2話
夢小説設定
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ヒーロー基礎学の時間がやって来た。担当するのはオールマイト。その姿を見てクラスメイトは沸き立っているのだけど困ったことに同感がどうしても出来ない。別にファンでもないし、彼の活躍もよく知らないし。デカイな、ってくらいの感想しかない。
どうしよう、これは普通ではないのだろうか。普通にヒーローを目指す子供はオールマイトに憧れるものなの?教えて、相澤さーん。
「苗字さん!」
「へ!?あ、はい。なんでしょう」
「もう少しで戦闘始まるよ!作戦とか立てないと」
不味い、全然話を聞いてなかったどころかボケッとしてる間に自分のチームの番になってた。
「今個性を話し合ってたんだけど、苗字さんの個性って何?」
「あ、私個性は──」
『START!!』
あちゃ、説明する前に始まってしまった。まあこの部屋に来るまで時間が少しはかかるだろうからその間に言おう、などと考えていたら瞬く間に辺り一面カチコチに凍って冷ややかな空気へと変わる。同じチームの透明な人と尻尾生えた人も私と同じく足を凍らされて身動きが取れない状況だ。
そんな中、おそらくこの建物を凍らせた個性の人が部屋にやって来た。めっちゃ早いね。もしかして走った?
「動いてもいいけど足の皮剥がれちゃ満足に戦えねえぞ」
「そうですねぇ」
「!?」
その意見に同意しながら血の滴る足で回し蹴りをしてみたのだが残念ながら避けられてしまった。
「うーん、やっぱり痛みがあるとどうしても動きに躊躇いが出てしまうな」
その場で試しに何度か跳んでみると刺すような痛みが足裏から走る。何とかブーツは無理やり脱いだけど、思いっきり皮がベリッていったもんなぁ。
どう攻めるべきかと悩んでいると氷塊が目前まで迫る。それを跳躍で避けて、氷塊を足場に横へ跳んで壁を数歩走り、上から殴りかかったが氷で防がれる。氷に罅は入るものの破壊までは出来なかった。
「増強系か」
増強系?はて、何のことだろう?
「よく痛くないな」
「痛いですよ。お陰で本来の半分くらいしかスピードが出ないです」
「それで半分か…」
チームの二人は動けなさそうだし、私が彼をどうにかしないと勝つのは無理そうだ。仕方ない、痛みはちょっとくらい我慢しよう。
トントンと軽くステップを踏み、痛みを堪えて一気にヒーロー役の人の懐に入る。そういえば結構反応鈍いけどこの人も本番苦手なのかな、なんて呑気なことを考えながら彼の脇腹に拳を入れる。ミシリと骨の軋むような音を立て壁へと叩きつけた。
「やっぱ殴るとなると踏ん張る時に足の痛みが気になって威力落ちちゃいますね」
「ぐ、ごほっ…!」
それに拳が当たる寸前に氷を出してたようで勢いが少し弱まったというのも原因かな。随分と個性の扱いが上手い。
彼は私から一度距離を取ろうと自分の周囲に氷の壁を作り出した。これを壊すのは骨が折れそうだ。蹴りならなんとかなりそうだけど、今は足がこの状態だしなぁ。
仕方ないので破壊は諦めて、近くの氷塊に腰を降ろし彼が出てくるのをのんびり待つことにした。時間さえ来てしまえばこちらの勝ちだし、タイムリミットまでには出てくるだろうからその時何とかすればいい。
「苗字さん、足大丈夫なの…?」
足跡でしか何処にいるか掴めない透明な人が心配そうに聞いてくる。
「大丈夫、とは言えませんけどこの程度なら死にはしませんよ」
「だからと言って無茶しすぎじゃ」
「そうですか?」
ううむ、無茶の定義って難しい…。
軽い雑談をしていると放送から『ヒーローチームWIN!!』と流れる。エッ、何故に。
慌てて核を振り返ったらもう一人のヒーローチームの人が核に触れている。失念してた、窓からか。
あーあ、負けちゃった。ちょっと不貞腐れていると怪我人は保健室に、と担架で運ばれて行く。別に自分で歩けるんだけど、担架に乗って移動って地味に楽しい。
リカバリーガールにパパッと怪我は治してもらえて教室に戻った。教室では訓練の反省会をしていたようでわちゃわちゃと騒がしい。よし、帰ろ。
皆が別の話で盛り上がってる間に鞄を取ってさっさと退散する。そういえば今日の対戦相手、殴った箇所の骨は大丈夫だろうか。ま、問題あったら自分で保健室にでも行くかな。
その日の夜、戦闘訓練のVを見た相澤さんから色々とダメ出しを食らったのだった。
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