にじゅうさんわ
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「今日はアメ横行くわよ」
野薔薇、エネルギッシュすぎないか?ここ連日ずっと出掛けてる気がするんだけど。
街中って人が多いから御守り持ってても呪いが寄ってくるんだよね。呪霊共に押し付けてるからいいけどさ。
「アンタは何か食べたい物ある?」
「小籠包にケバブ!」
まあ呆れはしても行きたくないとは言ってない。
途中までは今日も虎杖、伏黒が一緒だったものの、虎杖が行きたい所があるということで数時間後まで別行動となった。
「野薔薇ー、食べ歩きするんじゃなかったの?」
「集合時間まで結構あるんだから買い物した後でも時間は問題ないわよ。古着屋12軒は回るわ!」
「でもここ数日で服は十分に買ったよね?」
「今日は服もだけどスニーカーも欲しいのよね。オシャレな白のやつ」
「じゃあお昼までは野薔薇の服とスニーカー探しして、昼時になったらアメ横ってことでいい?」
「そうね。そんでその前に、今日もまた寄って来てるわ」
野薔薇の視線を追うと建物の影からこちらをジトっと見つめる呪いの姿がある。はあ…やだなぁ、もう。
「亜儚、処理しといて」
「——承知した」
虚空に向かって呟けば、姿は現さないまま返事が返る。
この数日でわかったこと。しっかりコミュニケーションが取れるのは亜儚、蝕衰、黒刃の三体。その内の黒刃は命令しても呪いを殺さない。呪い同士、仲間意識はないと言ってたのもコイツだけど、何か理由があるんだろうか。まあ大して興味ないけど。
だから亜儚か蝕衰に処理をさせる。アイツらならこちらが呪いの存在に気付くよりも早く対処するし。
「…便利よね、それ」
「どの辺が?」
「呪い同士でやり合うならこっちの手勢が死んでも痛手はないじゃない。ちょっとした護衛みたいなもんでしょ」
「そうだね。そんなものかもね」
傍にいると認識するだけでいつも腸が煮えくり返るほどの怒りを抱くことを差し引けば、私が熟すまでという期間までなら便利かもしれないね。
夢は未だに毎夜見る。夢を見せているのは亜儚だ。私にはまだそれを拒絶するだけの実力がない。幾度も死んで、殺されて。繰り返した前世より夢の中の死は更に多い。何千何万とあの呪霊に殺された。だからあの呪霊だけは絶対に、熟すより先に、そして一番最後に、———わたしの手で
「なまえ?」
「ん?なに?」
「いや、アンタこれでもかってくらい怖い目してたわよ。子供が見たらギャン泣きするくらい」
「まじでか」
咄嗟にぱしりと頬を叩く。大丈夫、まだ我慢できる。もっともっと呪霊共からアイツら自身を殺すすべを搾り取らないといけないんだから。
「それより早く行こ。野薔薇の買い物長いんだからすぐに昼になるよ」
「それもそうね」
それまでは隠して潜めて、その時まで殺意を磨かないと。
─────
「良いのが見つかってよかったね」
「付き合ってくれてありがと。それじゃ、大本命のアメ横に、」
〜♪〜♪〜♪
連絡先の登録者数からめったに鳴ることのないスマホから着信音が流れる。
「電話?出ていいわよ」
「いや…なんかすごい嫌な予感がするんだけど…」
「?」
恐る恐る相手の名前を確認すると画面には"五条先生"と表示されている。あぁぁ…絶対これ良くない用事だよ…。
「……はい」
『あ、なまえ?今野薔薇って一緒にいる?』
「いますけど…野薔薇に用事ですか?」
『いや二人に』
「…切っていいですか?」
『だーめ』
無慈悲な返事に顔を顰めていると、横から野薔薇がどうしたの?と尋ねてきた。
野薔薇を人気の少ない所に誘導して通話をスピーカーに変更する。スマホから聞こえてくる音声に彼女も先程の私と同じくゲッ、と顔を顰めた。
『今さ、悠仁と恵が僕のこと尾行してるんだけど、』
待って、それどういう状況?
『野薔薇となまえも買い物に出てきてるよね?』
アッ、なんかこのまま聞いてはいけない気がする。
「電話切らせてください…!」
『切ったら直接迎えに行くよ』
「ひぇっ…」
ダメだ、回避出来ない。虎杖と伏黒のアホー!
『僕、今日は1年の実習のスポット探ししてるんだよね。で、せっかく皆が街中に揃ってることだし今日挑戦させよっかなって。
地図を送るから指定地に今から来てね』
そしてこちらの返事を聞くことなく五条先生から電話は切られた。
「……野薔薇ぁ…今日はアメ横ダメっぽいわ」
「あんの、馬鹿共がぁぁあ!!!」
私達のアメ横食べ歩きツアーは楽しい楽しい実習に変更となった。
あの二人は私達と別れてからメイド喫茶に行ってたらしく、天使の輪っかと羽をつけメイドと一緒に写ってる写真を五条先生からハイご褒美、と渡された。褒美要素は欠片もないのだが、今日の腹いせに当分の間はこの写真でからかってやろうと強く心に決めたのだった。
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