さんじゅうななわ
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「虎杖ー、エクレア食べよー」
五条先生から皆で食べて、とエクレアを貰ったので虎杖の部屋を訪ねている。残念ながら本日伏黒と野薔薇は不在だから2人の分は冷蔵庫に突っ込んだ。
今日は自室で過ごす予定だから遊びに行ってもいいと聞いていたので遠慮なく部屋に入ると、目的の人物はベッドでのんびり昼寝をしていた。タイミング悪かったな。出直した方がいいか。
一応声を掛けるだけ掛けておこうと近付く。それにしても虎杖の寝相が酷い。まだ日中は暑いからか蹴飛ばされた布団が床に落ちている。
「虎杖の分のエクレア、伏黒達のと一緒に冷蔵庫入れとくね」
布団を拾って適当なとこにかけながら伝えれば、んー…、と起きてはないみたいだが返事だけは返ってきた。もしかして眠りが浅いんだろうか。
「虎杖虎杖」
「…な、に」
「五条先生からエクレア貰ったんだけどさ」
「……うん…」
「虎杖の分ももちろんあるよ」
「ん…」
「虎杖寝てるなら私食べちゃっていい?」
「…………」
急に返事がなくなった。眠りが浅かったのは終了したの?…チッ、運の良い奴め。
わざわざ起こすのも可哀想だし踵を返す。私も今日は部屋でゴロゴロするかなー。
「──なんだ、もう帰るのか」
背後から聞こえた声にビクリと肩を震わせる。まだ居ても構わんぞ、と気軽に話しかけてくる彼の声を聞く度に緊張で指先から冷たくなっていく。
「そこに座れ。小僧が目覚めるまで俺が話し相手になってやろう」
「…っ、ぅ……」
「どうした?遠慮せず座るといい」
虎杖の方を振り向けばベッドから投げ出されぶらりと垂れた腕に現れている宿儺の目が
ゆっくりと恐る恐る宿儺の目の前の床に腰を下ろす。素直に言葉の通りにする自分に嫌気がさすが、反抗するのはそれを上回るほど恐ろしい。
そんな私を宿儺が値踏みするかのようにジロジロと上から下まで視線をやる。
「ほう…。小娘、たった数日で随分と死んだものだな」
「─────」
「その魂の因果により食指が無理矢理動かされる。所有欲と独占欲。その心の臓から髪の先一本に至るまで手に入れろと、誰にも渡すなと、警鐘が鳴る。
貴様が死を重ねるほど、それは増す。今どれだけの人間がそれを感じているかわかるか?」
「そ、んなの、知るわけ…」
「警戒せずとも、その身命は以前ほど必要ない。だが、無理矢理欲を掻き立てているのは貴様自身だろう」
「…違う」
私の意思じゃない。好きでこんな体なわけじゃない。好きで死に続けてるわけじゃない。お前なんかにこの終わらない死の何がわかるんだ。抵抗も出来ず幾度も他者に利用され続けた私の何がわかるんだよ。
だめだ、宿儺を前にするとどうしても冷静でいられなくなる。でも否定したところで彼の言葉は全て事実だ。黒刃も同じようなことを言っていた。
だけど、それでも、どれだけ事実だったとしても私は一度だって望んでいなかった。なんで、なんで…私だけ。
「しかしその呪いをかけられた者の中でも貴様ほど長く繰り返す者は初めて見たな。俺の知る限りでは2桁ともたない呪いだった」
「それって…。これ、この呪い解けるの!?」
「この場で嘘をつく必要などない」
「待って。待って…!そんな、それじゃ…私、は…」
なんでこんなにも繰り返してるの?なんでこんなにも苦しんでるの?なんで私の呪いは解けないの!?どうして私は…!
「ねえ。その人はどう、やって…」
一体どうやって───死ぬことが出来たの?それを知れば私は本当の意味で死ねるんだろうか。
「知りたいか?ならば知る為に何を差し出す」
私の本当の死なんて呪い達は絶対に教えないはずだ。それなら唯一教えてくれるのはこの男だけになる。
「なに、が欲しいの」
「先程言ったように今の俺には生贄の貴様は差程必要ない。その身以外に差し出せるものでも探せ」
そう言われたものの、宿儺が納得するだけのものなんて思い付かない。というか宿儺から見たら生贄以上の価値なくね?とんでもない難題を出された気がする。
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