16話
夢小説設定
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「エミリア!エミリアはどこだい!休憩にはまだ早いよ!」
「……」
「見つけたよ!こんな所にいたのかい。
しかし言葉が喋れないってのはホントに困るねえ」
「……」
「それより、稽古の途中だよ。さっさと準備をおし。1日でも早く覚えて客を取ってもらわないといけないんだからね!」
「…(コクリ」
どうも。エミリアことなまえです。
日本語を聞く分には理解しているが話せない異人で、名前はエミリア。亡くなった知り合いが外国から連れ帰ったのだが、日々の生活が厳しくなり売られた。それが今の私の身の上ということになってる。
この花街でも一番馬鹿でかく、更には頭おかしいんじゃないのと言いたくなる程の値段の高級花魁のいる店に放り込まれて早2日。正直未だにこの偽名には慣れない。
他の3人より早く遊郭に潜入したってのに情報だって全然だ。
あと遣手婆が鬼畜すぎる。まだここに来て2日しか経ってないのに初日に三味線、2日目に舞、明日からは琴、歌、茶道、歩き方を叩き込まれる予定らしい。馬鹿じゃねえの?って思うよね。でも遣手婆の目がマジだった。
しかも稽古から寝る時間まで管理されてずっと監視されてる。夜に宇髄と落ち合おうと思っていたのに布団から出ようとすると、部屋の外から肌に悪いからさっさと寝な!と怒鳴られた。耳良すぎだろ。しかもこのババア一体いつ寝てんだよ。
そんなこんなで定期連絡は抜け出す暇もないから宇髄のネズミに走り書きを持たせている。
宇髄曰くこの花街一大きい店だから色んな職人が集まるとのことだったが、習い事が詰め込まれすぎて噂を聞くどころの現状ではない。というか私口聞けないって設定なのにどうやって調べろと?
あー…逃げ出したい…。
「なにボケっとしてんだい!今のところ足の向きを間違っていたよ!もう一回!!」
マジでこのババアから解放してくれ…!
それから更に3日が過ぎた。喋らないようにするってのは中々の苦痛だ。愚痴すら口に出来なくてイライラが大分溜まっている。
だが必死に覚えたお陰で日程に少し余裕ができ、監視の目も和らぎ始め、今はこうして宇髄と情報共有も可能になった。
「で、調子はどうだ」
「良いように見える?あのババア、こっちが口答え出来ないのをいいことにあれこれと何でもやらせやがって…!」
「そォかよ」
「ねえ宇髄、お師様の私物なにか持ってない?手拭いでも髪紐でもいいから。それだけあればもう1週間は頑張れるからさァ…!」
「持ってるわけねえだろ」
ですよね!むしろ持ってたらキレてたよ!
うぉぉ…禁断症状が……。こんな戦闘の役に立たないような稽古でもお師様さえ居てくれれば何時間でもやれるってのに。
「だがそのかいあって噂はちゃんと広まってるぜ」
「噂?って、あ!そうだよ、喋れないのにどうやって噂なんて調べればいいの」
「お前が噂を集めるんじゃなくて、お前が噂になるんだよ」
「???」
「この店は人の出入りが多い分噂が集まりやすい。だからその逆も然りだ。
花街じゃ随分噂になってるぜ。葵屋には遠い他所の店から来た見目麗しい異人の花魁がいるってな」
異人の、花魁…?
葵屋はこの店の名前だ。ここに異人の風貌の花魁なんていたっけ?そんな目立つ見た目してたら気付くと思うんだけどな。
「何不思議そうな顔してんだ。お前のことだろ」
「おまえのこと………は!?私ィ!?」
「いくら見た目だけは大人びてるっつっても16の売られたばっかのガキを花魁だなんざホラ吹くとは、ここの遣手は商魂逞しすぎんな」
えぇ、うっそぉ…。じゃああの鬼畜すぎる日程で詰め込まれた芸は花魁教育だったの?そんな付け焼き刃でどうにかなるものなんだろうか。
「もしかして他の遊女から嫌がらせされてたのって新人がいきなり花魁に大出世したからか!
ご飯捨てられたり、水ぶっかけられたり、着物破かれたり」
「たった5日でどんだけ嫌われてんだよ」
「失礼な。ここ2日は何もされてないよ!
遊女全員分のご飯を奪って、水かけてきた奴とその取り巻きは井戸にまとめて落として、着物を破いた奴は裸にひん剥いて夜見世に突き出してやったらやっと大人しくなったからね。あんまり長引かせて任務中に支障が出ても困るし」
「お前…男所帯で育った割にはえげつねえな。
というか馬鹿だ馬鹿だと思ってたが、考える脳ミソちゃんとあったのか」
失礼すぎるわ。コイツ私を一体なんだと思ってんだ。
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