8話
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体育祭、職場体験、期末テスト、と雄英は行事が続く。まあテストに関しては問題ない。中間の成績はクラスで4位。よっぽどサボらない限り赤点を取るようなことはないだろう。
困るのは演習試験。クラスメイトが入試のようなロボだと噂していたのが耳に入ったけど、念の為日課のトレーニングは少し増やしておこう。
そして筆記試験は終了し、演習試験当日。
誰もがロボ相手だと思っていた試験が変更となり、二人一組で教師一人と戦闘を行うこととなった。人数は奇数なので一組は三人のところがある。ペアや対戦相手は既に決定しているらしい。
私は三人の組で酸の人と電気の人がペア。しかし問題はそこではない。対戦相手の教師がネズミだと…!?私の配置だけ嫌がらせとしか思えない!!
「苗字さん苗字さん」
「…なんでしょう、ネズミ……校長」
「校長って言うまで間がなかったかい?」
「気の所為ですよ」
「まあいいよ。今回の試験は教師陣が重りのハンデを付けるから君のは外しておくようにね」
「アンタにそのハンデは意味ないだろ…」
「何か言ったかな?」
「何も。了解しました」
ネズミ直々に言われたので会場に向かうバスの中で手足に付けたウェイトを外す。常に付けてるものだから、無いと逆に違和感があるんだけどな。
「うわっ、苗字そんなん付けてたの!?」
「ええ、トレーニングの一環で」
「すごーい!しかも重っ!」
「慣れたら気になりませんよ」
「そんなもん?」
「はい」
「確かに苗字さんって筋肉ついてるよね。腹筋とか割れてたし!」
「マジか。意外だったわ」
その後目的地に着くまでの間、質問攻めだった。なんとも居心地の悪い時間だったな。
相手がネズミというだけで不安いっぱいで始まった演習試験。
予想通りと言うべきかネズミは高みの見物で建物を壊すことで着々とこちらを追い詰めていく。
ネズミの居場所はわかる。十中八九連鎖的に倒壊していく建物を辿った先の重機の操縦室だ。そこまで行くには遠回りするか、倒壊する建物の中を突っ込んで行かなければならない。
「お二人共、質問ですが逃走と戦闘、どちらがよろしいですか?」
「え!?なんか手があんの!?」
「ないです」
「「ないんかい!!」」
「ですがこのままでは時間だけが過ぎていきます。あのネズミは性格がクソ悪いので恐らくこれはただ手当り次第に壊してるのではなく脱出ゲートまでの道を封鎖していってるでしょう」
「マジ!?」
何より残り時間がそう長くない。それが一番の問題だろう。
脱出ゲートではなく、まだルートが残っているネズミの方を狙おうと提案しようとした時、邪魔をするかのように上から瓦礫が降ってくる。咄嗟にそれを避けはしたが二人と分断されてしまった。
「苗字ー!無事ー!?」
「問題ありません!」
「どうする!?どこかで合流する!?」
「現在地からでは合流すると制限時間ギリギリになってしまいます!このまま二手に分かれゲートではなく直接校長を狙いましょう!頭脳戦に特化していますが肉弾戦はからきしのはずです!」
「でも場所がわかんないよ!」
私もいるであろう場所は予測がついていても、倒壊していく建物を辿っての特定に少し時間がかかってしまった。
「…敷地の中央からやや西!そこから建物の倒壊が始まっています!その付近の重機に乗っているはずです!」
瓦礫の向こうから了承の意が聞こえ、走り出す。これ以上道を封じられると時間内には間に合わない。
二人と離れたことにより先程よりスピードを上げて目的の場所へと走る。ネズミはもちろん自分の所へなど近付けないよう更に倒壊の激しさは増す。だがそれはつまりこの道が正解だということだ。
一切臆することなく降ってくる瓦礫にも突っ込む。大丈夫、一人なら避けるのは可能だ。
目星をつけていた重機の近くに到着する頃にはネズミの動きも止まっていた。まあ居場所を自分から教えるようなものだしね。
取り敢えず一番近くの高い建物に上り周囲を見渡す。あの二人の姿は残念だが見当たらない。もしかしたら攻撃的な個性だからネズミに阻まれている可能性がある。
制限時間が迫っている。このまま単独行動にはなってしまうがネズミを何とかしなくては。
付近に重機は三つ。全てを回る時間はない。ただこの場所からなら建物の様子はよくわかる。倒壊の始まりとその壊れ方、向きなどから一つの重機に特定する。あの鉄球クレーンか!
下を走る余裕もないので飛び降りパルクールの要領で移動する。ネズミは自分の位置に気付かれたのを感づき、クレーンを操作して鉄球で攻撃を繰り出してきた。
それを鉄球の繋がっているワイヤーに捕縛布を絡ませ回避する。まだ捕縛布の扱いは拙いがこの程度なら出来る。そのままクレーンを伝い操縦室の外に降り立った。
扉には鍵が掛かっていたのでガラスを割ろうと試みたがヒビすら入らない。強化ガラスか何か?それにしては硬すぎるんだけど…。
「私はか弱い小動物だからね。サポート科からの協力で鉄板と変わらぬ硬さに透過性100%。そして厚さも相まって個性ナシの生身相手には絶対防御さ!HAHAHAHAHA!」
どこがか弱い小動物だよ!だけど良いこと聞いた。ガラスでないなら壊しても破片がそう飛び散ることもないだろう。ネズミに怪我させると簡単に死にそうだし。
懲りずに窓を殴る。殴る。殴る。少しずつ歪んで変形していく。
「エッ、待って、ちょっとストップ」
ガン、ガン、と殴りつける音が響く。拳の跡にどんどん凹んでいき、最後に思い切り殴りつければ腕が突き抜けた。
キャー!とネズミの叫びが聞こえたが、気にするまでもない。こちらにとっては好機だ。
内側から鍵を開け、ネズミを捕らえてカフスを取り付ける。
『上鳴・芦戸・苗字チーム…条件達成!!』
「この守りは芦戸さんがいないと破れないもののつもりだったんだけど、まさか素手で壊すなんてちょっとずつ人間辞めてきてるね」
うるせえ。
「だが勝ちは勝ちだよ。おめでとう!」
「…どうも」
あーーー……つっっっかれた!!!
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