1話
夢小説設定
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───もう、ついてけない。
その一言で私の二年は終わりを告げた。
「なまえちゃん、明日から学校だけど準備は出来たん?」
「今日がもう入学式だったよバアちゃん」
「あら。ごめんなさいねぇ、おじいさんとの予定以外はあんまり覚えてへんのよ」
「本人に言っちゃうのかぁ。いや知ってたけどね。二人が仲良くて何よりだよ」
「明日からまた新婚旅行に行くけどなまえちゃんが留守を守ってくれるから安心やわあ」
「バアちゃん!?それ今初めて聞いたよ!?つかもう結婚して何十年も経ってんじゃん!」
「今決めたんよ。おじいさんとはどれだけ一緒に過ごしても新婚気分やからねぇ。今回で記念すべき100回目やからちょっと遠出してくるわ」
「いやいやいや、つい数日前に99回目の新婚旅行から帰ってきたばっかですけど」
「はい、これ小遣い。多めに渡しとくから好きなもん買いや」
「楽しんできてね!」
掌にぽんと数枚の諭吉を置かれ、コロリと意見を変える。現金な自覚はある。だが諭吉に逆らえる人間なんてなかなかいないだろう。
本日、私は稲荷崎高校に入学した。
親が転勤族で小学校の頃は色んな地方を転々と、中学になって親から離れ全寮制の女子校に入学したがちょっと諸事情がありエスカレーター式の学校だったというのにそのまま進学は躊躇いがあり、高校は親と一緒にいる事にした。しかしタイミング悪く、ついに海外に行くこととなってしまったため今年から祖父母の家にお世話になることとなった。
まあ祖父母はお互いが定年になってから頻繁に(新婚)旅行に行っているので、実質一人暮らしみたいなものだ。
家から一番近い学校が稲荷崎だった。バスで10分の距離で朝の自由時間が多いというのが最も理由としては大きかった。
地元から離れて周りに知り合いは一切いないが、初日からクソほどに馴れ馴れしい友達も出来て、何とかやっていけそうで安心した。
稲荷崎は部活動が強制らしく、明日から本格的に勧誘や体験入部が始まる。帰宅部になる気満々だったのに初っ端から当てが外れてしまった。
ただまあ、稲荷崎に女バレがないのは唯一の救いだったかな───。
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