9話
夢小説設定
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休日は基本朝から晩まで適度に休憩もしつつトレーニングに勤しむ。たまには外に行けと相澤さんから言われるが、ランニングの時は外出するし、何より彼にだけは言われたくない。
林間合宿前に買い物に行こうと誘われたものの、お小遣いだと私に渡されているのは相澤さんのお金だし特に買い足したい物もなく丁重にお断りした。
日が落ち涼しくなってきたので、そろそろランニングに行こうかと考えていたところで携帯の着信音が鳴る。
「もしもし」
『今どこだ』
「家ですけど」
『今日は外出をするな』
「…何故でしょうか」
『お前への指示全てにおいて理由が必要か?』
「すみません、失言でした。もちろん理由などなくとも相澤さんの命令には従います」
『それじゃ、そういうことだから』
用件だけ伝えプツリと通話が切られる。…室内で出来る別メニューをやるか。頭を切り替え筋トレを開始する。
相澤さんの機嫌があまり良くなさそうだったから今日の夕食は簡単に済ませられるものにしておこう。
────そして日は流れ、夏休みの林間合宿当日となった。
合宿所へ向かうバスの中、クラスメイトはガヤガヤと沸き立っている。これは…相澤さんが隣で助かったかもしれない。
暫くして休憩だとバスから降ろされた場所でプロヒーローが現れ、合宿施設まで自力で辿り着けと個性による土雪崩で押されて崖下へと落とされた。
魔獣の森と呼ばれていたここに現れるのはまさに土の魔獣。だが所詮は土塊、大した強度はない。ロボよりは壊れやすい。障害がこの程度なら先程指定された山のふもとまで3時間で向かうのは可能だ。
しかし、うん。何故か全員まとまって移動しているわけだが先行して進むのはまずいだろうか。正直に言わせてもらうと、進むペースが遅い。こんな時すら本番に弱いのか。というかそろそろ直した方がいいと思う。
土の魔獣一体一体は壊すのは難しくないし、固まっているから全員がまとめて狙われる。各々で対処出来る程度に戦力を分散して敵の目を撹乱させるべきだと思うんだが。
ただ意見を言えとも、一人先行していいとも指示されていないので口を閉ざし足並みを揃える。
道のりの半分くらい過ぎると、チラホラ目に見えて疲れている人が現れる。走り始めは先頭が誰だと競っていたがどんどん口数も減っていき、ペースも落ちていた。
「………。一度、休憩を入れますか?」
自分から発言するのは酷く迷ったものの、このままでは辿り着く前に脱落者が出ると判断し、意を決して提案をする。
「あ!?もう3時間とっくに経ってんのに休憩なんてしてられるか!」
爆破の人は疲れても噛み付く余裕はあるようで、すぐさま言い返してくる。うっ…反対されるとそっちに従いたくなるんだが、疲れ切って到着しないより休憩を入れた方がマシなはずだ。多分。
「爆豪落ち着けって!苗字の言うように少しは休憩した方がまだ進みも早くなるだろ?」
硬化の人が爆破の人を宥め、周りに警戒しつつ休憩とる、ということになった。
「私は周囲に水場がないか探してきますね」
「苗字、さん…っは、大丈夫なん…?」
「? はい、問題ありません。ゆっくり休憩なさってください」
クラスメイトから離れる際に迫っていた魔獣の顎を蹴り上げ破壊してから探索へと向かう。休憩をするならやはり水分補給をしなければ、この暑さとペースでは合宿施設に着くまでに脱水症状を起こす人がいてもおかしくない。
木の枝から枝へ跳び移りながら湧き水でもないかと周囲を探す。少し集団から離れすぎたから一旦引き返そうかと思ったところで、耳が水音を拾った。
音のする方へ向かい見つけたのは整備された水場。所有地と言っていたから整備されている以上飲用だろう。一応自らが飲んで確かめる。味は問題ナシ、彼らを連れてくるまでに私に異常が出なかったら大丈夫だろう。
少し遅くなってしまったがクラスメイトのいる場所まで急いで戻る。
「お待たせしてすみません。飲用出来るであろう水を発見したので移動は可能ですか」
「水あったの!?」
「する!移動する!」
喜びを示す彼らを見つけた水場へと案内する。
「一応飲んでみて大丈夫だとは思いましたが、完全に安全性を保証は出来ませんので」
「見つけてくれただけでも助かった…!」
「本当にありがとー!」
「サンキュー苗字!」
「…いえ」
お礼の言葉は慣れない。彼らの感謝を軽く流し、周囲の警戒に移る。全員の水分補給が済んだらまた出発だ。
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