21話
夢小説設定
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「お師様お師様お師様お師様お師様お師様お師様」
「どれだけ呼んでも許可が出るまで煉獄さんには会わせられませんよ」
「誰ですか!許可出さない奴!」
「伊黒さんです。面会させたら恨むと言われてしまって。彼の恨みは恐ろしいでしょう?」
それは確かに!あの野郎、恨むと言ったら絶対実行する。それも粘着質に一生ってくらい恨み続けそうだ。くっそ、小芭内の奴…許さないからな。
遊郭での一件から3日が経ち、私の怪我もとっくに全回復した。あの場で意識を奪われたから結局宇髄の怪我は治せなかった。きっと宇髄は柱から降りるだろう。
そして目下の問題はこの状況だ。昨日に至ってはお師様がお見舞いに来てくれたのに一目見るどころか話すら出来なかった。どんだけキレてんだよ!謝ればいいの!?お師様に会う為ならいくらでも謝りますけど!?
「もう健康体ですね。健康過ぎて困るくらい」
「退院ですか!?」
そうだ、退院すれば自分からお師様の元へ行ける。小芭内の妨害など知ったことか。
「ええ。ですが伊黒さんから許可を貰ってください。後々苦情を言われても困りますので」
「おーばーなーいー…!」
許可以前にアイツがまずここに来ないんだよ。なんとかしてあのアホをここに連れて来ないと。
「………! 胡蝶さん、伝言お願い出来ますか?」
「構いませんよ」
「じゃあ───」
「なまえちゃん!」
勢い良く開いた扉の先に桜餅のような髪色の彼女がこれまた勢い良く飛び付いてくる。ぐふっ、と衝撃に一瞬気が遠くなりかけたが、そこはなんとか耐えた。
「目!目が無くなってたって聞いたの!」
無理矢理上を向かされた首が嫌な音を立てる。目は無事だけど、つい今首が折れるかと思ったよ。
「よかったぁ、ちゃんとあるわ」
無くなってたのは本当だけどね。泣き出されたら困るから黙っておこう。
「蜜璃さん、お願い聞いてくれた?」
「ええ!なまえちゃんのお願いだもの。ちゃんと伊黒さんと一緒にお見舞いに来たわ!」
蜜璃さんに文句を言うことも出来ず、忌々しそうに私を睨む小芭内が病室へ入ってくる。
「やっと来たな、小芭内よぉ。やってくれたなオイ」
こっちも負けずと睨み返すが、睨み合いをするつもりはないとでも言いたげにプイと顔を逸らされる。こっち向けやオラァ!胡蝶さんを言いくるめてお師様との時間を奪いやがったことに関して言い訳でもしてみやがれ!
「え?あれ?なまえちゃんと伊黒さん、喧嘩してるの?」
「あのクソボケ野郎が勝手に怒って勝手に無視しやがってるだけです」
「勝手に?随分自分に都合良く話を進めるものだ。いつ俺が勝手に事を進めた?お前の言動が問題に決まっているだろう。自分で振り返って考え、その上で口にすることだ。もう一度気絶させられたいのか」
「はあー?振り返ってますけど?謝ろうにも小芭内が一向に来ないからどうにも出来なかっただけですけど?」
「何に対して謝罪する気だ?何一つ理解してもいないくせに謝罪だけしておこうという考えとしか思えない。お前が自分で気付けるわけもないからな。中身がスカスカの言葉だけの謝罪を俺が受け入れるとでも?これだからお前はいつまで経っても精神面が子供のままなんだ」
「上等だわ!表出ろ!お前をぶっ潰してお師様のとこに行ってやるわ!」
「脳筋が。煉獄も似たような点があるものの、あちらの方が余程理性的だ。お前は一体煉獄の何を見て育ったのか」
はい、もうこれ完全に喧嘩売ってるだろ。買うよ?全力で買うからね?
「もう二人共落ち着いて!どうして喧嘩したの?」
蜜璃さんが私と小芭内の間に入って仲裁をする。ふん、馬鹿め小芭内。蜜璃さんなら私の味方をしてくれるはずだから、お前は結局のところ許可を出すしかないんだよ。
そうして3日前の出来事を蜜璃さんに報告する。これで私はお師様に会えるも同然だ。
「なまえちゃんが悪い!」
「え、えぇぇぇ…?」
「こんなの私だって怒ります!すっごく怒るからね!」
嘘だろ、味方だと思って呼んだのにまさかの敵に回るとは。小芭内の勝ち誇ったような顔が心底憎たらしい。
「なまえちゃんは暫く煉獄さんに会うの禁止!煉獄さんが聞いたら悲しくて泣いちゃうかもしれないわ!」
泣くの!?いやお師様が泣くとこ想像出来ないよ!?つかさすがに泣くのは有り得なくない!?
「蜜璃さ、ちょ、待っ」
「絶対絶対ダメ!1ヶ月…いやでもそんなに長いのは可哀想だわ…。半月?でも長いかしら…。うーんと、うーんと…10日!10日は煉獄さんと会っちゃダメよ!」
「10日!?!?いやいやいや!私が死ぬ!お師様不足で死んじゃう!」
「え!?死ぬ!?ど、どうしよう…!やっぱり3日くらいにした方がいいのかな…?」
「10日だ。甘露寺の言葉に従え」
てめぇ、小芭内。蜜璃さんが味方になったからって調子に乗りやがって。
「大丈夫よ、私ちゃんと様子を見に来るわ。だからなまえちゃんも反省しないと!
でも長居するとなまえちゃんが可愛くて何でも許しちゃいそうになるから今日は帰るわね!」
そう言い残した蜜璃さんは小芭内を連れて嵐のように去っていった。
完っっっ全に人選を失敗した!小芭内を確実に連れて来れて、私の味方をしてくれるだろう人を選んだのに…!
こうして五体満足なのにお師様に会えない10日間の軟禁耐久生活が幕を開けるのだった。
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