15話
夢小説設定
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「なあ苗字、俺の隊入らね?」
「はい?」
それは突然だった。廊下でバッタリ遭遇した太刀川さんに挨拶も脈絡もなく言われた一言。
「えーっと、それはA級1位の太刀川隊に入れってことです?元万年C級やってた私に?」
「そうだけど。今B級なら問題ないだろ」
「いやそれはそうなんですけど…。というか何で急に?」
「理由っているか?」
「当然いりますけど!?その適当なところ迅さんに似てません!?」
「そう、その迅だよ」
「はあ?迅さんがどうしたんですか」
「迅はお前ことは特に気にかけてたから、そんなお気に入りをとったらどんな反応をすると思う?」
ははーん、つまり迅さんに嫌がらせするために仲間になれよってことですね。まるで玩具を見つけたような目してらっしゃるよ。
性格悪いなあ。やっぱこの人と迅さん似てるところあるわ。
「面白半分どころか面白そうが全てでしょうけどA級1位の隊に誘われたのは光栄ですよ」
そうありがたいことではある…多分。ありがたいはず、ありがたいといいなあ…。ぶっちゃけ理由を聞いたらありがたみなんて一切消え去ったがそれは黙っておこう。
「理由が全部それってわけじゃないぜ?
お前と緑川の模擬戦のログ見て俺も戦いたくなったんだよ。同じ隊ならいつでもやれるだろ」
わあ、なんてフリーダム。私はあなたとの模擬戦だけは断固お断りします。
「とても嬉しい申し出ですがお断りしまーす」
「言葉と顔が合ってねえんだけど。すげえ笑顔じゃん」
「ははは。気のせい気のせい。
というか理由がどうあれ、今はどの隊にも入れないんですよ。迅さんからそう予知されてるんで」
「げ、先越されてたか」
いやさすがに太刀川さんの嫌がらせを見越してではないと思うけど。……違うよね!?
「じゃあそのうち迅の許可が出てからでもいいから俺の隊来いよ」
「それだと迅さんへの嫌がらせは失敗じゃないですか?」
「だから別に迅の反応が楽しみってだけじゃねえっての。
出水もお前を気に入ってたし、何より唯我よりは確実に役に立つ」
誰だよ唯我。私より役立たず認定とかよっぽどだぞ。
「私は連携クソですよ。個々で戦ってたら何にもないのに連携しだすとトリオン兵に混ざって味方に倒されますから」
「まじで?笑える」
笑うな、こっちは真剣にやってんだよ。
「んー、でも唯我よりはマシか…?」
だから誰だ唯我って。そこまで言われるなんてさすがに可哀想なんだけど。というかその人ホントにA級1位の隊員なの?
「それにうちは元々あんまり連携とかしないからなあ。俺は強い奴とは一対一でやりたいし、出水も放っとけばトリオン兵倒してるし」
マジかよ、めっちゃ太刀川隊が魅力的に見えてきたわ。しかし周りがそこまで優秀だと余計に唯我って人が気になりだしたんだが。
そのグダグダ感あふれるスカウトを遮るように廊下の先から「慶!どこだ!」と忍田本部長の怒声が聞こえた。
「やばい、もうここまで来たか。
俺は右行くからもし忍田さんが来たら左行ったって言えよ」
そう言って太刀川さんは返事も聞かず走り去る。太刀川さんがいなくなってすぐに訪れた忍田さんにはもちろん右だと教えた。だって私は了承してないもん。
結局保留扱いにされたスカウトの有効期限はいつまでだろう。
玉狛の皆を見てると少しだけ、そういうチームに憧れていた。
だからそのうち私もどこかの隊に入れるといいなあ、と思ってはいる。まさかA級1位にお誘いをいただけるとは思ってなかったけど。
そんな思考の中、今日最も気になったのは唯我本当に誰だよ、だった。
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