よんじゅうきゅうわ
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ほんと、どうしてこうなった…!!
事の始まりは今日の任務だった。1年生の4人が駆り出された呪霊討伐の任務。
ど田舎の森の奥にある今にも崩れ落ちそうな神社に複数の呪霊が蔓延っていて、それを祓う予定だった。それはまだいい。
一番強いので2級、あとは雑魚がちょっと多いかなって程度。その2級がめちゃくちゃデカかったけどその分動きも遅かった。打撃に強いようで虎杖の攻撃にも耐えてたから祓うのに少し手間取りそうではあったけど、それも許容範囲内。
問題はその後。
簡潔に言えばなまえが食われた。地中に隠していた尻尾の部分でも捕食可能だったらしく、地面ごとぱくりと一呑みで。
それからその2級呪霊がぶくぶくと膨れていって、今や10mはあるだろうか。虎杖の攻撃も伏黒の式神も大したダメージが与えられない程になってしまった。私の術式でも同様にこれといってダメージが入らない。というか損傷しても即治っている。
そして冒頭に至る。
こっちだけが呪力を消費して、あっちは余裕な様子。それもそのはず、なまえと呪力勝負なんて頭のイカれたこと五条先生でもきっとやらない。
というかあの子消化されてないでしょうね!?一呑みにされたから怪我とかは大丈夫だろうけど、もしもう胃の中なら溶けてないかだけが心配だ。
腹っぽい位置に攻撃を繰り出しているけど、打撃は弾力のある身体に跳ね返され、満象より何倍も大きく玉犬の爪でも腸まで切り裂くには至らない。私の芻霊呪法は効いてる感はあるものの、使っても多分やられた箇所から呪力で治していってる。
「こんなの体験したらなまえと呪霊のセットがどれだけ悪質かが分かるわね…!」
「贄犠は不可抗力なんだからその言い方可哀想じゃね!?」
「知るか。つかもうこの呪霊、とっくに2級なんて枠組みじゃねえぞ!」
「だよなぁ!?さっきから俺らの攻撃が全く効いてる気がしないし」
「…まずアイツ無事なのか?」
「贄犠って結構頑丈だから、ケロッとして気持ち悪かったとか言いながら出て来そうな感じあるけどな!」
「そうなってくれたら万々歳よ。特に私達が!」
なまえが自力で脱出してくれればそれが一番いい。呪霊に呪力を補給することもなくなるし、こっちの戦力も増える。
何よりこの動きの遅い呪霊相手ならなまえの攻撃を避けられる心配もない。身体能力はさて置き、あの強大な呪力をのせた拳が当たるならなまえの攻撃力は1、2年の中でも随一だ。
その為にはなまえの救出が先だけど。
「補助監督の人とまだ連絡つかねえのか!?」
「ここ電波立ってないんだって!」
「これだから田舎は嫌なのよ!」
戦いながらもギャーギャーと3人揃って喚き散らす。
巨体の分振り下ろされた腕が地面に叩き付けられれば軽い地震が起こる。動きが遅くて助かったわ。これで俊敏だったらと考えたら最悪だ。
しかしかと言って腕への警戒度を下げることは出来ない。あの破壊力は掠るだけでも致命傷になりかねない。
何か打つ手はないかと戦闘中に考えていた時に、その悩みを解消するかのように呪霊の6本あった腕全てに巨大な杭が打たれる。あの術式は、なまえ…?
「ボクかて…」
背後から聞こえた声に振り返れば、いつの間にかそこには蝕衰がいた。
「ボクかてひいさんのこと食べたいのに、ぽっと出が何してるん?」
なまえを助けに現れたのかと思ったが的外れなことを口にする蝕衰の対処に困る。これ、戦力として数えていいのかしら。後々後悔しそうな気がするわ。
「ボク、ほんとは手ぇ出す気なかったんよ。ひいさんが頑張ってはるとこ見ておこうて。せやけど我慢出来ひんことてあるやろ?
だってずるいわぁ。そないにひいさんから呪力もろうてからに。
ボクの方がひいさんに尽くしてるのに。自分、何もしてへんくせに恩恵にあやかろうなんて図々しいと思わん?」
拗ねたような声色で問い掛けながら、杭によって固定された腕を今にも折れそうな包帯でぐるぐる巻きの指を向ける。その指さした箇所からまるで腐敗が始まったかのように黒ずんでいき、6本腕の内の1本が崩れ落ちた。
「あらら。腕だけしかいかんかったわ。ま、ええか」
ぱちんと蝕衰が両手を合わせた軽快な音が聞こえると、残りの腕も同じように形を変えた。腕を失い、その痛みによるものなのか呪霊が低く唸り声を上げる。
呪霊対呪霊でなった状況だけど、相手の攻撃手段がなくなったのは好機だ。そう思った瞬間、呪霊が跳ねた。その巨体では考えられないほど、しかし弾力のある肉体で跳ね上がり巨体が降ってくる。想像もしてなかった攻撃手段に一瞬固まる。逃げる、いや間に合わない。攻撃、は大して効かなかった。これは、ヤバい。
「──はぁ…。過剰労働やわぁ」
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