煉獄死亡ルート
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───君の幸せを俺は祈ろう。
お師様は最後にそう告げて、物言わぬ人となった。
「やだ、いやだぁ…!お師様、おしさま!!
私なんだってするから!お師様のためなら何だって!だから、私を置いて行かないでぇ…」
涙でお師様の姿が滲んで歪む。縋りつけば力を失くしたお師様の身体がどさりと倒れた。
嫌だ。返事して、動いて、見つめて、笑って、呼んで。行かないで。行かないで。私を一人にしないで。
泣き喚く私を隠が数人がかりでお師様の亡骸から引き離す。
やめて、私のお師様なの。連れてかないで。まだ疲れて寝てるだけなんだ。だからもう少し待ってよ。きっと、きっと直ぐに起きてくれるはずだから。
暴れる私に誰かが落ち着けと叫んでいる。落ち着けるわけがない。だってお師様がいないと私はどうやって生きればいい?私はどうやって自分を抑えればいい?誰に縋ればいい?誰に依存すればいい?
───わたしは、ひとりぼっちじゃ生きられないよ。
痺れを切らした私が刀を抜いた。邪魔をするなら仲間であろうと斬るつもりで。
それを止める為誰かも刀を抜く。もう誰なのかもわからない。頭が正常に働いていない。
それでも、お願いだから、私からお師様をとらないで。たったひとつの願いなんだ。
ただ刀を振り回すだけで、型も崩れ技すら出せない。こんな無様な姿、お師様には見せられない。
そんな私を倒すのなんて誰だって余裕だ。刀の峰で打たれ体に強い衝撃が走る。しかしまだ動きを止めない私を誰かはついに日輪刀の刃で斬り捨てた。
右脚の太腿をスッパリと。斬られた箇所から血が滴る。肉が見える。
がくんと体勢を崩し地面に倒れる、その前に、ドクドクと鼓動が早鳴り、瞬く間に傷が修復される。
ああ、バレてしまった。私が──鬼だと。
でもそれも構わない。今はそんなことすら些事だ。
驚愕する彼らを尻目にやっとお師様を捕らえて強く抱き込む。冷たく、固くなった体。触れてしまえば、もうきっと起きるなんて言えない。あの暖かな温もりを失くした亡骸がもう一度私の名前を呼んでくれるなんて思えない。
だけど1分1秒でも長く傍に居たい。
この人だけが私の標で、意味で、希望だった。
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