さんじゅうろくわ
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「-
黒刃を祓った時にコツを掴んだのか、この術式に関しては安定するようになった。相手の動きが早かったら外すけど。今もこれ3度目でやっと捉えれたし。
ちなみに汚濁が出来たのは完全にマグレだったから、あっちの完成度はまだイマイチだ。
「もう少し敵の動きを予想しながらやるように」
「はーい」
「何より自分の視界を遮る位置に杭を構築すると隙が生まれてしまいます」
「なるほど」
横からダメ出しをしているのが、五条先生からの紹介で今回一緒に任務に当たっている七海さん。一級呪術師で、そして五条先生の後輩。
一級って伏黒より上だよね。凄い人なんだなぁ、と思っていたが、五条先生の後輩と聞いた瞬間、同情に変わった。私はあんな先輩絶対に嫌だ。苦労するのが目に見えてる。
伊地知さんのいっこ上で五条先生のいっこ下らしいけど、七海さんのが貫禄あるわ。なんかいかにも出来る人って感じ。五条先生はちょっと、いや大分ちゃらんぽらんが滲み出てる。
「構築術式は呪力の消費が激しいですが問題ありませんか?」
「そうなんですか?」
「質問を質問で返さないように」
「さーせん」
「問題はなさそうですね。それともう少し術式のことに関して理解と知識を深めた方がいいですよ」
「うっす」
アドバイスが的確すぎて、もしかしてこっちが本当の先生だったのでは…?と思ってしまった。五条先生、基本放任主義だし。尊敬はしてるしめちゃくちゃ強いけど、もう目標に出来るレベルの強さの域じゃないんだよな、あの人。
ダメだ。一度比べてしまうと七海さんのが教師として適任な気がしてしまう…。話題を変えなければ。
「そういえば五条先生から七海さんは脱サラって聞いたんですけど、どこに就職してたんですか?」
「金融関係、みたいなものです」
「高専って履歴書に書いて通ります?正直入学してから呪術関係以外の勉強全くしてないんですが」
「一般就職したいなら卒業までに頑張ればいいでしょう」
「あー、いや、ちょっと気になったんで聞いてみただけで、私は一般就職は無理じゃないですかね。まず高専が許してくれそうにないし」
「…そうですか」
それに昔から酷い夢ばかり見てきて将来のこととか考えたりしなかったから特に就きたい職業とかもないしね。仮に運良くどこかで雇われたとしてもこんな体質じゃ1ヶ月もたないと思う。まともな職に就けないのは分かってるけど、社会人がどんなのかってのにはちょっと興味がある。
「前の仕事って楽しくなかったから辞めたんですか?」
「贄犠さん」
「あ、はい」
「労働なんてものは等しくクソです。一般企業だろうが呪術師だろうがそれは変わりません」
「え、」
「私はまだ適性のある方のクソを選んだだけにすぎません。出来ることなら全部ほっぽって海外旅行にでも行きたいんですがね」
……。五条先生が前に呪術師はイカれてないとやってけないって言ってた気がする。七海さんみたいな出来る大人の見本のような人でも真面目にしっかりイカれてんだなぁ…。
入り組んだ路地裏なのに七海さんは迷いなく道を選んでいる。残穢とかいうやつだろうか。さっぱりわからんが。
私にも見えないかなーと地面をじっと見つめながら七海さんについて行く。うーん、まず皆にはどんなふうに見えてるんだ?本物の足跡みたいな感じかな?それとも光ってたり?
足元ばかりを見ていると、突然腕を前に引っ張られる。転けそうになりながらも七海さんに急になんだ、と文句を言おうと顔を上げれば、先程自分がいた場所に30センチほどのクレーターが出来た。ひぇ、あのままだと絶対ヤバかった…。文句言おうとしてごめんなさい。マジで助かりました。
「呪力感知がザルですね」
「すみません…」
ホントね、その通り。死角から来られたら正直避けれる気がしない。
再び襲ってこようとした呪霊を七海さんが一撃で祓う。すっご。私も今は呪具を使ってるけど大きいサイズの呪いになると一撃でズバッと倒せたことないかも。筋力か、筋力が足りないのか。
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