よんじゅういちわ
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現在、校内の廊下を全力で疾走中。逃げても意味がないんだけど、どうせいつかは捕まるんだけど…!でも今はちょっと時間を置きたいというか。
…はっきり言おう。めっちゃ怖い!!!
「なまえ!テメェ止まりやがれ!」
「真希さんが怒ってなかったら止まりますから!」
高専に戻り一年達とは一旦別れた後、硝子さんに蝕衰が反転術式で治した手を問題ナシと診断してもらった。そして少し遅れて帰ってきた二年が保健室にやって来たのだが、真希さんが般若のような顔で迫ってきたので思わず逃げ出してこの状況だ。
五条先生には怒られる準備しとけとは言われてたものの、心の準備を上回るキレっぷりに逃げる以外の選択肢が消え去った。
つか私一日近く何も食べてないから力入んないわーってつい数十分前に思ってたのにめっちゃ走れるじゃん。多分今までで一番速く走れてる。
「棘!」
真希さんが叫んだと同時に狗巻先輩が曲がり角から現れ、激突した衝撃と共に逃亡劇を繰り広げた割に呆気なく捕まった。二対一は卑怯だと思うのですが!
「また逃げないようパンダに渡しとけ」
「しゃけ」
厳重かよ!
虚しく真希さんの自室へと運ばれ、正座の状態で先輩三人に囲まれている。もうね、あの、ちょー怖い。
「なまえ」
「はいっ!」
「怪我は」
「え?」
「怪我」
「あ、えと、治ってます。もうどこも問題ないです」
予想していた怒声ではなく、思わずキョトンとしてしまったがまだ油断は出来ない。今か今かと身構えていると、大きな溜め息が頭上から聞こえた。
「?」
「ホントなら一、二発くらい殴ってやろうと思ってた」
「ひぇっ」
「でも…無事だったなら、もうそれでいい」
「!! ま、まきさーん!」
思いがけない言葉に真希さんに飛びつく。腰にの部分に呪具を仕込んでいたのか、何か固いものが額にぶつかった。地味に痛い。
「そんなこと言ってるけど真希が一番必死になってたぞ」
ポロリと言葉をこぼしたパンダ先輩は一瞬で真希さんに沈められてた。これ以上は黙っとこ。
「ちなみに棘は憂太に連絡した」
「…はい?ちょっ、え?マジで言ってる?」
「トーク画面見るか?」
「いや、いいです…」
狗巻先輩はピースしてじゃねえよ、可愛いかよ。ってそうじゃなくて!何故乙骨先輩に!?心配性の塊みたいな人だよ!?予想以上に事が大きくなってるんですが!
「こんぶ」
見せなくていいと断ったのに狗巻先輩が乙骨先輩とのやり取りを見せてくる。私を発見した報告の後に帰ったら少し怒らないといけないね、って書いてあり背筋が震えた。
絶対に嫌だ!初任務の時もほんのちょこっとお説教だって言われたやつもめちゃくちゃ怖かったのに、それが更にグレードアップとか恐ろしすぎるわ。笑顔で圧だけ増していくから余計怖いんだよあの人…!
…うん、逃げよ。逃げ切れる確率は皆無だが、乙骨先輩が帰ってくる頃には私も急成長を遂げてる、といいなぁ…。
「そりゃいいな。こってり絞られとけ」
真希さんが楽しそうに喉を鳴らして笑う。味方がいない…!
「憂太も真希と一緒でなまえに対して過保護だからな」
「しゃけ」
「あ?憂太はまだしも私は別に、」
「おかか」
「食い気味に否定してじゃねえよ!」
真希さんと狗巻先輩の言い合いが始まったのでパンダ先輩の隣に避難すると、パンダ先輩の大きな手が視界を隠すように頭の上に乗せられた。
「まあ結局は皆なまえを心配したってことだから、あんま無茶するなよー」
「…りょーかいです」
ああ、本当に、勿体ないほど幸せだな──。
「なまえ」
「あ、五条先生」
「しっかり怒られた?」
「乙骨先輩が帰って来た時に怒られる予定です…」
「それまでに怒りが冷めてるといいね」
ほんとそれ。
「それとそろそろ一年組のとこに行ってあげな。野薔薇あたりが痺れを切らしてるよ」
そうだった。まだあっちのお説教は回避出来てない…!
「すぐ行きます!」
びくりと肩を跳ねさせ、慌てて第二の関門へ向かおうとすると、五条先生に手首を掴まれ引き止められる。
「恵もピリピリしてたよ。悠仁もちょっとしてたかも」
「それ引き止めてまで言う情報!?出来れば聞きたくなかった…!」
「なまえ、愛されてるね」
「────」
一瞬思考が止まる。愛されてる、なんて五条先生に出会ったばかりの頃だったら眉を顰めて否定したと思う。でも今ならちゃんと笑って応えられる。
「──はい」
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