16話
夢小説設定
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ブー、ブー、ブー、ブー
携帯のバイブ音で目が覚める。おかしいな、目覚ましはちゃんと音が出るように設定したはずなんだけど…。
寝惚けつつもスマホの画面に触れると、どうやら通話だったようで声が聞こえてきた。
『ヤッホー!皆の及川さんだよー!なまえちゃん元気ー?青城に来てってお願いしたのに来てくれないし、番号交換したのに一向に電話かけてくれないから及川さんからかけちゃったよ。それでさあ、今どこの学校行ってんの?一応俺なりに強豪校は探したんだけど全然見当たらないんだよね。あれ?なまえちゃん聞いてる?おーい』
………。時計で現在の時刻を確認する。ちょうど0時。プツッ、と一言も答えることなく通話を終了した。
ブー、ブー、ブー、ブー
うるせえ。
ブー、ブー、ブー、ブー、ブー、ブー、ブー、ブー、ブー
「うるっせえんだよ!!!」
『うわっ、ビックリした。なまえちゃんって結構怒りっぽいよね』
「頼むからいっぺん死んでくれませんか。私の睡眠の邪魔しないでください」
『いやぁ、試合の動画見てたら偶々なまえちゃんのを見つけてね?今何してるかなーって電話してみたんだよ』
ダメだ、この人。話が通じない。通話切ってサイレントにしようかな。
『少し前に飛雄ちゃんと試合したの聞いてる?』
聞いてねえよ。あのボケ、バレーとは関係ないことばっか連絡してきやがるからな。この前なんかフマキラーどこに置いてるか知らないか?って電話がかかってきた。私が知るわけないだろ!馬鹿か!?馬鹿だったわ!
『飛雄ちゃんが行った烏野に面白いチビちゃんがいたのは聞いた?』
だから聞いてないっつの。口に出したらマウント取ってきそうで鬱陶しいから絶対に言わないけど。
『どうせなまえちゃんには何でも言ってるだろうけど』
あん?嫌味か?何一つ言われてない私に対する挑発かコラ。もし目の前にいたらとっくにぶっ飛ばしてるよ。
『結論を言っちゃうと相変わらず生意気でクソ腹立つ後輩だったんだよねー』
そうですか。アンタはクソ腹立つ先輩ですけどね。むしろ同じ学校だったことはないから先輩ですらないか。飛雄の元先輩ってもう他人じゃね?他人ならこの電話切ってよくない?何より私が喋らずとも一人で会話続いてんじゃん。
『あ、そうだ。そんなことより俺、彼女出来ちゃったんだー』
わー、今までの中で一番どうでもいい話題だなー。…ねむい。
『やっぱりさ、ほら、及川さんイケメンじゃん?女の子がほっとかないっていうかさ』
「クソ川さん」
『クソ川!?』
「彼女がいるなら電話しない方がいいんじゃないですかね」
『なまえちゃんは別枠でしょ。彼女が嫉妬するような対象には入らないだろうし。
ってかクソ川って!?岩ちゃんから聞いたの!?』
なんだろう…なんというか、この人誰かに似てるような………あ、宮先輩(金)だ。
「うわぁ…考えてみると似てるわぁ…」
『エッ、何?何なの!?今納得するような要素あった!?』
結構共通点も多い。顔は整ってるのと、性格がウザいのと、セッターってのと。二人ともバレーに対する姿勢は尊敬出来るのに、中身がアレなんだよね。
……ま、どうでもいいか。
「眠たいので寝ていいですか」
『率直!しかも急に話題が飛ぶね!
久々の及川さんの声なのにもっとなんかないの?』
「カス川さんって、なんかくどい…」
『カスかっ…!?くど!?』
「声というか…性格が…です、けど…」
『声に関してフォローは入れても更に酷いこと言ってるのに気付いて…!』
ダメだ…すっごい眠たい…。通話切ってサイレントに設定を変えるのすら面倒臭い…。こんなことなら着拒しとけばよかった。
『なまえちゃん?うそ、寝たの?なまえちゃーん!』
「くずかわ…だまれ……すぅ…」
『どんな寝言!!?』
朝、起きたら充電切れになったスマホを握っていた。昨日の夜は満タンだったはずだから…及川さん私が寝た後いつまで通話してたんだよ。ちょっとキモい。
まず充電器に繋いで起動させ、通話履歴の画面にいき設定を変更していく。
この日、私の携帯で着信拒否のリストに初めて誰かの名前が登録された。
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