さんじゅうわ
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───交流会当日
「なんで皆手ぶらなのー!?」
キャリーバッグに手提げ鞄にと旅行準備バッチリの野薔薇が叫ぶ。どうやら交流会を京都でやると勘違いしてたらしい。
「言いなさいよなまえ!」
「いや、知らんわ」
昨年勝った方の学校でやるそうで、勝った理由である乙骨先輩に向かって野薔薇が恨みを込めてまた叫んでいる。おいコラ、乙骨先輩への悪口は許さんぞ。
「おい。来たぜ」
わちゃわちゃといつものように騒いでいたが、真希さんの言葉にそちらの方向を向くと京都校の人達がお出ましだ。話してる雰囲気からして聞いてた通り姉妹校なのに仲悪そう…。
「あ、東堂さんだ。おーい」
他の人より頭一つ分くらい背の高い東堂さんと目が合ったので声を掛ければ、京都校の人達がギョッと目を剥く。一人ロボだけど。
「贄犠か。オススメした高田ちゃんのライブ映像は見たか?」
「見ましたよ。アイドルとかよくわかんないけど、可愛かったです」
「!!! 高田ちゃんの可愛さがわかるとは素質があるな」
「はあ、ども」
ちなみに素質ってなんの素質だろ。
「なまえ!」
「なに?野薔薇」
「ゴリラが伝染るからやめなさい」
だから伝染らねーよ。どんだけ必死だ。一応あっちは三年で先輩だからね?
グダグダになり始めた空気を京都校の引率の術士が諌める。顔に傷があるけど美人な人だなぁ。そして当たり前のように遅刻してる五条先生、どうかと思う。
しかし噂をすれば影と言うべきか、五条先生の話題が出ると本人が大きな箱を乗せた台車を押して登場してきた。タイミング良すぎてどこかで聞いてたんじゃないかと疑うほどだ。
遅れてやってきたくせに何故かテンションの高い五条先生は京都校の人達にお土産だと不気味な人形を配り、次はこちらだと振り返る。
「ハイテンションな大人って不気味ね」
「非常に同意」
今日は一体何をやらかすのだろうかと不安を込めて言動を見守る。すると五条先生が押してきた台車の箱がひとりでに開き───
「故人の虎杖悠仁君でぇーっす!!」
「はい!!おっぱっぴー!!」
…………虎杖?ありえない人物の登場に呆然とする。え?は?いやだって、死んだって…。
しばらく状況が飲み込めず固まっていると虎杖が目の前までやってきて、おーいと顔の前で手を振ってきたので、呑気なその顔を遠慮なくひっぱたく。
「いった!エッ、なに!?」
「…夢じゃない」
「そういうのって自分で確かめない!?」
夢じゃないのを確かめた途端、じわりと涙が滲む。それを見た野薔薇が、なまえ泣かしてんじゃねえよ!、と虎杖にローキックを繰り出した。
「…別に、泣いてないし…」
「泣いてんでしょうが」
「野薔薇だってさっき泣いてた」
「泣くわけないじゃない、こんなアホの為なんかに」
「じゃあ私も泣いてない」
泣いた泣いてないと口論を繰り返すがお互いに涙は拭っても目元が赤くなっているので誤魔化しようがない。ただ維持を張ってるだけだ。
だけど虎杖を見てると本当に泣き出してしまいそうだったから伏黒の後ろに隠れる。盾が動かないよう服の裾を掴み、顔を隠そうと背中に頭突きまでしてしまったが、今は見逃してくれるみたいで離せとも退けとも言われない。
生きてた、生きてた、生きてた。本当に良かった…!
「……鼻水つけんなよ」
何を言えばいいか困るから取り敢えず、といったふうに伏黒がぽつりと呟いた。
つけないし。慰めるの下手くそかよ。
「団体戦前にミーティングあるが、なまえどうする?お前の役割は変わんねえから出なくてもいいぞ」
「じゃあお言葉に甘えます。今日は御守りナシなんで、そこのバカのせいで揺らいだ呪力落ち着けてきます」
「おう。詳細は後で軽く伝える」
「ありがとうございます」
真希さんの提案通り、今は一人になった方がよさそうだ。さっき虎杖が生きてて嬉しい以外にネガティブなことを考えてたら、危うく交流会前に区画内の呪霊まとめてダメにするとこだった。
「ねえ、今めっちゃバカを強調して言われなかった?」
「自業自得よ。黙ってろ」
もっと反省しやがれ、ばーか。
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