掃き溜めにツル
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ここはカマバッカ王国。名前通り、言い方は悪いがこの国にはオカマばかりが生息している。
この国に移り住んで早数年。住み心地はとてもいい。隣人達のの容姿を気にしなければ、だけど。
初めの数ヶ月は新生活よりも濃すぎる顔面に慣れるのが大変だった。
しかし彼ら、彼女?……あの人達は心優しい良い人ばかりだった。カマだけど。
困ったら手を差し伸べてくれ、まるで妹が出来たようで嬉しいと一緒にショッピングだって行ってくれた。
他の人から見たら姉妹に見えるのかしら。ずるーい、アタシの方が良いお姉ちゃんなんだから!などと言っていたが………姉妹…お姉ちゃん…。良い人だとは知っているんだけど…その件に関してはどうも頷きにくい。
イワンコフさんだってこの国で1番偉い人な筈なのに恐れ多いことによく、いや週三くらいの頻度で来てるな。暫く国を空けてたけど、その反動か帰って来てからというもの、めちゃくちゃ遊びに来る。
しかし、うん…数年この国に住んで、絶対にここでは出来ないものに気付いた。この国じゃ出逢いもクソもねーわ。
だって皆カマなんだもの!普通の男がいないんだもの!ごめんなさいねェ!!普通の女で!
皆のことは人間としてすごく好きだよ?でも女1人ってアウェー感半端ないんだよ…。
「なまえちゃん知ってる?この国にまたニューフェイスが来たのよォ。それも結構イケてるオ、ト、コ♡」
「へえ…その人も可哀想に…数日もすればこの国に染まるね」
「やっだあ!それまでにハートゲットしてあたすのモンにしちゃえばいいのよォ!」
「……うん、そっか。頑張って」
頑張れ、その新しい人。逃げ切る、のは難しいかな。ここの人達めっちゃ強いし。
私もこの国に移住したばかりの時は逃げようとも考えていたけど、普通に無理だったなぁ。屈強なオカマが多すぎる。でも住めば都。あの時無理やりにでも逃げなくて良かったな、と今なら思える。
しかし新人の性別は私と違い男。……どうか心を強く持って欲しい…。
「そうだわ、なまえちゃんも一緒に行きましょう!」
「え"」
「だってぇ、あたす1人じゃ恥ずかしいんだもん」
「おい、やめろ。流石にだもんはキツい。
つか昨日まで1人で行ってたじゃん。周りにライバルという名のカマが沢山いるじゃん」
「でもでも!なまえちゃんは出逢いが欲しいっていつか言ってたでしょ?」
「数日後にはオカマになってる男との出逢いなんていらねーよ」
「もー!そんなんことばっか言ってるからモテないのよォ」
なんだとコラ。そもそもこの国じゃモテるモテない以前の問題でしょうが。
「それじゃあ、あたすは行ってくるから気が向いたらなまえちゃんもいらっしゃい」
「そうだね…気が向けばね」
その可能性は皆無だろうけど。
こんなふうにまだ男を保ってる勇者の元に1人のオカマが増えるワケだ。他の皆もさっきの彼…彼女のように考えてる人も少なからずいることだろう。
……本当に自分を見失わないで欲しいと願うばかりだ。
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