17話
夢小説設定
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「風邪だね」
「風邪…?正式名称が風邪症候群。上気道の急性炎症の総称。ウイルスが粘膜から感染して炎症を起こす為、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、のどの痛み、咳、たん、発熱といった症状の病気で間違いありませんか?」
「辞書でも丸覚えしてんのかい」
「そういう訳ではありませんが、初めてなりました」
「そりゃ随分と健康優良児だったんだね。ほら、無理じゃなければペッツをお食べ」
「ありがとうございます」
寝起きから体調がどうもおかしく、1限目の英語の授業の前に山田さんに一声かけて保健室へとやってきていた。そしてリカバリーガールから風邪だと診断されたところだ。
なるほど、これが風邪。頭痛に寒気にあと吐き気。発熱によって朦朧とする視界。声が枯れているのは喉頭の炎症が原因だろう。
絶不調ではあるものの、初めての体験は興味深くもある。
「熱も高いし今日は早退して部屋で大人しくしておきな」
「いえ。授業に出ます」
「保健医の言うことはちゃんと聞くべきだよ」
「大丈夫です。問題ありません」
「他の生徒に移されても困るだろう」
「大丈夫です。問題ありません」
「…聞いてんのかい?」
「大丈夫です。問題ありません」
「ダメだね、こりゃ。イレイザーを呼んできてやるから大人しく待ってるんだよ」
リカバリーガールが席を立ち退室する。む?私の言ってたこと聞こえてなかったんだろうか?取り敢えず遅れるとしか伝えていないし無断欠席するわけにもいかないから教室に戻るか。
フラフラとした足取りで1-Aの教室を目指す。何故だか普段より道のりが遠く感じる。これも風邪の症状?なんとも不思議だなぁ。
「すみません、遅れました」
「随分遅かったな!まあ問題ないなら途中からだがしっかり受けとけ!」
「はい」
「て、待て待て。こっちは教卓!お前の席じゃないぜ?本当に問題ないんだよな?」
「山田さんちょっと声が大きいです…」
「プレゼントマイクな!Repeat after me?」
まさか大きい声がここまで頭に響くとは。他の人はこんな症状に何度も耐えてきたってこと?なにそれ勇者じゃん。
どうにか山田さんの声を止めようと関節技をきめて黙らせてみる。何故かクラスメイト達が苗字がご乱心だ!と騒いでいるけど、私は至って普通である。だいじょうぶ、もんだいない。山田さん風に言うならのーぷろぶれむ。
ギブギブ、と山田さんが腕を軽く叩いているのには気付かず逃げられないように締め上げる。なんか通常時よりあんまり力が入っていない気がするな。体調が悪くない時ならもっと早く落とせるはずなのに。
あれ?私なんで山田さんを落とそうとしてるんだっけ?ああ、でも体調最悪なのに思考はフワフワしてる。
「苗字」
「相澤さん…?いつからいました?全然気付きませんでした」
「マイクを放してやれ」
「ん、はい」
相澤さんがそう言うなら仕方ない。完全に不要物と化した山田さんをポイと床に投げ捨てる。
「症状はバアさんから聞いてる。大人しく寮に帰れ」
「しかし今日は午後からインターンに関しての説明があると聞いています」
「そんな状態で教室にいられたら周りが迷惑するだろ」
「そんな?多少体調は悪いですが日常生活に異常はありません」
「…フラフラ揺れてるが」
相澤さんが揺れてるのかと思ってたけど、もしや逆…?私の体幹そんなに貧弱だったっけ。
というか相澤さんが3人になってる。クローンか何かだろうか。非現実的なのならドッペルゲンガー?いやそういう個性なら有り得るのかも。そんなことを考えてたら5人、6人と増えて……。
「きゅう…」
「苗字がしんだーー!!」
そこからの記憶はなく、私は丸2日寝込んだらしい。風邪って怖いね。
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