にじゅうよんわ
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「贄犠さん、少しよろしいですか」
「あ、伊地知さんだ。こんな朝早くにどうかしました?」
「次の任務の件で資料をお渡ししたくて。私は女子寮には入りづらいので外にいてくださって助かりました」
「目が覚めたんで散歩してたんですよ。まあ五条さんは気にせず入ってますけどね」
「あの人は…なんと言うか、はい…」
「それで、任務ってことは他の1年も集めた方がいいです?すぐ呼んできますよ」
「いえ、今回は贄犠さんの単独任務でして、もし可能ならこの後すぐ現場に向かって欲しいんです」
単独?1年が四人揃ってからは単独での任務はなかったのに。しかもこの後すぐってことは急ぎだよね。それ本当に私の任務なんだろうか?でも伝えに来たのは伊地知さんで、この人がそんなミスするとも思えないんだよなぁ。
資料に軽く目を通せば、よく知ってる地名が記載されていた。その地名を見て直ぐに任務内容も確認せず了承の意を伝える。
ここだけは絶対に私が行かないといけない。紙に印刷された文字を指でなぞる。そこにあったのは中学まで過ごした土地の名前だった。
「数ヶ月しか経ってないのに懐かしい感じがするな」
本当に懐かしい。大して良い思い出はないけれど。
今回の任務は再びこの町で失踪者が出ていることの調査と原因の排除だ。正直調査など自分の能力で出来るとも思わないがやらなければならない。
「ヒッ…!おまっ…、贄犠…!」
最初に発見した住人は元クラスメイトで、私の顔を見るなりガタガタと異常なまでに震え、腰を抜かしてしまった。それも彼に関しては無理もないと思う。足首から上が消えてしまった人達の友人だった筈だし。つかコイツの名前なんだっけ…。
「なんで…施設から出て東京に行ったって…」
「ちょっと用事があってね。相変わらず話が広まるの早いなこの町は」
「っ、じゃあ達樹のことはまたお前がやったのか!」
「はあ?」
何急に。まずどれが達樹かとか知らないし。つかさ、やるもなにもさっき着いたばっかなんだけど。
「達樹がまた消えたんだよ!お前がやったんだろうが!少しハサミで脅した程度でなんで達樹が何度も酷い目に合わされないといけねえんだ!」
だから知らないって。しかもあれは脅しっていうか刺す気満々だっただろ。
こちらの言葉を聞くつもりもないようで、さっきまで腰を抜かしてたのは演技だったのかと言いたいくらいの勢いで胸倉を掴みかかってきた。
「やめろ」
「うるせえ!なんで、なんで!ふざけんな!」
「お前じゃないから。やめろ、亜儚」
制止の言葉を口にすると不満そうではあるが亜儚の手が元クラスメイトの首から離れる。なんか知ってるっぽいし、調査に不向きな私にとって貴重な情報源にするつもりだ。確かにいきなり掴みかかられてイラッとはしたけど、殺す殺さないなんて別次元の問題だろうが。
「言っとくが今回の件に私は関係してない」
「嘘だ!」
なんでだよ。
「お前以外いない!お前じゃなけりゃ誰だってんだ!」
「それを今から調べんだよ」
「黙れ!信じられるか!この悪魔が!!」
あー…話通じなーい…。これどうしよ。……面倒だから一旦落ち着かせるのと、ついでにゆっくり話せるとこに移動するか。
「蝕衰、ソイツ周りに不自然に思われないよう運んで。怪我はさせるな」
命令すると元クラスメイトの手足に枷が付けられる。呪いが見えていない彼にとっては不可解で仕方ないことだろう。
「じゃあ行こっか。A太」
「誰だよA太!?」
だってお前の名前覚えてないし。あ、蝕衰、うるさいから口も塞いどいてね。
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