2話
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最初はよかったんだ。そう、最初だけは。
「やだ!やだやだやだやだやだァ!なんで!お師様と一緒じゃないわけ!?継子って柱と行動を共にして修練するんでしょ!?なのに!私がお師様と任務に行ったのは最初の一回だけ!どうなってんだ鴉ゴルァ!!」
今だってお師様の羽織を一着くすねてなければ禁断症状が出ていたことだろう。こんなに離れることになるならもっと私物を拝借しておくべきだった…!
「……知ラン」
「なにが知らん、だ!唐揚げにしてやろうかクソ鳥が!」
「ア、炎柱」
「お師様!?違うんです!これはちょっと躾けていただけで本気でやろうなんて全く…」
「嘘ダ、バカメ」
「殺す!!!」
パタパタと飛んで逃げる鎹鴉を般若の形相で追いかける。あれだけは許さん。鬼に食われたとでも言って新しい子を貰いたい。
逃げている鎹鴉は任務地の方向に向かっている。つまり挑発して誘導されているのだろうが、それを知ったところでなんて優秀な鴉なんだろう、というふうになりはしない。マジで今日の昼食は唐揚げにしてやらァ。
クソ鳥を追いかけて山奥の家屋に着いた。なに、ここが任務地?
庭に倒れている男の人と大量の血。すぐさま怪我を確認したが、既に死んでいる。血が乾いていない。おそらく死んで間もないのだろう。ごめんなさい、とそう呟き、慰めにもならないが開いたままの瞼を閉じた。
家の中から複数の鬼の気配がする。そして外にも一つ。…鬼が昼間なのに外?
周囲を確認するとポツンと置いてある木箱の中からその気配はする。カリカリと音を立てているが暴れる様子もなく危険度は高くないだろう。木箱から出たところで日の光で死ぬし、これは後回しでもよさそうだな。
「早ク入レ。既ニ他ノ隊士ガ戦ッテイル」
「やかましい!今から入るわ!
いいか!この一件が片付いたらお前マジで唐揚げ決定だからな!不味そうだから作るだけ作って捨ててやるがな!」
「ナンテ下品ナ。ソンナンダカラオ前ハ炎柱ト組マサレナイノダロウ」
ぶち殺したい…!!
いや我慢だ、我慢しろ。今は鬼を倒すことを優先しないと。
少しでも怒りを発散させる為に玄関を蹴破って中に入る。鬼との戦いで壊れたってことで賠償請求は鬼殺隊にしてくれ。
中に入ると家中から微かながら鬼の気配を感じる。もしかしてこの家自体に鬼の血鬼術がかかっているのか?
これは気配を追って探すのは面倒だな。
一つ一つ部屋に入り確認しているとポンと鼓の音が聞こえた。すると一瞬で部屋が変わった。え、何コレ。
慌てて廊下に出ると鬼に遭遇。何なのこの血鬼術。廊下も先程と変わっているということは部屋が移動したというより、私が鼓の音にあわせて移動した感じか?
「女ァ!人間の女ァァァ!!」
ああもう、五月蝿いな。静かにしてよ。考え事してるのにさ。
「食いたい!食いたい!食いたい!ああ!その頭から食らってやろう!!」
「? 何言ってんの?アンタもう頸斬られてるのに」
「は?そンなゎげ…あぁ、あ?」
「私は炭治郎のように鬼を悼む心はないからもう行くね」
崩れた鬼の身体をヒョイと跳び越え廊下を歩き始める。
部屋の中にいる時に鼓が鳴ると移動してしまうなら、部屋を確認している時に鳴ってしまうと鬼の気配を探る以前の問題だ。うーん、困った!
特に鬼を見つける手段がなく廊下を歩き続けていると二体の鬼に挟まれた。
あれ?この家にいた鬼の気配は四つだったはず。そして私が一体と誰かが二体倒してさっきまで鬼の気配は一体だけになっていたのに。
もしかして山の木々の木陰を伝って入って来た?鬼が日中に?それだけする程の物がこの家にあるの?
まあ、考えたところでわからないし、今はこの鬼を殺しておくか。
雑魚鬼だろうが油断しないように、確実に。
――炎の呼吸 壱ノ型 不知火――
まず目の前の鬼の頸を斬る。そして振り向きざまにもう一度不知火を繰り出す。
二つの体がドサリと床に崩れ落ちる。ギャンギャンと頭が何か喚いているが無視して進もう。
これであと一体に戻った。おそらくその鬼がこの家に血鬼術をかけている。だから余計に気配が探りづらい。
うー、ぬー、むー…?ぬぬぬぬぬ、あ、気配が消えた。もしかして他の隊士の人が倒した?一旦外に出てみるか。
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