よんじゅうろくわ
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「お久しぶりです。元気してますか?──乙骨先輩」
『元気か、はどちらかと言うとこっちのセリフじゃないかな?贄犠さんの怪我した報告ばかり聞くんだけど』
「うぐっ」
『帰ったらもっと詳しく聞かせてもらうね』
よし、逃げよ。
『逃がさないよ』
心読まれてる!?
「乙骨先輩!えー、あー……あっ、海外生活どうです?もうそっちに行かれて結構経ちましたよね!」
『…まあ今は流されておくね。
大変なのは言葉が通じないことかな。同行者がいてくれて本当によかったよ』
不穏な言葉は聞こえなかった!今は、なんて聞いてない。ホント気の所為。幻聴だから、マジで。
「こっちは交流会とか大きい行事は終わっちゃいました」
去年の交流会、見てみたかったなぁ。あの東堂さんに圧勝した乙骨先輩はマジでヤバかったのだろうけど。
『うん、狗巻君達から聞いてはいるけど、帰ったらもっと詳しく教えて欲しいな』
「はい!私も乙骨先輩に色々聞いて欲しいです。あと交流会以外にも、野薔薇や虎杖についても言いたいこと沢山あるんですよ」
『確か6月頃に入った1年の子達、だったよね』
「2人共すごく良い人なんですよ。野薔薇は同じ歳の女子の友達は初めてなんですけど、私が不慣れな所もフォローしてくれて、引っ張ってくれるんです。同じように真希さんに憧れてるから、よく真希さんの凄いとこについてとか語ったりしてます」
『真希さんに憧れる気持ちはよくわかるよ。帰ったら僕も混ぜてもらおうかな』
「その時は是非!それに虎杖はですね、The陽キャ、って感じの人物です。明るくて、誰にでも分け隔てなく優しくて、あの伏黒が瞬殺ってレベルで信用してましたよ」
『伏黒くん、結構警戒心強そうなイメージなのにね』
「ですよね!いや実際強いですけど。
でも伏黒や先輩達や先生も含め、皆すごく優しくて…私みたいなのでも受け入れてくれたこと、本当に嬉しいんです。高専に来るまでこんなの知らなかったから。大好きで仕方ないです」
…あれ、今私何言った?乙骨先輩は話を聞くのが上手いから、ついとんでもなく恥ずかしい本音が出てしまってなかった…!?
『贄犠さん。僕もね、高専に来れて、皆と出会えたことがこれ以上ない幸福なんだ。
それに僕は君が高専に来た境遇が自分と似てるなって思ったから初めは特に気にかけてたけど、今はそれを抜きにして、君のことを色んな人に自慢したい優しくて強い後輩だと思ってるよ』
「…乙骨先輩って素でそういうこと恥ずかしげもなく言いますよね」
『あれっ!?似たようなこと贄犠さんもついさっき言ったと思うんだけど…』
「いやあのポロッと口から出ただけなんで蒸し返さないで貰えると有難いんですが。その上突然とんでもない爆弾落とされて今絶対に顔真っ赤ですよ、私」
『それはそれで見てみたかったなぁ。そうだ、今部屋?』
「え、部屋ですけど…突然どうしました?」
『んー…よし。真希さんにメッセージ送ったから、それに気付いたら突入するんじゃ、』
乙骨先輩の言葉の途中でバンッッッ、と勢いよく部屋の扉が開け放たれる。
「ぎゃっ」
「よぉし、憂太よく知らせた。で?なまえちゃんは私らが大好きって?珍しく素直に可愛いこと言うじゃねぇか」
「2年の間って情報回るの早すぎません!?そういうのは知っても胸の内に秘めといてくださいよ!
そうだ、乙骨先輩も!乙骨先輩も結構恥ずかしいこと言ってました!」
「憂太はいつもだろ」
『そうかな?』
「そうだっつの。そういや今日のなまえは昼間っから夜になったら憂太と電話するってはしゃいでたな」
『真希さん、その辺詳しく』
スピーカーだからってそっちで話を進めないで!人の恥ずかしいエピソード話して盛り上がるのやめようよ!一種のイジメだよこれ!
『こうやって話してると早く帰りたいな、って思うよ。海外来て大変なことはそれなりにあったけど、やっぱり皆と会えないのが一番寂しいから』
「そうかよ」
「…あ、照れた。乙骨先輩!真希さんが今照れてます!」
「なまえちょっと黙れ!」
乙骨先輩に真希さんの様子を報告するとヘッドロックでがっしりと締められる。ギブギブ!真希さん部屋着なのに何か仕込んでません!?何かゴリゴリ当たってる…!痛たたた!
『あ、ごめんね。もっと話してたかったんだけどもう切らないと』
「憂太、土産忘れんなよ」
『うん、了解』
「乙骨先輩!帰ってきたら絶対私が野薔薇と虎杖を紹介しますから。自慢の先輩に、自慢の友達を是非紹介するので、先に私以外に聞かないでくださいよ!」
『ありがとう。楽しみにしてるね』
その時の私は、当然のようにそれが叶うと信じて疑わなかったんだ。何が起こるか分からないこんな世界なのに。
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