20話
夢小説設定
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「なまえ…一生ついてかせてください!!!」
「あ?」
「聞いてへん!聞いてへんで!先輩らと勉強とか!ありがとうございます!!あ、やべ鼻血が」
畳に鼻血を垂らしそうになった友澤をみょうじが縁側に蹴り出す。先輩らと勉強会って時点で気付くべきやった。ご近所迷惑になってへんやろか。みょうじの家が屋敷って言ってええレベルで大きかったのがまだ幸いやな。
「みょうじ、あの子大丈夫なん?」
友澤の態度に少し怯えた様子の銀さんがみょうじに話しかけている。正直に言わせてもらえばダメだと思う。
「まあ、うん…そっすね。……喋るオブジェくらいに思ってもらったら。なんかあったら理石が対応するんで」
……え、俺!?嘘やろ、という顔をしていると友澤と同じ縁側に追い出されるた。
今日の友子の制御役はお前にかかってる、頑張れ、って応援されても俺には荷が重いんやけど…!
同じ机で勉強というのが難しい友澤のことを考慮したのか、みょうじが仕方なく別の部屋から居間に机をもう一つ持って来て二年と一年でわける。
そうして勉強会が始まったわけだが……最初は良かった。最初は。
開始から15分程度経って、侑先輩が全員馬鹿やのに教え合うとか無理やん、と愚痴を言い出して、それに治先輩が賛同し、双子に釣られた友澤までも騒ぎ出した。
「こんなん何の意味があるんや。俺は本番にこそ強い男や」
「よう言うた
「奇遇ですね!あたしも実はそう思うてたんです!」
おもむろにみょうじが机の上にあった消しゴムを振りかぶると、侑先輩の額に吸い込まれるかのように飛んで行った。
その直後、居間に静けさが戻る。先輩らはピシリと石のように固まり、興奮し立ち上がっていた友澤は一瞬の間に座って勉強するフリまでしている。なんつー変わり身の早さや…。
「理石。友子見てろ。私はあっちの二年組を監視してるから、わからないとこは後でまとめて聞きに来い」
「イエッサー」
長い物には巻かれろ、という諺がちょうど参考書の開いたページに載っているが、その通りやなぁ…。昔の偉い人は世の中の渡り方をようわかってるってことを学んだわ。
──────
「銀さん、そこスペルが違います。まだ単語の問題なんでいいですけど、文章問題だと結構点引かれますよ」
「おう」
「角名さんはその証明順序が逆になってますね。因数分解より先に代入しないといけないかと。証明は部分点はもらえますが、配点が高い問題なので出来れば正解しときたいですから、最後に矛盾点がないか確認は必ずしてください」
「わかった」
「…んで、なんで普通に教えてんねん…。これ二年の内容やで?二年のは出来ん言うてたやん」
「全部は無理ですよ。基礎的なことなら」
中学の時に軽く触れてたから出来るだけだ。水戸良は中学受験があるくらい偏差値の高い学校だったし、それに比べれば今回のテスト範囲くらい楽なものだからな。かと言って手を抜くわけじゃないけど、二年の教科書を見ながら教える余裕がなくもない。
「配点のことまで言っときながら?なまえちゃんの基礎の範疇広すぎるやろ」
「そうですか?授業聞いて教科書読んでれば誰でも出来ますよ」
「北さんタイプや!俺らの敵や!」
「うるせえ」
「はい…」
事ある毎に騒ぎ出す宮先輩(金)を一喝すればしゅん、と静かになる。何か喋ってないと死ぬ病気なのか、この人は。
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