鏡越しの別世界
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時々だけど自室でどうも視線を感じる。兄に軽く相談してみたのだが、自意識過剰乙w、とふざけた返事をしてきたので金的を食らわせといた。奴には一回キツめの天罰が下ればいいと思う。
「自分でも考え過ぎだとは思うんだけど、やっぱなーんか気になるだよね…」
というわけで、今日はその違和感を調べてみることにした。いつまでもモヤモヤしたままなのは嫌だし。
しかし大掃除並に至る所を探して片付けたのだが、これと言って何も見つからない。やっぱりクソカス兄の言うように勘違いだったのかな…。
疲れてベッドに倒れ込めば、ヘッドボードに置いてあるイケメンの写真が目に入る。………?ここって鏡置いてなかったっけ?
こてりと首を傾げれば、イケメンも連動するように首を傾げる。
「う!?うごっ!!?」
「もしかして俺のこと見えてんのぉ?」
わあ、イケボ。顔が良い人は声も良いんだなぁ…ってそうじゃなくて!
「シャベッターーー!!!」
目の前で起こっているとんでもないことに叫びを上げ騒いでいると、愚妹ーうるせえぞー、とゴミクズが部屋に入ってきた。普段ならノックもしない非常識野郎を追い返すところだが今はちょうどいい。
「あああ兄!これ!見てこれ!モデルやらアイドルやらがじゃがいもにでも見えだしそうなくらいのイケメンがいるんだけど!」
「はあ?何言ってんだ。……あ、あーなるほど。いつも俺のこと脛齧りのクソ野郎とか生きてる価値もないのに酸素を消費する有害物質とか我が家最大の汚点とか色々言っときながら実は兄ちゃんのこと大好きだったってわけだな。久々にお兄ちゃんって呼んでもいいんだぜ」
へへっ、と照れながら鼻の下を人差し指でこする生ゴミに以前のように金的を食らわせ、死にかけのところを部屋の外に放り捨てる。汚いものを蹴ってしまった。
それにしても兄にはこのイケメンが見えないのか。
「痛そぉ。人間って股を蹴られると痛いんでしょ〜?」
やっぱこのイケメン喋ってるよ。私の鏡は一体何になってしまったんだ。
「聞いてんの?」
……夢かな!いやいやだって有り得ないでしょ。うん、夢だろ。
パタリと鏡面を伏せて置き、不可思議な現象をなかったことにする。だって夢だし。目が覚めたら忘れるか笑い話になるはずだ。
枕元から聞こえるイケボをBGMに夢の中で更なる眠りについた。
「ん、んー……いまなんじ…」
眠気の残る体を起こすと外はもう薄暗くなっている。昼寝にしては寝過ぎたな。
せっかくの休みだったのに今日は何もしてない気がする。昼寝の前は…あれ、どこからが夢だろ。イケメンが喋ったのは夢だとして、なんで鏡が伏せて置いてあるんだ?寝惚けてやったのかな。
元の位置に鏡を直すが、写っているのは自分の顔。よかった、やっぱ夢だったんじゃん。
「あ?また映ってんじゃん」
「コフッ…」
おかしいな…もしかしてまだ夢の中?さっきまで自分が写っていたはずなのに、今映っているのは昼間のイケメン。どうやったら覚めんだこの夢。
再度鏡を伏せようとしたが、絞められてぇの?、とドスの効いた声で言われるものだから断念した。どうやってだ、と聞きたいところでもあるけど、顔の整った人が怒るとマジ怖い。
未だに夢か現実か区別がつかないが、この日から始まった。気紛れな人魚との鏡越しの交流が。
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