見せれてない気がする。
「上達したら千佳ちゃんにも食べてもらいたかったけど、ダークマターしか生み出せないカスでごめんな…」
「えっ、あの、でも前にカレーは作れてましたよ!」
「ああ、あの甘くて苦くて酸っぱくて辛さが行方不明になってたやつね。あれもダークマターでしょ」
「味はその…独特でしたけど、なまえ先輩が一生懸命作ってくれたのが一番嬉しかったです」
ッ…!!ええ子や…これはもうT・M・T(千佳ちゃん・マジ・天使)…!尊みが深い。
千佳ちゃんにかかればどんな荒んだ心も浄化されるわ。
私ね、思うんだ。ヒュースのご飯とかレトルトだろうがインスタントだろうがどうでもよくね?千佳ちゃん眺めてる方が有意義なんだけど。
「苗字ちゃん廊下で奇怪な動きしないでよ」
チィッ!せっかく千佳ちゃんと二人きりだったのを引き裂く邪魔者が現れやがった。
邪魔者こと迅さんは挨拶もそこそこに苗字ちゃんに比べて雨取ちゃんは良い子だね、と千佳ちゃんの頭に手を伸ばす。
ペシリ
そしてその手が千佳ちゃんの頭に触れる前にたたき落とす。
「うちの天使に触れないでください。お触り厳禁です」
「いつから苗字ちゃんはマネージャーになったの?」
「マネージャーなんて恐れ多い…!いいですか、迅さん。私達下民は千佳ちゃんを見るどころか同じ空間にいることだってありがたいことなんですよ」
「もはや宗教の類だね」
それだわ。迅さんもたまにはいい事言うじゃん。
千佳ちゃん教だと堅苦しいから、ファンクラブでも結成するか。会長はもちろん私で!会員は放っといても集まりそうだし。
よし、そうと決まれば準備しよう。会員カードとか欲しいよね。なんか最近小物作りのレベルだけ上がっていってる気がする。応援うちわの賜物かな。
そうだ、ヒュースにはご飯じゃなくて応援うちわ作るか。うん、私に出来るのはそれくらいだ。料理?それはママがやってくれるって。
「急遽用事が出来たんだけど千佳ちゃんは…一緒に修のところに行こうか!」
「はっ、はい」
「なんで俺見て言ったの」
「日頃の女性に対する行いです。もし千佳ちゃんにセクハラなんてしてみろ、明日から悠一くんから悠子ちゃんに変えてやるからな」
ジッと股付近を見て言うと迅さんが一歩後ずさる。
「クラスタこっわ…もうそれサイコパスでしょ」
やかましい。目に入れたって痛くない後輩の為ならなんだってやってやんよ。
ちなみにヒュースにご飯の代わりに応援うちわを差し入れすると柄の部分で殴られた。一体何が不満だってんだ。解せぬ。
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