15話
夢小説設定
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今日はついにヒーロー仮免許取得試験当日。この日の為に特訓した成果を発揮しなくては。
と言ってもこの数日で一番頑張ったのってクラスメイトの名前を覚えることなんだよね。さすがに今更になって聞けないから授業で指名されたり、会話の中で名前が出てくるのを待ったりなど。不安だったので緑谷くんに最終確認をしてもらいOKが出たので、無事全員の名前を知れて一安心だ。
会場に着くと隠してはいるが多くの視線が集まる。TVなどに出ている分知られているのは仕方ないかもしれないが、気分の良いものではないな。
しかしその感情は驚きに上書きされた。相澤さんって求婚されてたの…?もしや私が家に居座ってるのが問題なのか…。どうせ今は寮なんだし、ネズミに相談して相澤さんの家から出る方向で考えた方がいいのかな。
そんなことを考えていると後ろから少し強めに叩かれる。
「試験前に余計なことを考えるな」
「いやでも結婚…」
「即効拒否してたのが聞こえなかったのか」
「照れ隠しの可能性は」
「ない」
勘弁しろとでも言いたげな顔で否定しているので多分本当に結婚する予定はないのだろう。
まあでも相澤さんの年頃なら結婚の話題がいつ出てもおかしくないし、心の準備だけはしておく、ってことで結論づけてあとは試験に集中しよう。
第一次選考が始まった。
3つのターゲットを体にセットし、その全てに当てられたら脱落。逆に二人脱落させ、先着100名の中に入れたら通過。
一人に与えられたボールは6つだから、混戦になってる所を狙うか、二人狙いを定めて集中的に潰すか、かな。
ボールを受け取り団体からさっさと離れる。あそこじゃ確実に狙われるわ。
緑谷くんが何か言ってた気もしたけど、よく聞こえなかったから後で聞こう。
いいカモがいないかと探していると、隠れながら行動していたにも関わらず数人から奇襲を受けた。どうやら単独行動に移った時から目を付けられていたようだ。
「大した個性じゃない雄英生のカモはっけーん!」
お互いにお互いをカモだと思ってるなんて、なんか変な感じだな。
体育祭の時の情報しかないなら私はクラスメイトより有利な状況ってことか。一緒に行動して協力した方が良かったかな?今更だけど。
「六人か…困ったな」
「なんだ?天下の雄英様のくせして随分弱気じゃん」
「あ、いえ。そういう意味ではなく。脱落させる二人は誰にするべきか決められない、という意味です」
その挑発に面白いくらい簡単に乗ってくれ、襲いかかってきた六人全員を地に沈める。
「う、そだろ…」
「体育祭の時より強い…っ」
「まああの頃は色々制限がありましたし。今は自由がありすぎて戸惑うんですけどね」
誰にするかは決められなかったので取り敢えず自分の近くにいた二人にボールを当てて一次選考を通過した。選択肢が多いってのも考えものだなぁ。
まだ人数の少ない控室を見渡すが、クラスメイトの姿は見えない。それから暫く待ち、半分切ったのにまだ誰も来ない。全員通過を目指すなら人数的にそろそろ来ないとヤバくないか…?
54人目になってやっと氷の…えっと、あー…と、と…そう轟!くんが控室にやって来た。
「早いな苗字」
「私の個性は皆さんと違って知られてないのでそのお陰ですよ」
「? でもお前個性使ってないだろ」
「…何故それを?」
「手袋。触れる場合は素手じゃないといけねえし、図式?は使い捨てだって言ってたのにまだ図式描いた手袋をしたままだから。もし使ってたなら二次選考の内容聞いてないのに新しいのつけてんのはおかしいだろ」
「なるほど」
個性を把握されてるとそういうとこも考察されるのか。別に味方なので構わないんだけど…手袋片手だけにしとこうかな。
轟くんとお互いがどんなふうに戦闘したかを話しているとチラホラとクラスメイトが増えだした。しかし残り10名になって控室に来てない人があと9名。ここからじゃ会場の様子は見えないし不安だ。
…不安?他人のことなのに今私不安に思ってるの?自分に訪れた小さな変化に違和感を感じているうちに一次選考が終わりを告げる。ギリギリではあったがどうやら1-A全員一次通過出来たようだ。
それを知った時の安堵も、先程の不安も、私はまだその感情の正体はわからなかった。
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