7話
夢小説設定
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職場体験が始まる。私は体育祭で個性を一切使ってなかったにも関わらず指名が1件あったことに驚いた。ホークスって人の事務所から。…誰だ?
「相澤さ、…先生」
相澤さんと呼ぼうとしてギロりと一睨みもらったので、先生と言い換える。呼び名くらい誰も気にしないだろうに。
「あの私に来てた指名でホークスってどなたでしょうか?個性の使用をしてないのに指名されたってことは警戒した方がいいですか?」
「ホークスは九州で活躍しているNO.3ヒーローだ。それ以外の詳細は自分で調べろ。
それと相手はプロヒーローだ。警戒する必要はないが適度な緊張感は持っとけ」
「了解です」
「苗字」
「はい?」
相澤さんは学校と家で苗字と名前の呼び分けが出来ててすごいと思う。ごちゃ混ぜにならないんだろうか。家で名前を呼ばれる機会は最近ほぼないけど。
「俺の監視下から離れるとはいえ、個性は非常時以外で使うなよ」
監視下、ね。まあその通りか。
「わかってますよ。それが相澤さんの指示ですから」
「先生だ」
「あ、はい」
細かいなぁ。
体育祭のトーナメントで当たった影の人と体験先の職場が同じだったらしく、福岡まで新幹線で一緒に来た。クラスメイトと大して親しくないこともあり、長時間隣の席に座っているのは多少気まずかったが、着く頃には結構打ち解けれた思う。彼のヒーローネームはツクヨミと言うらしい。今回の職場体験中はそのヒーローネームで呼ぶ予定だ。
そして影の人の個性は腹話術ではなかったみたいだ。影が喋るとか今更ながら個性ってなんでもアリだな。
駅からはサイドキックの方が迎えに来てくれていたので、その人の案内で迷うことなく事務所に着いた。
「苗字名前です。ヒーロー名は決まってません。よろしくお願いします」
自己紹介をしながら鮮やかな赤の翼を持った男性に頭を下げる。相澤さんは警戒はいらないと言っていたが、どうして私を選んだのかくらいは知っておきたいのを理由にこの指名を受けた。
まだ期間も十分残っているのだからのんびり探っていこうと考え職場体験に勤しんで数日後、ツクヨミも自分が選ばれた理由を知りたいらしく単刀直入にホークスへ問い掛けた。
「鳥仲間と、そっちの子は…なんとなく?」
答えるんだ!?探りを入れる必要すらなかった。
しかしその答えには納得出来ない。私の理由を言うのにほんの一拍ほど空いた合間。理由はなかった?なら他の人の方がアピールポイントがあったのだから、私を選ぶのは疑問が残る。
そうなると私の指名は誰かの指示という線が濃い。それなら選んだ理由を濁すのも納得が出来る。
雄英関係者ではないだろう。要監視対象の私をわざわざ雄英から離れた九州にやるのは悪手だ。そうなると可能性が高いのは…。
「公安…?」
「───」
ピタリと笑みを浮かべたままホークスの顔が一瞬だけ固まる。これはビンゴかな。
「公安がどうした?」
事情を知らないツクヨミがこちらを見て頭を傾げている。
「いえ。ちょっと別のことを考えてしまっていて、つい口に出てしまいました」
「そうか」
「硬っ苦しいこと言う気はないけど、話は聞き逃さないようにね」
「はい、すみません」
切り替えが早いな。まあバレた以上どうにも出来ないだろうしね。
私としては指名された訳を知りたかっただけで監視されるのはいつもの事だから気にしないで欲しいんだけど、口にしたら余計警戒されるかもしれないしこれ以上は黙っておこう。
取り敢えず険悪な雰囲気にはならずに安心した。
早速パトロールについて行くことになり共に歩いているのだが、異変を発見した時にはもうホークスが羽を動かしていて解決へと向かう。さすがNo.3のヒーロー。全てにおいて対応が早い。しかもそれが雑談しながらの片手間で済ませているから尚更だ。
「なんていうかずっと思ってたんだけど二人共さ、黒いよね」
それは思った。私もツクヨミもコスチュームがほぼ黒だから仕方ないんだけど。
「子供からしたらちょっと怖いかもしれないけど、こういうのは慣れと知名度だから。というわけであそこで泣いている子が多分迷子。親を上からパパッと探してくるんでその子宥めといて」
「えっ!?」
全く話の繋がりのない突然の指示にツクヨミが困惑の声を上げる。しかしホークスは気にすることなく空へと舞い上がって行った。
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