嫌よ嫌よはやっぱり嫌だ
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「なんであの野郎クビになんないのかな…」
木々の生い茂る森の中で耐えきれなかった不満が口からこぼれる。
「誰の話ですか?」
負のオーラを纏いながら歩いていた私の横からひょこりと現れ、顔を覗き込む元凶。どっから湧いて出やがった。それとてめえの話じゃボケ。
当の本人はまるで本当に分かっていませんとでも言うかのようにニッコリと話しかけてくる。はー、この結われた髪引きちぎってやりたいなぁ。
「こんなふうに顔見るだけで殺意沸くほどの奴なんてなかなかいないよ。逆にすげーわ」
「おや、もしかしてジブンのことでしたか」
「普通に考えてアンタ以外いないでしょうが」
例えなんの謂われもなく全く知らない人に張り手されてもコイツよりは余っ程可愛らしいものだ。もちろん張り手はし返すが。
「私はあんなにギンナンさんにこのサボり魔を解雇してやれって言ってるのになんでまだイチョウ商会所属してんだろ」
「優秀だからでは?」
「ほざけ。アンタがサボった分だけ私にお蜂が回ってるのにもっと発言権あってもよくない?クソ野郎の1人や2人辞めさせる権限とかさ」
「アナタが使えないからでは?」
「ぶち殺されたいのか。どうして私がこんなのの尻拭いなんか…」
「ご苦労様です」
はい殺意。身ぐるみ剥がしてオヤブンのとこに放り込みたい。
「それにしても随分大荷物ですね」
そう言ってソイツは私の背負った馬鹿でかいリュックと、後ろにいる荷物を抱えたポケモン達に視線を向ける。
「商会の商品補充だよ。野生のポケモンに対応できる人がしないとだしね。まあバトルが出来る人材って点ではお前の仕事でもあるんだけど!」
「荷物を持たせていては戦えないと思いますが」
おん?無視か?最後の一言は無視かコラ。
「ポケモンに遭遇した時にバトルする子には持たせてないから」
正確に言えば荷物持ちには向いてない子だが。
うちのガブリアス、ヌメルゴン、ゾロアーク、バクフーンは荷物を大人しく持っていてくれるけど、ゲンガーに関しては荷物を持たせたら最後、その荷物が無事なわけがない。というかこうして考えるとドラゴンとゴーストに偏ってるな、うちのポケモン達。
「そうですか。…あと毎度思うのですが、アナタのポケモン…全体的に大きすぎやしませんか」
そう、私のポケモン達は総じてデカい。拾った時は他の子より大きいな、程度だったのに、進化を重ねるとどんどん成長していった。
多分オヤブンだったけど進化前だと気付けなかったんだろう。揃いも揃ってオヤブンってどんな確率だって言いたくなるけど。
そしてそれに比例して食費も嵩んでいった…。体が大きい分食べる量も多いからね…。
ある程度は自給自足で補っているとはいえ、私はこの子達の食費の為に働いていると言っても過言ではない。
でもこんなふうに荷物を持ってくれる時は大助かりだ。商品の補充は私が主に担ってる仕事だけどこの子達が大きいお陰で1回でも多くの補充が可能だからね。
「いいでしょ、別に。可愛い子達の体が大きいってことは可愛いの体積が増えてるってことなんだから」
「……かわ…?いやその理屈も全くもって理解できないですが、それより可愛い?ゴツイの間違いではなく?」
「はあ?可愛いでしょうが!もし魅力を競う大会があればうちの子達の右に出るやつはいないっての。間違いなく上位はうちの子達が独占する自信がある」
「…親バカ」
おい、ボソリと小さい声で言ってもこんな近くにいるんだから聞こえてんぞ。誰が親バカだ。
進化前は可愛さの化身だったけど、進化してからは溢れんばかりの可愛さだけでなく格好良いも美しいも強いも兼ね備えた最高な子達だろうが。異論は認めん。
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