裏切りバンシー
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※夏油生存if
「ごめんね、ごめんね…っ。ごめん──五条くん」
召喚した魔虚羅が五条くんを攻撃する。魔虚羅じゃ五条くんは倒せない。でもさすがの五条くんも魔虚羅を破壊するのは一筋縄じゃいかない。
魔虚羅はただの足止めだ。私が、夏油くんを連れて逃げる為の。
満身創痍の夏油くんを抱えて走って走って走り疲れて、高専の包囲網から抜けた。私は裏切ってしまったけど元1級呪術師。彼らの行動予測くらいは出来る。
玉犬が一匹消え、満象も消えた。でも他の子はまだ残ってる。すぐさま無事な式神の顕現を解く。
残穢を残すような真似はしない。絶対に追い付かれるわけにはいかないから。
「……私を助けて後悔しているのかい」
俯いて顔を手で覆い、その指の隙間からボロボロと涙をこぼす私に夏油くんがそんなことを聞く。
顔を上げて彼を見ると酷く悲しそうな表情をしている。
「悟を裏切りたくなかったんだろう。硝子の傍を離れたくなかったんだろう。なのに貴方は私を選び助けた。
私が好きだと言ってしまったからか?だからなまえはそんなにも悔いる程、」
「夏油くん」
彼の言葉を遮るように名前を呼ぶ。だって違うんだよ。君の推測は違う。
「私は、君を助けて後悔はしていない。ただ私が君に死んで欲しくなかっただけなの。君を失いたくなかっただけ。
苦しいよ、辛いよ。でも私は後悔なんてしていない。お願いだから、あまり自分を過小評価しないで…」
「なまえは考えなしだから何一つこれから先を予測していない。高専が守りを固めている硝子には会えなくなる。君ほどの実力者なら悟が任務に当てられる。悟が、君を殺しにくるんだ」
「そう、だねぇ…。でもね、私は決して叶わないのは知っていても、実現はもう不可能だと頭では理解していても……どうしてもまた、君ら三人が笑い合う光景が見たかった…っ。夏油くんが欠けたら、出来ないでしょ…」
「───、相変わらず馬鹿だな…もう、無理だよ」
知ってる、知ってた。それでも私は願ってしまった。そんな無謀な未来を。だから──
「生きて。生き延びて、幸せになって、笑って…?君らのためなら、私は…っ、なんだって出来るから…!」
いつか、いつかと。そんな叶わぬ明日を、ただひたすらに望むんだ。
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