さんじゅうさんわ
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色々あった団体戦の日から一日の休日を挟み、何故か野球をしている。
交流会のやり直しが決定したのはいいとして、なんで五条先生はくじに野球入れたんだろうか。正直言ってこういう団体競技をするのは初めてだ。ど素人の初心者なのに、周りからの重圧がのしかかる。誰とは言わないが友人のはずの同じ歳の女子からが特に。
まずルールすら曖昧だから試合中の今に本で確認してるくらいだから、ちょっとは多めに見て欲しい。
しかし試合は私の都合など関係なく進んでいく。
ついさっき東堂さんの頬に真希さんの投げたボールが直撃した。あれ絶対わざとだと思う。
「東堂さーん!?」
「いいのよ、なまえ。あれがあのゴリラの運命だったの」
「運命、ってか真希さんが故意に当てただけじゃない!?」
キャッチャーだった虎杖もすぐさま東堂さんを心配したが京都校の人を始め皆が真希さんを褒めるものだから東堂さんが可哀想すぎて仕方ない…!どんだけ嫌われてんだあの人。というかまずナイスピッチって言ったのが東堂さんの味方側って…。
「ねえ、さすがに可哀想じゃない…?」
「?? どの辺がだ?」
野薔薇とは逆方向にいた伏黒に少し近付き話しかけたのだが、本気でわからないといったふうな返事が返ってきた。
え、心配してる私と虎杖のがおかしいの?暑苦しいしウザいとこもあるけど良い人だよ?そう擁護する度、伏黒がどんどん不可解そうな顔になっていく。
「贄犠、頭のことで家入さんに相談に行きづらいなら付いてくぞ」
「正気なんですが?」
東堂さんの信頼、ゼロどころかマイナスじゃん。…あとで湿布でも差し入れよ。
そして2回裏、ついに打順が回ってきてしまった。
「なまえ!ホームラン打てとまでは言わないから、せめて出塁しなさい!」
無茶言うな。あとしゅつるいってなんだっけ…?漢字にしてくれないと本の文字思い出せない…。
付け焼き刃の知識をなんとかフル稼働して言葉の意味を思い出す、内に五条先生がストラーイク、と声を張る。あれ、まさか今ので1球分無駄にした?
応援席から怒声が響く。いやもう無理だって。誰か代わってよ。
えーと、えーーーっと…ボールを打ったらバットを捨てて走る、んだったよな…?バットってどこに置いてけばいいんだろ。ルールブックばかり見てないで試合の方も見るべきだった。
まあいいや。ボールに当たったらバットを放す。ボールに当たったらバットを放す。ボールに当たったらバットを……あ、やべ。
頭の中でやるべき事を繰り返していると、ボールが当たった音がした瞬間バットを放してしまって、最近の筋トレの成果かフルスイングしたバットは野薔薇曰くピッチングマシーンなメカ丸の機体の真横スレスレを飛んで行った。というかちょっと掠ってた。
「ちょっと!今の完全にレッドカードでしょ!」
「はぁーん?日本の野球にレッドカードなんてありませんけど?汗で手が滑っただけじゃない?ほらその子初心者だから。チッ、もう少し右なら良かったのに」
抗議を入れてきた真希さんの妹の真衣さんにすぐさま野薔薇が反論する。でももう少し右ってメカ丸直撃なんだが。
飛んで行ったバットはさて置き、しっかりアウトになってたらしいので大人しくベンチに帰る。うーん、野球って難しい…。
私の次の打順だった狗巻先輩は俊足をいかし塁に出る。京都校の先生の歌姫さんが盗塁あるわよ、と叫んでいるが、とうるいってなんだ…。しゅつるいとか、とうるいとか、もうよくわからん。ルールブックでその言葉の意味を探すだけで一苦労だ。
面倒になったのでルールは諦め、本を閉じてグラウンドに目をやる。次のバッターは虎杖。 あー、アイツなら余裕で打ちそう、なんて思ってたら初球でホームランを打ちよった。結局私、メカ丸(仮)を壊しかけて外野で突っ立ってただけだな。
まあでも取り敢えず今は、東京校の勝利を祝っておくか。
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