18話
夢小説設定
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ここは、地下のようだ。なるほど、蟻のように地中に穴を掘って隠れてたわけか。確かにここなら太陽の出ている昼間でも身を灼かれることもない。
宇髄にはもう報告が行ってるはずだ。ネズミの姿は見ないから途中で見失ったと考えるべきだな。困ったことに日輪刀をネズミに預けていたから鬼が来ても殺すのは出来ない。
この布、帯かな?周囲の帯に今まで攫われたであろう女性が閉じ込められてる。多分相手の血鬼術なんだろうけど、日輪刀がなければ助け出すことも難しい。危害を加えられてはいないようだし、状況が動くまでは様子見、か。
なんて思ってた時間が私にもありました。数時間くらい前まではね。今は、そうだね。宇髄のネズミ、早く日輪刀持ってきてくれない!?頼むから!!
「ほんっと有り得ないわよ!!!
なにこの化粧!なにこの着物!なにこの結い方!全く似合ってない!こんなダサいんじゃ帯に取り込めやしないじゃないの!」
用意した職人の人達に謝れ。と言いたいところだが、相手の鬼はまだ私の正体に気付いてないようでキャンキャンと姦しく吠えながら私を着せ替え人形にしている。
手足の拘束は解かれないまま、着替えさせられ化粧もやり直される。
「鈴蘭の刺繍の打掛けとか地味すぎ!私なら牡丹にするわ。濃い色の着物で白い肌を強調しなくてどうすんのよ!
化粧だって白粉なんて塗りたくる必要なんて全くないし。目尻は緑の瞳を際立たせるよう赤の紅!
髪なんて中途半端に結ってんじゃないわよ!結い上げたら銀糸の髪が大して靡かないじゃない。椿油で手入れして下ろしてれば十分よ!
ちょっと聞いてるのォ!!?」
「ア、ハイ」
あ、やべ、喋っちゃった。まあ気にしてないみたいだしいっか。
しっかしこの鬼何がしたいんだろう。どうして私はまた着飾られてるんだろう。あとそんな怒られても全部やったの私じゃないし。
というか鬼、なんだよね?気配は鬼のもので、この血鬼術もこの鬼が術者みたいだけど…なんというか、今まで会った鬼みたいに即戦闘、即捕食って感じにならないのに違和感がすごい。
もうなるようになれ、と半ば諦めているといつの間にか鬼の手が止まり、こちらをじっと見つめている。まさかバレた?
鬼殺隊だというのは日輪刀を持ってないから知りようもないけど、鬼の血は隠しきるには難しい。数年、お師様相手にも隠せてきたから問題はないはずだが…でも相手は鬼だ。同族の部分に気付く可能性だってある。
鬼の手が私の頬に触れ、白粉の拭われた素肌を軽く撫でる。…??
「ホントに、美しいわね。他の遊女共と違って処女なら更に価値が高い。今すぐ食べるのは勿体ないくらい。新鮮なまま保存して特別な時に食べようかしら。──例えば、柱を殺した時とか」
「───」
こちらの反応を見てるのか…?でもそれにしては隙が多い。刀さえあれば簡単に頸が斬れそうだ。
恐らくだが気付いては、ないな。こちらを弱い人間だと思ってるし、独り言のようなものだろう。
だけど宇髄がこの花街を探ってる時に出る言葉にしてはタイミングが良すぎないだろうか…。宇髄の嫁が捕まってたとしても柱に関係してるとはわかってないはず。柱の動きに勘づいているってこと?…私の杞憂で終われば一番だけど……。
そして鬼の女は更にどっさりと追加の着物を持ってきた。……どうやら着せ替え人形の役目はまだ続行のようだ。宇髄のネズミ、早くここ見付けて…!!
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