13話
夢小説設定
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必殺技ねぇ?相澤さんからは家庭訪問の後から個性の使用許可が出たんだけど、私が間違えたらまた禁止になるだろうし、少し慎重に考えないといけない。
少なくとも多重帰還雷撃はダメだ。威力は抜群なんだけど、ヒーローは相手が敵でも殺しをするなって言われたから。
個性が使えるなら他にもアイデアは幾つもあるものの怒られる基準が曖昧だから確認は必須だな。
「惚ケテイル暇ガアルナラ実践ニ移スヨウニ」
「あ、はい。…あの必殺技に出来そうなものは幾つかあるのですが許容範囲がわからないのですが」
「許容範囲?」
「個性の使用で叱られたことがあって…どの程度までなら許されるのかなと」
「フム。デハソノ時ドンナコトヲヤッタカ再現スルノハ可能カ?我々教師陣モ君ノ個性ニ関シテハアマリ把握出来テイナイカラ」
そう言われ相澤さんを方を確認するとこくりと頷いていたのでOKということだろう。
コートの中からチョークを取り出し地面に図式を描いていく。林間合宿の時は急だったこともあり足で土に描いたから簡略化していたけれど、今は急ぐ必要もないので丁寧に仕上げて発動させた。
その雷撃は一撃一撃が館内に轟音を響かせ、照明よりも眩く青白い閃光が下に上にと走る。エクトプラズムの分身はとっくに消えていた。
「………ヨシ、禁止ダ!」
「了解です」
やった意味ね。
「俺の…俺の専売特許が…っ!」
後ろの方で電気の人が膝から崩れ落ちて、小さい人が隣で肩を叩き慰めている。
「あの威力でウェイってならないからあっちのが上だぜ」
やっぱ慰めてないわ。むしろ追い討ちかけてる。
「他ハ何ガ出来ル?」
「他の方の個性を参考にするなら氷や炎を出すもの可能ですし、爆破も出来ます。そういうのは図式が必要となるので予め記入した物を所持しておくか、その場で描くのが必要となります。
あとは触れることにより既存の物体の形を変えたり、化学反応を起こしたりすることでしょうか。こちらは図式は必要ありません。
原子配列や電子をいじるのもやろうと思えば出来ますが、私の個性の使用は理解、分解、再構築が大前提となりますので知識が足りなければ成り立たないのが難点かと。
あと触れる場合は素手で。図式は使い捨てになります」
「知識量ガ重要トナッテクルガ応用性ノ非常ニ高イ個性ダ。先程幾ツカアルト言ッテイタ他ノ候補ハドンナモノヲ考エテイル?」
「私の場合、知識が必要となります。逆を言えば知識があればどうとでもなる。例えば──」
セメントスが作った足場の一つを人がいないのを確認してから形を変形させる。何度か変形を繰り返した後、再構築はせず分解でその場のセメントを消し去った。次に近くにあった氷の塊に触れると、氷は溶けて水へと変わる。最後に創造の人が作った鉄材を拾い銃へと変えた。
「こんな感じで構成元素の知識を身に付けていれば他人の個性を利用することも出来るので、敵の個性によってはジャンケンの後出しみたいなことが可能かと考えてるんです。
他の候補は敵を閉じ込める火柱とか、周囲の状況次第では巨大な物量で押し潰したり、地面を分解して深めの穴に落としたり、少し下品ですけど服を分解して恥じらいを利用して動きを止めたりなどですかね」
「………」
「? エクトプラズム?」
「口出スコトガ無サスギテ困ッタ。モウ自習デイイカ?」
「いや困ってたので相談したの私の方なんですが!?」
多少加減を覚えないといけないけど一応相手が死なないようなことで考えたはずだ。でも後になって怒られるようなことになったら困るんだが。
「強イテ言ウナラ君ホドノ身体能力ナラソレヲ踏マエタ必殺技ガアッテモイイトハ思ッタ」
私の身体能力?こんなにも平均的なのに?それを踏まえてってどういうことだ?
頭の上に沢山?マークを浮かべていると、相澤さんにちょっと来いと呼び出される。
「なんでしょう?」
「いや…勝手に気付くもんだと思ってて放置してたんだが…」
え、何その前置き。怖いんだけど。
「お前のフィジカル面は普通じゃない。相手も個性ナシでならプロヒーローにも余裕で通用する」
「…?……!?!?」
待って。待ってストップ。私って普通じゃないの!?ずっと普通だって言われてきたのに!?
「じゃあ私って処分ですか…?」
「なんでそうなる」
「だってネズミ……校長が普通になれって」
「ああ、あれか。優れている分は構わないだろ」
突然のカミングアウトにちょっと頭がついてかない。つまり私は体力面では結構優れてたってことでしょ。なら今まで生徒達が本番弱いものだと思ってたのは勘違いだったのか…!
衝撃の事実…。私以外は皆、本番弱くてしょっちゅう集団食中毒になってんのかとずっと思ってたのに…。
良いお知らせなんだろうけど…喜ぶべきなんだろうけど…、マジかぁ…。
「ってことだから今後はその認識でいろ。いつまでも卑下されてると面倒だから」
「…はい」
気付かなかったのは私の失態だ。だけどさ、私に誤った認識植え付けた相澤さんと山田さんにも問題があると思うのは私だけでしょうか。
必殺技はある程度考えられたが、心にしこりを残して授業は終わった。相澤さんはさて置き、次から不自然な山田さんはもう少し疑うことにしようと誓った。
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