じゅうさんわ
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
なまえが部屋に引きこもってから早一日。今朝もドアをノックしてみたが反応はナシ。動く気配はしたから寝ている訳ではなく、完全に居留守だな。無理やり連れ出してもいいんだけど、先日の件はちょっと、ほんのちょこっとだけ僕にも責任があるから強硬手段は取りづらい。
まあなまえが落ち着けば、2年達と1人ずつ交流出来る場を整えるのが妥当かな。
「──で?僕見ての通りちょー忙しいんだけど。何の用?」
「あの娘に入れ込むな」
すぅと何も無い空間から呪霊が姿を現す。高専の中だってのに堂々と出てくるとか舐めてんのか。というか結界をもっとマシなの張って欲しい。セキュリティがばがばじゃん。
今すぐここで祓ってやりたいところだけど、なまえの体質について一番詳しそうなのもこの呪霊なんだよね。
「それ以上フラクタスに近付けば執着は更に強まる。まだ軽度な内にフラクタスから距離を置け」
「はあ?お前何様だよ。そんなに今すぐ消されたいの?」
「あれは我らが望む方向へ成長している。だがその上でお前は少々近すぎる。拠り所は必要ない」
「何僕に命令してんだ。お情けで生かしてあげてんのがわかんない?最近自分達が近付きづらくなったからって死に急ぎすぎだろ」
「…そうか。呪術師、お前自覚しているな。以前より言動が攻撃的。なまえの周囲に蔓延るものを排除したいと考え始めている」
「……」
返事はしなかったが、呪霊の言葉の意味はわかってる。そしてコイツの察しの通り、僕はなまえへの執着が強くなっている。
これは恋慕でも親愛でもなく、所有欲だ。ふとした時に手に入れたくて、独占したくて堪らなくなる。理由もなくなまえの傍にいると、欲が膨らんでいく。
理解なんてしたくないが、呪いがなまえに纏わり付く理由はよくわかる。呪力の塊の呪い達では人間よりも彼女に惹かれるのだろう。
それも強い相手にこそ効くなんて、本当に恐ろしい性質だよ。
多分だけど、僕みたいな状況の奴が増えていったらなまえを巡る争奪戦でも始まりそうだ。呪いも術師もごちゃまぜで。
時間が経つほどヤバい体質だし、まだ高専では僕だけの内に対策を考えた方がいいな。力の強さの基準が曖昧だけど、呪力で言うなら憂太とかも結構危なそうだ。
「呪術師、何故黙る?沈黙は肯定とみなす」
「うるさいな。なんでお前の言葉に律儀に返さないといけないわけ」
「…これ以上の対話は無意味なものと判断。やはりお前では駄目か。
先の言葉は覚えておくといい。欲が深まれば縁は簡単に亀裂が入ることだろう」
僕の神経を逆撫でするようなことばかり残して呪霊は姿を消した。
それと、お前では、という言い方がなんか引っ掛かる。一応なまえのとこに確認に行った方がいいかな。
1/3ページ