18話
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「なまえなまえなまえー!!!」
突進してきた友子をひらりと回避する。イノシシかよ、コイツは。
「うぜぇ」
「せやかて、球技大会楽しみやん!」
球技大会ねぇ…。文句言われない程度にやっとけばいいかなって思ってたんだけど。友子のテンションに着いてけないわ。
「そうでもない。というか種目選んだ覚えがないんだけど」
「あれ、言うてなかった?なまえが前に部活のことで昼休みに外した時にクラスで話したんやわ」
「昼休みに話すなよ」
「いやぁ担任が忘れとったらしく急ぎやったから」
大概適当だな、あの担任も。いっぺんどっかで痛い目見ればいいのに。
「で、私は何に出ればいいの?」
「バレー」
「は?」
「バレーや、バレー。バレーボール。所属してる部活は禁止なんやけど、マネはOKらしくてな?バレー部やしルールも詳しいやろ。うちのクラス、授業でやった程度のバレー初心者ばっかなんやわ」
こんの…!……馬っ鹿。ピンポイントで地雷を踏み抜いてきやがる。わざとか?実は知ってんのか?
「友子…とりあえずぶん殴っていい?」
「なんでやねん!」
はー、もうコイツなんなの。余計なことしかしない天才かよ。少しでもの腹いせに前髪ちょんまげにしてやろう。
「聞いたで。アンタ、バレー選択したんやろ」
ニヤニヤと嫌らしい笑みを浮かべながら先輩らしき女子が話しかけてくる。またかよ、めんどくさ。
「それが何か?」
「球技大会は毎回トーナメントやから、一回でも敗けたらバレー部辞めえや」
「それ、言うこと聞く必要ありますか?」
「マネージャーでもバレー下手くそなんがおったら邪魔なんじゃ!部員の為を思うなら当然やろ?」
聞くに耐えないな、この人の言い分。まずバレーは個人技ですらない。クラスメイトと一緒にやるのに私の勝敗とかないでしょ。馬鹿馬鹿しいにも程がある。
「拒否してみいや、次は普通の水じゃ済まさんで」
興味が全くないので返事をしないままその場を去ろうかと思ったら聞き捨てならない言葉が聞こえた。
「…あの水掛けたの貴方ですか?」
「うち以外にもアンタのこと嫌いな奴はぎょうさんおるから一人ではなかったけどな」
へぇー…ふーん…そう。犯人、みぃつけたぁ。
「ヒィッ…!あ、あのなまえさん…、暴力はアカンよ…?」
「するわけないじゃん。こんな雑魚相手に」
「ざっ!?アンタ、ホンマええ加減にせえよ!」
体育館内に教師もいるからか、怒鳴り声も控えめだ。ただ、教師からはこちらが見えないように協力者らしい女子が壁になっている。
今まで不特定多数の相手だったのが一気に顔が知れてラッキーだな。
「じゃあ私のクラスが優勝したら一週間私にプレミアムプリンを買ってきてください」
「はあ?なんでそんなん聞かなあかんのや」
「え?だってこれ優勝した場合の景品の話ですよね?先輩の言い分は敗けたらバレー部を辞める。なら勝ったら?」
「なんもあるわけないやろうが」
「えーテンション上がらないなー。じゃあ勝ったら先輩達のこれまでの言動を先生に報告しちゃおうかな」
「…証拠もないのに何言うてんねん」
「ありますよ?今まで私がされたことの写真と先輩と話し始めてからのど、う、が。ついでに壁になってる人らも映ってまーす」
「なっ!?!?」
ざわざわと周囲が動揺し始めた。堂々と虐める宣言をされて嫌がらせだってされてんだから対策くらい取ってるに決まってんだろ。
「ははっ、間抜けな顔。
いいか?お前らが脅してるんじゃなくて、お前らが脅されてんだよ。選択肢、あると思ってんのか?プリンを一週間買えば許してやるっつってんだ。優しいでしょ?」
「っ、じゃ、じゃあ!アンタが敗けたら宮兄弟に近付かんって約束せえや!」
「条件追加?それなら私も。勝ったらそろそろ嫌がらせ辞めろ。いい加減うざいから」
「それから土下座!」
「いいね、ならお前らも全員土下座な」
「それじゃ釣り合わんやろが!」
「なんで?こっちは優勝まで四勝しないといけないんだけど?で、そっちは一敗でいい。こっちのが不利じゃん。条件は平等にしてくれないとSNSで動画晒すぞ」
「クッ、ぐ、ぎぎ…!動画も消せや!」
「うーん、特にやって欲しいことなくなってきた。……よし、プリンは一日二個で」
「うちらのパシリ!」
「おお、それ採用。じゃ、私のパシリ」
すごいな、よくもまあアイデアがそれだけ出てくるもんだわ。
そんなこんなで話し合いは面白いくらいに進んで、色々と条件が追加された。これ、ノリでどんどん進めちゃったけど、敗けたらどうなんだろーな。
先輩達と別れてから友子が勢いよく詰め寄る。
「なまえ!ええんか、あんなん言うて!あたしら初心者なんやで!?」
「大丈夫だって。勝てばいい話じゃん」
「だからそれが無茶やろ…!」
「友子。私、バレー経験者なんだよね」
「むしろ経験者じゃなしにあんなん言うてたらドン引きですけど!?!?」
「だからさ、私がいて、敗けるとでも?」
「………はぁぁぁああ…。なまえがどんだけバレー上手いんか知らんのに、説得力ありすぎやわ…」
安心出来たなら何より。
それにしても、バレーはやらないつもりだったのにな。我慢が出来てないというか、挑発に弱いというか。
もしもバレたら、その時は腹を括るかぁ。
1/3ページ